「公金受取口座」の意向確認書、返送しないと45日で自動登録に|2026年8月から届く人・届かない人
「日本年金機構から見慣れない簡易書留が届いた」「これは詐欺なのでは?」——2026年8月から、そんな問い合わせが増えることが予想されます。届くのは「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書」という公式書類です。
この書類の一番のポイントは、放置すると自動的に登録に同意したことになるという点にあります。この記事では日本年金機構とデジタル庁の公式情報をもとに、対象者・期限・詐欺の見分け方を整理します(情報はすべて2026年8月10日時点)。
結論|意向確認書は返送しないと期限後に自動で同意扱いになる

出典: いらすとや
先に結論を3行でまとめます。判断に必要なのはこれだけです。
- 対象になる人・届くもの:1961年4月16日以前生まれ(2026年4月15日時点で65歳以上)の年金受給者に、日本年金機構から「意向確認書」が2026年8月頃〜2027年2月頃に簡易書留で順次送付される
- 登録してよい人:何もしなくてよい。期限経過後、年金振込口座が公金受取口座として登録される
- 登録したくない人:同封の「公金受取口座登録不同意申出書」を期限までに返送する(目安は受領後45日以内だが、実際の期限は書面に記載された日付を必ず確認すること)
つまり「何もしない=同意」という仕組みです。これは2026年8月に始まった行政機関等経由登録の特例制度によるもので、通常は本人がマイナポータル等で申請しないと登録されない公金受取口座を、行政側からの一括手続きによって登録できるようにする仕組みです。詳細は日本年金機構の特設ページで公開されています。
自分は対象?届く人・届かない人の条件チェック

出典: いらすとや
対象は「令和8年(2026年)4月15日時点で65歳以上」、つまり1961年4月16日以前に生まれた年金受給者です。ただし、以下に当てはまる方には意向確認書は届きません。
| 区分 | 条件 |
|---|---|
| 対象になる | 2026年4月15日時点で65歳以上(1961年4月16日以前生まれ)の年金受給者 |
| 対象外① | すでに公金受取口座を登録済みの方 |
| 対象外② | 2026年4月に年金が支払われなかった方 |
| 対象外③ | 国外に居住している方 |
| 対象外④ | 共済組合等から支給される年金のみを受給している方 |
| 対象外⑤ | 2025年6月以降の年金請求時に登録の意思を表示した方 |
誕生日が基準日の前後で微妙、といった境界線上のケースは自己判断せず、後述の専用フリーダイヤルで確認するのが確実です。
「意向確認書」の中身|簡易書留で届く書類には何が書かれているか

出典: いらすとや
意向確認書は普通郵便ではなく簡易書留で届きます。書面には、現在の年金振込口座の情報として金融機関名・支店名・預貯金種別・口座番号・口座名義人氏名が印字されています。
自分の口座情報が印字されている点に驚くかもしれませんが、これは「この口座を公金受取口座として登録してよいか」を確認するための書類だからです。書面の下部には切り離して使う「公金受取口座登録不同意申出書」が付いています。
登録すると何が変わる?給付金の受け取りが簡単になる

出典: いらすとや
通帳コピーが不要になる160種類以上の給付金
公金受取口座を登録すると、年金・高額療養費・所得税の還付金など160種類以上の給付金等の申請で、口座情報の記入や通帳コピーの添付が不要になります。窓口や書類の準備が減るのが直接のメリットです。
小田原市の実例|給付金の振込が最大約4か月短縮
デジタル庁は、公金受取口座の活用が先行して進んだ神奈川県小田原市の一事例として「給付金の振込までの時間が最大で約4か月短縮」されたと公表しています。これは全国一律に保証された効果ではなく、あくまで一自治体での実績です。実際の短縮幅は自治体や給付金の種類によって異なりますが、災害時や緊急の給付金など、スピードが重要な場面で効いてくる仕組みであること自体は共通しています。
登録したくない場合の手続き|不同意申出書の書き方と返送期限

出典: いらすとや
登録を希望しない場合は、次の手順で返送します。切り離しや目隠しシールの貼付を忘れると口座情報が露出するおそれがあるため、順番どおりに進めてください。
- 意向確認書の下部にある「公金受取口座登録不同意申出書」を切り離す
- 同封の目隠しシールを貼付する
- 裏面の差出人欄に記入する
- 返送期限までに返送する(「受領後45日以内」はあくまで目安であり、実際の期限は届いた書面に記載された日付が優先されます。必ず自分の書面で確認してください)
期限までに不同意申出書の返送がない場合は、同意したものとして扱われ、年金振込口座がそのまま公金受取口座として登録されます。なお、登録後もマイナポータル等から口座の変更・削除は可能です。
【要注意】意向確認書を装う便乗詐欺の見分け方

出典: いらすとや
公式が「絶対にしないこと」を覚えておく
日本年金機構は特設ページで次のように明言しています。
日本年金機構、厚生労働省およびデジタル庁から、電話、SMS、メールで口座番号等の提供を求めることはありません。また、手数料などの金銭を求めることもありません。
(出典:日本年金機構「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書の送付」・2026-08-10確認)
公式情報から確実に言えるのは、電話・SMS・メールで口座番号や暗証番号を聞かれたら詐欺、手数料などの金銭を求められたら詐欺だということです。これに加えて、経済メディアの報道では、この制度に便乗した詐欺として「口座番号・暗証番号を聞き出そうとする」「手数料名目で金銭を求める」に続く3つ目の類型としてATM操作を指示する手口も報告されています(経済メディアの報道。具体的な誘い文句までは公式統計で確認できていませんが、いずれの手口も日本年金機構が公式に否定している行為であることに変わりありません)。電話でATMの操作を求められた場合も、その場で応じず、まずは電話を切ることが大切です。
不審な連絡を受けたときの相談先
意向確認書に関する問い合わせは、市区町村の窓口や年金事務所では対応できません。専用の「意向確認書照会専用フリーダイヤル」が用意されています(報道によると2026年8月4日に開設されたとされています)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 電話番号 | 0120-74-0011(つながらない場合は050-3524-7372) |
| 月曜 | 8:30〜19:00 |
| 火〜金曜 | 8:30〜17:15 |
| 第2土曜 | 9:30〜16:00 |
| 休止 | 第2土曜以外の土日祝・年末年始 |
月曜が祝日の場合は翌営業日が19時まで対応となります。
書類を待たずに確認したい人へ|マイナポータルでの確認と、よくある疑問

出典: いらすとや
すでに登録済みか確かめる方法
公金受取口座を登録済みかどうか、また登録されている口座の内容は、マイナポータルまたは金融機関の窓口で確認・変更できます。ただしマイナポータルの利用にはマイナンバーカードとその暗証番号が必要で、カードの読み取りやログイン操作に不慣れな方には少しハードルがあります。ネット操作に不安がある場合は、無理にマイナポータルを使わず金融機関の窓口で確認・変更する方法を選んでも問題ありません。マイナポータルでの具体的な操作手順はマイナポータルのよくあるご質問から公式マニュアルを確認してください。
年金振込口座と公金受取口座は別物?
別の制度です。年金振込口座は年金の受け取り先、公金受取口座は各種給付金の受け取り先として国に登録する口座を指します。今回の特例制度は、前者をそのまま後者として登録するかを確認するものです。登録後に口座を変更したい場合や引っ越しをした場合も、マイナポータルまたは金融機関の窓口で手続きできます。
まとめ|今日やることは1つだけ
やるべきことはシンプルです。意向確認書が届いたら、書面に印字された返送期限をカレンダーに書き込む。登録してよいなら何もせず、登録したくないなら不同意申出書を期限内に返送する——これだけです。
離れて暮らす親御さんが対象年齢に当たる場合は、「日本年金機構から簡易書留が届く」「電話で口座番号を聞いてくることは絶対にない」の2点を先に伝えておくと、便乗詐欺への備えになります。制度の最新情報は日本年金機構の特設ページで必ず確認してください。
