申告書類にペンで記入する手元
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扶養控除等(異動)申告書の書き方【記入ミスしやすい5つの欄】配偶者あり・扶養家族ありの記入例と準備物チェックつき

結論

勤務先から渡された扶養控除等(異動)申告書は、欄が多く見えても、実際に手が止まるのは5つの欄だけです。扶養控除等申告書の書き方は、次の3ステップに整理できます。

  1. 本人情報欄(氏名・個人番号・住所・世帯主・配偶者の有無)を埋める
  2. 自分に該当する控除欄(配偶者・扶養親族・障害者等)だけを埋める
  3. 16歳未満の子どもがいる人は「住民税に関する事項」に書き足す

該当しない欄は空欄で構いません。独身で扶養家族がいない人は、本人情報欄だけで完成します。迷いやすい欄と確認ポイントを先に一覧にしておきます。

迷いやすい欄 確認すること
個人番号(マイナンバー) 本人・配偶者・扶養親族の番号。勤務先から省略指示が出ていないか
源泉控除対象配偶者 配偶者の来年の所得見積額と、自分自身の所得見積額
控除対象扶養親族 扶養する親族の年齢区分(16歳以上か、19〜23歳か、70歳以上か)
障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生 該当する事実があるか。あれば該当欄にチェックと事実の記載
住民税に関する事項 16歳未満の扶養親族がいるか

令和8年分でも、書く内容そのものは変わっていません。国税庁は「令和8年分の扶養控除等申告書に記載する事項に変更はありません。ただし、令和8年12月1日から給与所得控除額及び扶養親族等の所得要件が改正されます。」と説明しています(国税庁「令和8年度税制改正Q&A」 Q2-1、令和8年5月/2026-09-02時点)。様式が刷新されたわけではないので、去年と同じ感覚で書き進めて問題ありません。

扶養控除等申告書の提出先・提出期限を先に確認

ここからは、用紙(または勤務先のシステム画面)を前にした状態を想定し、上から順に追っていきます。正式名称は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」、実務では「マル扶」とも呼ばれます。給与の支払を受ける人が提出義務者で、勤務先を経由して税務署長・市区町村長へ提出されます(国税庁「A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」)。

申告書類にペンで記入する手元

出典: Unsplash

提出期限は、その年最初に給与の支払を受ける日の前日までです。年の中途で就職した場合は、就職後最初の給与支払日の前日までとなります。実務上は年末調整のタイミングで翌年分をまとめて配られることが多く、秋に手元へ届くのはこのためです。

書き始める前に準備するもの

先に情報をそろえておくと、途中で家族に確認するために手が止まりません。最低限そろえたいのは次の5点です。

準備するもの 用途 補足
本人のマイナンバー 個人番号欄 通知カード・マイナンバーカードで確認
配偶者・扶養親族のマイナンバー 各控除欄の個人番号 同居していない親の分も必要になる場合あり
家族の氏名・生年月日・続柄 各控除欄 生年月日は年齢区分の判定に直結する
家族の住所 各控除欄 別居の親などは現住所を確認しておく
家族の来年の収入見込み 所得の見積額欄 給与明細やパート先のシフト予定から概算する

マイナンバーは、本人・控除対象配偶者・控除対象扶養親族等の分を原則記載します。ただし勤務先が本人確認済みの一定の帳簿を備えている場合など、省略できる特例もあります(国税庁「源泉所得税関係に関するFAQ」)。書く側としては「勤務先から省略の指示があれば空欄でよい」と考えれば十分です。

迷ったら、記載例付きのPDF様式を横に並べるのが最短です。通常版・入力用版・記載例付き版が国税庁の様式ページにあるので、該当年分をダウンロードしてください。

記入ミスしやすい5つの欄の書き方

1. 本人情報欄

用紙の最上部にある、勤務先名・氏名・個人番号・住所・世帯主・配偶者の有無を書く部分です。注意したいのは「世帯主」が自分自身とは限らない点。実家暮らしなら父や母が世帯主のことが多く、その場合は世帯主の氏名を書き、続柄は「父」「母」と記載します。

「配偶者の有無」は、控除の対象になるかどうかではなく、法律上の配偶者がいるかどうかで答える欄です。共働きで配偶者控除の対象にならない場合でも「有」になります。

2. 源泉控除対象配偶者欄

配偶者がいる人が最初に迷う欄です。書くのは、毎月の源泉徴収の段階から控除を反映してもらう配偶者の情報で、氏名・個人番号・生年月日・住所と、その年の「所得の見積額」を記載します。

対象範囲は、配偶者の合計所得見積額が95万円以下(給与収入だけなら年収160万円以下)で、かつ本人の合計所得見積額が900万円以下(同年収1,095万円以下)とされています。この数値は複数の給与計算ソフト会社の解説で共通して示されているものです。記入前に、国税庁の当該年分「記載例付き」PDF(様式ページからダウンロード可)の配偶者欄の記載例で、同じ基準額になっているか照らし合わせておくと安心です(2026-09-02時点)。

多い間違いは、所得の見積額欄に「年収」をそのまま書いてしまうことです。ここは収入から給与所得控除を差し引いた後の所得を書く欄で、たとえば給与収入だけで年収160万円のパート収入がある場合、給与所得控除を差し引いた所得はちょうど95万円になり、これが前述の基準の上限にあたります。年収がこれより少なければ所得も基準以下に収まる、とイメージすると計算しやすくなります。以降のセクションでも「所得」と「収入」の違いに繰り返し触れますが、計算のイメージはこの例を参考にしてください。

3. 控除対象扶養親族欄

子どもや親を扶養している人が書く欄です。氏名・個人番号・続柄・生年月日・住所・所得の見積額に加え、年齢による区分にチェックを入れます。区分は一般に次のように分かれているとされます。

区分 対象年齢の目安 ポイント
一般の控除対象扶養親族 16歳以上 16歳未満はこの欄ではなく住民税欄へ
特定扶養親族 19歳以上23歳未満 大学生年代の子が該当しやすい
老人扶養親族(同居老親等) 70歳以上で同居 同居しているかどうかで区分が変わる
老人扶養親族(その他) 70歳以上で非同居 仕送りしている親などが該当

この区分構成は複数の給与計算ソフト会社の解説で共通して示されている内容です。年齢の境目に近い家族がいる場合は、国税庁の当該年分「記載例付き」PDF(様式ページからダウンロード可)で区分名と該当年齢を照らし合わせておくと確実です。

なお、19歳以上23歳未満の親族には、令和8年度税制改正で新設された「特定親族特別控除」もあります。対象になるのは、親族の合計所得金額が特定扶養親族の要件(62万円、給与収入だけなら年収123万円)を超え、一定額以下の場合です。つまりアルバイト収入が123万円を少し超えたからといって扶養控除がいきなりゼロになるわけではなく、収入に応じて段階的に控除を受けられる仕組みです。具体的な控除額や上限の収入額は「給与所得者の特定親族特別控除申告書」の記載要領で定められているため、本記事では扶養控除等申告書側の扱いにとどめます。この控除自体は「給与所得者の特定親族特別控除申告書」という別の用紙で申告しますが、扶養控除等申告書の源泉控除対象親族欄への記載は必要とされています(前掲Q&A Q2-4)。大学生の子のアルバイト収入が123万円前後になりそうな場合は、対象になるかどうかを勤務先の給与担当者に確認しておくと安心です。

4. 障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生欄

該当する事実がある人だけが書く欄です。本人・同一生計配偶者・扶養親族のいずれが該当するかにチェックを入れ、「左記の内容」欄に障害の等級や手帳の種類など具体的な事実を記載します。該当がなければ空欄で構いません。

ひとり親控除は、控除額を35万円から38万円に引き上げる改正が入っていますが、適用は令和9年分以後の所得税からで、令和8年分の年末調整には影響しません(前掲Q&A Q3-2)。今年の記入方法が変わるわけではありません。

5. 住民税に関する事項

用紙の下部にある、見落としの多い欄です。16歳未満の扶養親族は所得税の扶養控除の対象外なので上段には書きませんが、住民税の計算では必要になるため、この欄に氏名・個人番号・続柄・生年月日・住所などを記載します。

小中学生の子どもがいる人が上段だけ埋めて提出し、差し戻されるのが典型的なミスです。16歳を境に書く場所が上段と下段で分かれる、と覚えておくと迷いません。

ケース別記入例|配偶者パート・大学生の子がいる場合

積み重なった書類のフラットレイ

出典: Unsplash

具体例で、どの欄に何を書くかを通しで見てみます。設定は「本人は会社員(給与収入のみ)、配偶者はパート、子は大学生でアルバイト収入あり、下の子は中学生」です。

家族 書く欄 記入内容の要点
本人 本人情報欄 氏名・個人番号・住所・世帯主・配偶者の有無「有」
配偶者(パート) 源泉控除対象配偶者欄 所得の見積額は年収ではなく所得ベースで記入
子(大学生) 控除対象扶養親族欄 19歳以上23歳未満なら特定扶養親族の区分にチェック
子(中学生) 住民税に関する事項 16歳未満なので下段に記入

配偶者をこの欄に書けるかは、前述の所得基準に収まるかで決まります。パート収入が基準を超えそうなら、この欄には書かず、年末調整時の配偶者控除等申告書で申告する流れです。迷う年収帯なら、給与担当者に「源泉控除対象配偶者として記載してよいか」を先に確認するのが確実です。

大学生の子にアルバイト収入がある場合も、見積額欄には年収ではなく所得を書きます(計算のイメージは「2. 源泉控除対象配偶者欄」の例を参照)。アルバイト収入が給与収入123万円前後まで増えてきたら、特定扶養親族の対象から外れ「特定親族特別控除」の対象になる可能性があるため、あわせて勤務先に確認しておくと安心です(詳しくは「3. 控除対象扶養親族欄」参照)。

令和8年分の改正が記入欄に与える影響

改正のニュースを見て不安になった人向けに、「書く上でどう影響するか」だけに絞ります。令和8年度税制改正(令和8年12月1日施行、令和8年分以後の所得税に適用)で、扶養親族・同一生計配偶者・ひとり親の生計を一にする子の所得要件が、合計所得金額58万円以下から62万円以下に引き上げられました。給与収入だけなら年収123万円以下に相当します(前掲Q&A Q7-1・Q6-4)。なお「同一生計配偶者」は、配偶者控除の判定に使われる区分の呼び方で、この記事の「2. 源泉控除対象配偶者欄」で扱う源泉控除対象配偶者とは所得基準の線引きが別だとされています。本記事は源泉控除対象配偶者欄の書き方に絞って解説しているため、配偶者控除そのものの判定については勤務先の年末調整担当者や国税庁のQ&Aで確認してください。

記入面で重要なのは2点です。第一に、要件の緩和で新たに扶養控除等の対象になる親族がいる場合は、その旨を記載した申告書を勤務先に提出する必要があり、「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと記載します(前掲Q&A Q2-1)。

第二に、令和8年11月30日以前に支払う給与の源泉徴収事務では、改正後の所得要件を扶養親族等の数に含めてはいけないとされています。反映は令和8年12月1日以後の支払分からなので、11月の給与で扶養人数が増えていなくても誤りではありません。

なお、基礎控除額も58万円から62万円へ引き上げられていますが(合計所得金額2,350万円以下の場合)、基礎控除は「基礎控除申告書」の記載事項でこの用紙には書きません。また、所得要件については「48万円→58万円」という過去の改正時の数値が検索結果に混在しがちです。令和8年分で参照すべきは58万円から62万円への引き上げです(2026-09-02時点)。

よくある記入ミスと訂正・提出時の注意点

最後に、提出前に見直したいポイントをまとめます。

  • マイナンバーの記載漏れ: 本人だけ書いて家族分を忘れがち。省略指示がある場合を除き家族分もそろえる
  • 所得と収入の混同: 見積額欄は「所得」を書く欄。年収をそのまま書かない(計算例は「2. 源泉控除対象配偶者欄」を参照)
  • 年齢区分の取り違え: 16歳・19歳・23歳・70歳前後の家族は生年月日で要確認
  • 16歳未満の子を上段に書く: 住民税に関する事項へ移す
  • 見積額に神経質になりすぎる: 提出時点の見込みでよく、実額が変われば異動として申告し直せる

書き間違えた場合は二重線で訂正するのが一般的です。修正テープや修正液は避け、訂正範囲が大きいときは新しい用紙に書き直すほうが早いこともあります。ただし訂正印の要否などのルールは勤務先ごとに異なるため、最終的には年末調整の担当部署の指示に従ってください。

提出期限を過ぎた場合も、出さないまま放置しないことが大切です。申告書がないと源泉徴収が不利な扱いになり、年末調整でも控除が反映されません。気づいた時点で勤務先へ提出し、間に合わなければ確定申告で精算します。

まとめ

扶養控除等(異動)申告書の書き方は、本人情報を埋め、自分に該当する控除欄だけを埋め、16歳未満の子がいれば住民税欄に書き足す、というシンプルな流れです。提出前に、次の5点だけ最終チェックしてください。

  • 家族分のマイナンバーは書けているか(勤務先の省略指示がある場合を除く)
  • 所得の見積額は「収入」ではなく「所得」で書けているか
  • 扶養親族の年齢区分は生年月日と合っているか
  • 16歳未満の子を住民税に関する事項に書いたか
  • 新たに扶養の対象になった親族について「異動月日及び事由」を書いたか

金額の基準や区分名で迷ったら、国税庁の様式・記載例ページから記載例付きPDFを開いて突き合わせるのが確実です。改正の適用時期は国税庁の令和8年度税制改正Q&Aにケース別の回答があります。それでも判断がつかないときは、自己判断で空欄にせず、勤務先の給与・人事担当者に確認してから提出しましょう。

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