学生バイトは年収いくらまで扶養に入れる?【2026年8月時点】150万円の壁を解説
夏休みにアルバイトのシフトを増やした学生から「これ以上稼ぐと親の扶養から外れる?」という相談が増える時期です。しかも2025年10月と2026年3月の2段階で制度が変わり、ネット上には古い数字のままの解説が大量に残っています。結論を先に言うと、社会保険の扶養は年収150万円未満まで、税金の控除は159万円までなら満額、197万円までは段階的に残ります。
なお、ここで扱う「年収の壁」は扶養控除や健康保険の被扶養者認定に使う年収基準の話です。最低賃金の時給改定や食料品の消費税とはまったく別のテーマなので、混同しないようにご注意ください。

出典: かわいいフリー素材集 いらすとや
結論|学生バイトは年収いくらまで扶養に入れる?(2026年8月時点)
答えは「1つの数字」ではありません。学生アルバイトの扶養は、税金の基準と社会保険(健康保険)の基準が別建てで動いているからです。2026年8月8日時点では、次の2軸で覚えておけば実務上は足ります。
社会保険は、19歳以上23歳未満(19〜22歳)なら年収150万円未満まで親の健康保険の被扶養者でいられます。税金は、親が受けられる控除が給与収入197万円まで段階的に残り、満額(63万円)が維持されるのは159万円までです。
つまり「税の壁」と「社会保険の壁」はズレています。年収160万円の学生は、親の税負担は多少増えるものの控除は残る一方、健康保険の扶養からは外れて自分で保険料を払うことになります。ここが最も誤解されやすいポイントです。
何が変わったのか|2025年10月・2026年3月の2段階改正
2025年10月|健康保険の扶養基準が130万円→150万円に
2025年10月1日から、19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く)の被扶養者認定の年間収入要件が引き上げられました。日本年金機構は「現行の『年間収入130万円未満』が『年間収入150万円未満』に変わります」と告知しています。
年齢は扶養認定日が属する年の12月31日時点で判定します。同居なら扶養者の収入の半分未満、別居なら仕送り額未満という収入要件は従来どおり残るため、150万円未満でも自動的に認定されるわけではありません。
2026年3月31日成立|税制改正で扶養控除ラインが136万円に
令和8年度税制改正法は2026年3月31日に参院本会議で可決・成立しました(税理士法人山田&パートナーズ)。改正のポイントは次の3つです。
- 基礎控除(所得の額にかかわらず、誰でも所得税の計算から差し引ける控除):本則58万円→62万円に引き上げ。年収665万円以下なら特例分42万円が上乗せされ、最大104万円に
- 給与所得控除(給与収入から「仕事にかかる経費」相当分として差し引かれる控除)の最低保障額:65万円→74万円に引き上げ
- この結果、令和8年分・9年分は「基礎控除104万円+給与所得控除74万円=給与収入178万円」まで所得税がかからない計算に
これに伴い、一般の扶養親族の給与収入上限は2025年分の123万円から2026年分は136万円に上がりました(税理士法人松野茂税理士事務所)。
特定親族特別控除|新旧の数値が入れ替わっている
特定親族特別控除は、19歳以上23歳未満の子が扶養控除の上限を超えて稼いでも、親が段階的に控除を受けられる制度です。令和8年分(2026年分)の水準は下表のとおりで、136万円超159万円以下なら満額63万円が維持されます。
| 子の給与収入(2026年分) | 親が受けられる控除 |
|---|---|
| 136万円以下 | 特定扶養控除 63万円(満額) |
| 136万円超〜159万円以下 | 特定親族特別控除 63万円(満額) |
| 159万円超〜197万円以下 | 61万円から3万円まで段階的に逓減 |
| 197万円超 | 対象外(0円) |
注意すべきは、制度が新設された令和7年分(2025年分)は「123万円/150万円/188万円」という区切りだったことです。2026年3月の改正で136万円/159万円/197万円へ移行しましたが、旧数値のまま更新されていない解説記事が今も多く残っています。159万円超の区間の1万円刻みの控除額は、国税庁「年末調整のしかた」などの一次資料でご確認ください。
「年収の壁」早見表|数字ごとの意味を整理
飛び交う数字が多いので、2026年8月時点での意味を一覧にしました。
| 金額 | 区分 | 意味(2026年8月時点) |
|---|---|---|
| 103万円 | 税 | 改正前の旧・所得税非課税ライン。現在は実質的に役割を終えた数字 |
| 106万円 | 社会保険 | 短時間労働者の社会保険加入基準(月8.8万円)。2026年10月に賃金要件が撤廃される見込み |
| 130万円 | 社会保険 | 19〜22歳以外の被扶養者認定の年収上限 |
| 136万円 | 税 | 2026年分の一般の扶養控除・特定扶養控除の給与収入上限 |
| 150万円 | 社会保険 | 19〜22歳の被扶養者認定の年収上限(2025年10月〜) |
| 159万円 | 税 | 特定親族特別控除が満額63万円で維持される上限 |
| 178万円 | 税 | 本人に所得税がかからない給与収入の上限(令和8・9年分) |
| 197万円 | 税 | 特定親族特別控除が完全に消える境界 |
なお個人住民税は所得税と別の基準・別のタイミングで反映されます。所得税が非課税でも住民税が課される場合があるため、具体的なラインはお住まいの自治体の案内で確認してください。
親と学生本人、それぞれへの影響

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親(扶養者)への影響|160万円を超えても控除はゼロにならない
子の給与収入が140万円でも150万円でも、2026年分は控除63万円が満額で残ります。かつての「103万円を1円でも超えると一気に負担増」という崖は、少なくとも税に関してはかなり緩やかになりました。
159万円を超えると逓減区間に入り、控除は61万円を上限に段階的に下がります。190万円前後では控除額は下限の3万円に近づき、197万円を超えると対象外です。手取りへの影響額は親の税率で変わるため、正確な試算は国税庁のウェブサイトや年末調整の窓口、税務署で確認するのが確実です。
学生本人への影響|150万円超で保険料の自己負担が発生
学生本人にとっての実質的な分岐点は150万円です。ここを超えると親の健康保険の扶養から外れ、国民健康保険か勤務先の社会保険に自分で加入することになります。税の控除が197万円まで残っていても、この負担は別に発生します。
たとえば時給1,200円で週20時間、年48週勤務するとした場合、年収の目安は約115万円です(1,200円×20時間×48週)。ここからシフトを週25時間に増やすと年収は約144万円まで増えます。136万円を超えるため親の控除は特定扶養控除から特定親族特別控除に切り替わりますが、159万円以下なので控除額はここでも満額63万円のままです。さらに週28時間まで増やすと年収は約161万円になり、150万円を超えて健康保険の扶養から外れるうえ、税の控除も逓減区間(159万円超)に入り始めます。同じ「壁」でも、税と社会保険では反応するタイミングが違うことがこの例からもわかります(※時給・週の労働時間はあくまで試算例で、実際の年収は勤務先の給与体系により異なります)。
一方で、マネーフォワード クラウド給与によれば、令和8年分の勤労学生控除は合計所得89万円以下(給与収入163万円以下)で27万円。ただし基礎控除等の引き上げにより178万円までは原則非課税のため、163万〜178万円の層では勤労学生控除の有無で所得税の結論が変わらないケースが多くなっています。
見落としがちな注意点|他メディアが更新していないポイント
2026年4月から、健康保険の被扶養者認定の判定が「今後1年間の収入実績見込み」から「労働契約上の年間収入見込額」ベースに変わりました。契約に定めのない残業代など臨時の収入は年間収入に含めない扱いとされており、繁忙期に一時的に稼ぎすぎても直ちに扶養から外れにくくなるとされています。
そして2026年10月には、社会保険加入義務が生じる「106万円の壁」のうち賃金要件(月8.8万円以上)が撤廃される見込みです。従業員数51人超(2026年8月時点の各種解説記事による表記)の企業で週20時間以上働く人は、月収にかかわらず加入対象になります。企業規模要件は2027年10月以降に段階的に撤廃される予定とされているため、正確な人数要件は厚生労働省「年収の壁」への対応で最新情報をご確認ください。
今すべきこと3つ

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- 年内の見込み年収を今のうちに親子で共有する。 年末調整の「扶養控除等(異動)申告書」を書く段階で慌てないよう、8月時点の累計とシフト予定から着地額を試算しておきましょう。
- 労働契約書の内容を確認する。 2026年4月以降は契約上の年間収入見込額が判定のベースです。シフトを増やす前に、契約時間や時給の変更が扶養にどう響くかを勤務先に確認してください。
- 勤務先の従業員規模と週の労働時間を把握する。 2026年10月の賃金要件撤廃後は、週20時間以上かどうかが加入の分かれ目になります。
まとめ
2026年8月時点の学生アルバイトの目安は、社会保険の扶養が150万円未満、親の税の控除は159万円まで満額・197万円まで段階的に残る、という2軸です。旧基準の123万円/150万円/188万円で書かれた記事も多いため、数字を見たら「令和何年分か」を必ず確認してください。
制度は2026年10月にもう一度動きます。判断に迷ったら、社会保険は日本年金機構や勤務先の担当窓口、税金は国税庁や年末調整の窓口へ。夏のシフトを増やす前に、一度だけ試算してみることをおすすめします。
