NISA口座を他の証券会社に変更する手順|必要書類と知っておきたい3つのルール
「手数料が高い」「買いたい投資信託の取り扱いがない」。そんな理由でNISA口座を別の金融機関に移したくなっても、必要書類の名前が難しく、手続きの全体像がつかみにくいものです。NISA口座の金融機関変更は年に1回しか認められておらず、条件と期限を外すと次のチャンスは1年後になります。この記事では、必要書類・申請の流れ・主要ネット証券での操作名までを順に解説します。
NISA口座の金融機関変更とは?先に結論を確認
NISA口座を他の証券会社・銀行に移す手続きは、大きく3つのステップで完結します。(1)今の金融機関に「金融商品取引業者等変更届出書」を提出して廃止通知書を受け取る、(2)変更先の金融機関に「非課税口座開設届出書」と受け取った通知書を提出する、(3)変更先が税務署に申請し、その確認を経て開設が完了する、という流れです(金融庁「NISA特設ウェブサイト Q&A」)。
ただし、誰でもいつでも変更できるわけではありません。変更は1年に1回まで、受付期間は変更を希望する年の前年10月1日からその年の9月30日までです。さらに、その年のNISA口座で一度でも買付をしていると、その年中は金融機関を変更できません。
| 確認したいこと | 答え |
|---|---|
| 変更できる回数 | 1年に1回 |
| 受付期間 | 変更を希望する年の前年10月1日〜その年の9月30日 |
| その年に買付済みの場合 | その年は変更不可(保有商品の売却は可能) |
| 主な必要書類 | 勘定廃止通知書(または非課税口座廃止通知書)+非課税口座開設届出書 |
| 保有商品の移管 | 不可。変更前の金融機関で保有を継続する |

NISA口座の金融機関変更で知っておくべき3つのルール
変更は1年に1回、受付期間は「前年10月1日〜その年9月30日」
NISA口座の金融機関変更は暦年を単位に管理され、1年に1回だけ認められています。受付期間は、変更を希望する年の前年10月1日からその年の9月30日まで。翌年から新しい金融機関で買い付けたいなら、その前年の10月1日以降に動き出せば間に合う計算です。
なお、金融機関によっては制度上の期限より早い独自の締切を設けていることがあります。変更を決めたら、まず現在の金融機関に受付の締切と書類の請求方法を確認しておくと安心です。
その年に一度でも買付をしていると、その年中は変更できない
その年分のNISA口座で1回でも買付をしていると、その年のうちは金融機関を変更できません。つみたて投資枠の積立設定が動いたままになっていて、気づかないうちに買付が成立しているケースもあります。変更を考えたら、まず積立設定を止めて約定の有無を確認しましょう。
一方で、保有している商品の売却は制限されていません。売却は自由に行えるため、「買付はしていないが売却はした」という年でも変更手続きは進められます。
保有中の商品は新しい口座に移せない(移管不可)
変更前のNISA口座で買った株式や投資信託は、変更後の金融機関のNISA口座へそのまま移すことはできません(楽天証券「NISA口座の金融機関変更」)。非課税のまま持ち続けたい場合は、変更前の金融機関に口座を残したまま保有を続けることになります。
同じ銘柄を新しい口座で持ちたいなら、いったん売却して新しい口座で買い直す必要があります。その場合は新しい非課税枠を消費することになるため、移りたい気持ちだけで判断せず、保有商品の扱いを先に決めておきましょう。
変更先を選ぶときに確認しておきたい視点
「今の証券会社の手数料が高い」「買いたい投資信託の取り扱いがない」といった不満が変更のきっかけなら、手続きを始める前に変更先の候補を比較しておくことが大切です。手続き自体を終えても、移った先が今より良い環境でなければ不満は解消されません。
- 取扱商品の本数・ラインナップ: 投資信託・国内株式・米国株式・海外ETFなど、自分が買いたい商品を扱っているかを申込前に必ず確認しましょう。
- 積立の最低金額・積立頻度: 毎月いくらから積み立てられるか、積立のタイミングを選べるかは金融機関によって条件が異なります。
- 売買手数料などのコスト: 同じ商品でも購入時手数料の有無や条件が金融機関ごとに異なる場合があります。
- クレジットカード積立などのポイント還元: 積立時のポイント付与の有無や還元率の条件も金融機関ごとに違います。
これらの条件は金融機関や時期によって変わりやすいため、具体的な数値・条件は各社の公式サイトで申込前に最新情報を確認してください。以下では、主要ネット証券3社での実際の手続きの流れを紹介します。
金融機関変更の手順【ステップバイステップ】
ステップ1 現在の金融機関で変更届出書を提出し、廃止通知書を受け取る
最初に行うのは、今NISA口座を持っている金融機関への届出です。「金融商品取引業者等変更届出書」を提出すると、「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」が発行されます。この通知書がないと変更先で手続きを進められないため、ここが出発点になります。
2種類の通知書は用途が異なります。どちらを受け取るかで保有商品の扱いが変わるため、請求時に確認してください。
| 通知書の種類 | 使う場面 | 保有商品の扱い |
|---|---|---|
| 勘定廃止通知書 | NISA口座で買付する金融機関だけを変更する | 変更前の金融機関で非課税のまま保有を継続できる |
| 非課税口座廃止通知書 | NISA口座自体を廃止して別の金融機関で開設し直す | NISA口座の廃止に伴い課税口座(特定口座等)へ払い出される |
多くの場合、単に買付先の金融機関を変えたいだけなら「勘定廃止通知書」で手続きが完結し、保有商品も非課税のまま変更前の金融機関に残せます。一方「非課税口座廃止通知書」はNISA口座そのものをいったん廃止したい場合に使うもので、この場合は保有商品が課税口座(特定口座等)へ払い出され、以後はその商品の値上がり益や配当・分配金が非課税の対象外になります。単に金融機関を変えたいだけなら「勘定廃止通知書」を選ぶのが基本と考えてよいでしょう。迷う場合は、請求時に今の金融機関の窓口に目的を伝えて確認してください。
(参考: マネックス証券「NISA口座の廃止手続き」、SBIネオトレード証券「NISA口座の金融機関変更」)

勘定廃止通知書の見本(出典: 楽天証券「勘定廃止通知」/「非課税口座廃止通知」見本と入力方法)
発行までの日数は金融機関ごとに異なります。SBI証券は、手続き後に勘定廃止通知書を電子交付で2〜3営業日程度、郵送交付で5〜6営業日程度としています(2026-09-12時点、SBI証券FAQ)。
ステップ2 変更先に「非課税口座開設届出書」と廃止通知書を提出する
通知書を受け取ったら、変更先の金融機関に「非課税口座開設届出書」とあわせて提出します。変更先にまだ総合口座がない場合は、総合口座の開設申込とNISA口座の申込をまとめて行う形になります。本人確認書類の提出を求められるので、あらかじめ手元に用意しておくとスムーズです。
提出方法は書類の郵送に限りません。たとえば楽天証券は2024年11月以降、他社で発行された廃止通知書に記載された内容をWeb上で入力するだけで申し込める方式になっており、書類の郵送は原則不要です(2026-09-12時点、各社の運用は変更される場合があります)。
ステップ3 税務署の確認・審査を経てNISA口座の開設が完了する
申込後は、変更先の金融機関が税務署へ申請し、二重口座(複数の金融機関で同時にNISA口座を持つこと)がないかの確認が行われます。この確認が終わってはじめてNISA口座が開設され、買付ができるようになります。
税務署の確認にかかる日数は、公式に一律の日数が示されているわけではなく、情報源によって幅があります。数週間〜1ヶ月程度を目安に、余裕をもって始めるのが安全です。書類請求から開設完了までの全体では数週間〜1、2ヶ月程度かかることがあるとされ、その間はNISA口座で新規買付ができない空白期間が生じます(つみたてNISAナビ)。

主要ネット証券での手続きの呼び方・進め方
制度上の流れは同じでも、申込の入口や画面上の名称は金融機関ごとに違います。概ね次のような方式・メニュー名から進むと考えてください(2026-09-12時点。画面の名称は変更される場合があります)。
| 証券会社 | 変更先として申し込むときの方式 | 備考 |
|---|---|---|
| SBI証券 | WEB申込・書類申込のどちらも可能 | 他社発行の通知書の情報を入力またはSBI証券へ郵送し、本人確認書類とあわせて提出 |
| 楽天証券 | Web入力で完結(2024年11月以降、郵送は原則不要) | 口座がなければ総合口座とNISA口座をまとめて申込、既存口座はログイン後に追加申込 |
| マネックス証券 | NISA口座開設申込時に通知書の内容をWeb入力 | マネックス証券と税務署の審査完了後、ログイン後の画面で開設状況を確認できる |

なお、ここではSBI証券・楽天証券・マネックス証券の3社を取り上げていますが、auカブコム証券や野村證券など他の金融機関でも、制度上の大枠の流れ(廃止通知書の取り寄せ→変更先への提出→税務署の確認)は共通です。今の証券会社やこれから使いたい証券会社がこの3社に含まれない場合も、詳細な操作名は各社のNISA窓口・FAQで確認してください。
SBI証券の場合
一言でいうと、今SBI証券にNISA口座がある人はサイト内の設定画面から、他社からSBI証券へ移りたい人はWEBまたは書類のどちらでも申し込める証券会社です。
今のNISA口座がSBI証券にあるなら、ログイン後に「My設定」→「お客さま情報 設定・変更」→「お取引関連・口座情報」→「NISA」→「他社への変更手続き」と進んで申し込みます。手続き後、勘定廃止通知書が電子交付または郵送で届きます。
逆に他社からSBI証券へ移る場合は、WEB申込と書類申込のどちらも選べます。他社発行の勘定廃止通知書または非課税口座廃止通知書の情報を入力するか、SBI証券へ郵送し、本人確認書類とあわせて提出します(SBI証券FAQ)。
楽天証券の場合
一言でいうと、書類の郵送をなるべく避けたい人向けの証券会社です。他社発行の廃止通知書の内容をWeb上で入力するだけで申し込みが完結します。
楽天証券へ移る場合は、他社で発行された廃止通知書の記載内容をWeb上で入力する方式です。楽天証券に口座がない人は総合口座とNISA口座をまとめて、すでに口座がある人はログイン後に追加で申し込みます。通知書のどこを見て何を入力するかは、公式の見本ページで確認できます。
マネックス証券の場合
一言でいうと、楽天証券と同様にWeb入力中心で手続きを進められる証券会社です。開設状況もログイン後の画面で自分で確認できます。
マネックス証券も、NISA口座の開設申込時に他社発行の勘定廃止通知書(または非課税口座廃止通知書)の内容をWebで入力する流れとされています。マネックス証券と税務署の審査が完了すると、ログイン後の画面で開設状況を確認できます。最新の手順はマネックス証券の公式案内で確認してください。
よくある失敗・注意点
手続き自体は難しくありませんが、つまずきどころは決まっています。つみたてNISAナビなどで紹介されている代表的な失敗は次のとおりです。
- 受付期間を過ぎて翌年扱いになる: 制度上の期限は9月30日ですが、金融機関が独自に早めの締切を設けていることがあります。書類の往復と税務署の確認にも時間がかかるため、思い立ったらすぐ動くのが正解です。
- 変更先に希望の商品がなかった: 移った先で買いたい銘柄やファンドの取り扱いがないと分かっても、その年はもう変更し直せません。申込前に取扱商品を必ず確認しましょう。
- 手続き中に買付できない空白期間ができる: 完了まで数週間〜1、2ヶ月程度かかることがあり、その間は変更先のNISA口座がまだ開設されていないため、その口座での新規買付そのものができません。積立設定をしていた場合の扱い(自動的に停止するのか、特定口座など課税口座での積立に切り替わるのか等)は金融機関によって異なるため、断定はできません。毎月の積立を続けたい人は、申込前に変更先の窓口へ空白期間中の積立の扱いを確認しておくと安心です。
- 以前どこでNISA口座を作ったか忘れている: 二重口座は税務署の確認で弾かれます。心当たりのある金融機関に問い合わせ、どこに口座があるかを先に確定させましょう。
なお、つみたて投資枠と成長投資枠は同一のNISA口座内の別枠であり、金融機関の変更手続きは枠ごとではなくNISA口座単位で行います。枠だけを別の金融機関に分けることはできない点も押さえておきましょう。
まとめ|変更前にチェックすべきこと
NISA口座の金融機関変更は、(1)今の金融機関から廃止通知書を受け取る、(2)変更先に非課税口座開設届出書とあわせて提出する、(3)税務署の確認を経て開設完了、という3ステップです。押さえるべきルールは、年1回・前年10月1日〜その年9月30日という受付期間、その年に買付をしていないこと、保有商品は移管できないことの3点に尽きます。
次にやることはひとつです。今の金融機関の問い合わせ窓口やFAQで、「勘定廃止通知書の請求方法」と「社内で設けている締切」を確認してください。そのうえで、変更先の候補が自分の買いたい商品を扱っているかをチェックすれば、手続きの失敗はほぼ防げます。
制度そのものの一次情報は金融庁のNISA特設ウェブサイトにまとまっています。各社の申込方法は変わることがあるため、実際に申し込む前に利用する金融機関の公式サイトで最新の案内を確認しましょう。
