ペット同行避難ガイド|環境省ガイドライン2026年改訂で変わること・今日からできる備え5ステップ
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「地震が来たら、この子を連れて避難所に行っていいのだろうか」。ペットと暮らす家庭なら、一度は考えたことがあるはずです。結論から言えば、ペットを連れて避難すること(同行避難)は環境省のガイドラインで原則として推奨されている行動です。そして今回のガイドライン改訂で特に押さえておきたいのが、在宅避難や車中泊といった「分散避難」をしている飼い主にも支援が行き届くよう、新たな方針が明記される見込みだという点です。
ただし、多くの人が誤解しているポイントがあります。避難所にたどり着いた後、ペットと同じ部屋で過ごせるかどうかは、また別の話なのです。この記事では、同行避難の基本と、2026年に予定されている環境省ガイドライン改訂の動き、そして今日から始められる5つの備えを整理します。

(画像出典: いらすとや)
ペットと一緒に避難できる?まず知っておきたい「同行避難」の基本
同行避難とは、飼い主がペットを連れて指定緊急避難場所などまで避難する行動そのものを指します。ペットを家に残して逃げるのではなく、一緒に安全な場所へ移動する。これが環境省のガイドラインが原則としている考え方です。
ここで重要なのが、同行避難は「避難所でペットと同室で過ごせること」を保証する言葉ではないという点です。環境省ガイドラインの解説では、同行避難について次のように整理されています。
同行避難とは、飼い主が飼養しているペットを同行し、指定緊急避難場所等まで避難することを指し、避難所等において飼い主がペットを同室で飼養管理することを意味するものではない(空飛ぶ捜索医療団ARROWS)
つまり「連れて逃げること」と「一緒に寝泊まりできること」は別問題です。この2つの言葉の違いを、次の表で整理します。
「同行避難」と「同伴避難」はどう違う?
避難所の運営ルールは自治体・施設ごとに異なるため、「うちの避難所はどちらなのか」を平時に確認しておくことが大切です。
| 項目 | 同行避難 | 同伴避難 |
|---|---|---|
| 意味 | ペットを連れて避難場所まで一緒に移動する行動 | 避難所などで飼い主がペットと同室で飼養管理すること |
| 環境省ガイドラインの位置づけ | 原則として推奨される行動 | 同行避難=同伴避難ではないと明確に区別されている |
| 実際の運用 | 受け入れ可否・方法は自治体や避難所ごとに異なる | 多くの避難所ではペット専用スペースでの飼養が基本 |
「同行避難ができる避難所=ペットと同じ部屋で過ごせる避難所」ではありません。ケージやキャリーバッグに入れて別室・屋外テントなどで管理するケースも多くあります。だからこそ、後述するキャリーバッグ慣らしの訓練が現実的な意味を持ってくるのです。

(画像出典: 株式会社レティシアン プレスリリース/PR TIMES)
【2026年最新】環境省ガイドライン改訂で何が変わる?
結論から言うと、今回の改訂で最も注目すべきは、在宅避難や車中泊などの「分散避難」をしている飼い主にも支援が行き届くよう、新たな方針が明記される見込みだという点です。詳しくは次の項で解説しますので、まずは改訂の経緯を押さえておきましょう。
環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」は、東日本大震災を受けて2013年に策定され、熊本地震を受けて2018年に改訂された経緯があります。そして今回、令和6年能登半島地震(2024年)での対応検証を踏まえた改訂の検討が進められています。
獣医畜産新報(文永堂出版)の報道によれば、改訂に係る検討会の第1回は2025年10月29日に開催され、2026年2月予定の第4回検討会で新ガイドライン案を作成、2026年3月の策定を目指す方針が示されていました。
ただし、これは2025年10月末時点のスケジュールに基づく「予定」です。本記事執筆時点(2026-08-07)で改訂版が正式に公表・施行されたかまでは確認できていないため、最新状況は環境省の公式ページで確認してください。
改訂の背景には、能登半島地震で浮かび上がった具体的な課題があります。危機管理部局と健康福祉部の連携不足、避難所運営者への情報周知不足、そして同行避難者や分散避難者の状況を把握しきれなかったこと。こうした反省を受け、防災部局と動物担当部局の連携、獣医師会など関係団体との連携強化が改訂の柱の一つに挙げられています。
分散避難でも支援を受けられる可能性がある
分散避難とは、指定避難所以外の避難形態、たとえば親戚・知人宅への避難、自宅での在宅避難、車中泊やテント泊などを含む考え方を指します。これまでのガイドラインでは、こうした分散避難者への目配りが手薄になりがちでした。
NPO法人ペット防災ネットワークの解説によれば、改訂案では在宅避難者の状況を把握したうえで物資の配分や周知方法を工夫し、指定避難所での対応との間に差が生じないよう配慮することが求められる内容が盛り込まれています。車中泊・テント泊で飼養している場合も、必要に応じて指定避難所などで支援物資や情報を入手するよう呼びかける内容が含まれています。
ただし、制度と実態にはまだギャップがあります。同記事が紹介する内閣府調査の結果を整理すると、次のとおりです。
- 車中泊支援の必要性を認識している自治体:約76%
- 実際に具体的な取り組みを行っている自治体:31%
- 被災経験があり、実際に支援を実施できた自治体:16%
- 分散避難者の状況把握方法が「決まったものはない」と回答した自治体:70%超
必要性の認識は広がっている一方、実際の体制づくりや被災時の対応はまだ追いついていないのが実情です。だからこそ、飼い主側から「自分と家族はここにいる」と伝える意識が重要になります。在宅避難や車中泊を選ぶ場合でも、最寄りの指定避難所に一度顔を出し、避難者名簿への記載や連絡先の登録ができるか確認しておきましょう。
今日からできる備え5ステップ
制度の話を知ったうえで、家庭でできることに落とし込みます。どれも特別な道具は不要で、今日から始められるものばかりです。

(画像出典: いらすとや)
- 避難場所のペット受け入れ可否を自治体サイトで確認する — 受け入れ可否も飼養方法も市区町村ごとに大きく異なります。「〇〇市 ペット 避難所」で検索し、公式ページの記載を確認しておきましょう。
- キャリーバッグ・ケージに慣らす訓練をしておく — 避難所ではケージ内での飼養が基本になるケースが多くあります。普段から「入ると落ち着ける場所」にしておくことが、ペット自身のストレス軽減にもつながります。
- 迷子札・マイクロチップで身元表示を用意する — はぐれたときに再会できるかは、身元表示の有無で大きく変わります。
- ペット用備蓄品を用意する — 避難所ではペット用の水や食料が支給されないことも多く、飼い主が自分で用意しておく必要があります。
- 避難所でのマナー・ルールを家族で確認しておく — 鳴き声・においへの配慮、専用スペースでの飼養が基本であることを、家族全員で共有しておきます。
マイクロチップは義務? 既に飼っているペットの扱い
マイクロチップについては、義務の範囲を正しく理解しておくと安心です。東京都保健医療局の解説によれば、改正動物愛護管理法により、犬猫販売業者が2022年6月1日以降に取得した犬猫にはマイクロチップの装着と環境大臣への情報登録が義務化されました。
一方、すでに飼育中の犬猫への装着は義務ではなく努力義務です。装着していない場合でも、首輪に迷子札を付ける、鑑札・注射済票を装着するといった方法で身元表示は可能です。災害時は首輪が外れる可能性もあるため、複数の手段を併用しておくと安心でしょう。

(画像出典: いらすとや)
ペット用備蓄はどれくらい必要?
備蓄量の目安は、人間用の非常食とは考え方が少し異なります。環境省ガイドラインに掲載されているとされる目安は次のとおりです。
| 品目 | 備蓄量の目安 |
|---|---|
| ペットフード・飲料水 | 可能であれば1か月分 |
| 常備薬・療法食 | 可能であれば1か月分 |
| ペットシーツ・トイレ用品・食器など | 1週間程度 |
フードや水は普段から多めに買い置きし、日常的に消費しながら補充する「ローリングストック方式」が現実的です。ARROWSの解説では、薬についてはかかりつけの動物病院に相談し、多めに処方してもらう方法が紹介されています。次回の通院時に「災害用に少し多めにいただけますか」と一言相談してみてください。
なお、キャリーバッグがそのまま避難先のケージとして使える拡張式の防災セットなども市販されています。価格や仕様は変動するため、購入前に販売元の公式ページで最新情報を確認しましょう。

(画像出典: 株式会社レティシアン プレスリリース/PR TIMES)
実際の被災地では何が起きたか|能登半島地震の教訓

(画像出典: いらすとや)
制度が整っていても、現場では想定外のことが起きます。令和6年能登半島地震では、大型犬などを連れた飼い主が「他の避難者に迷惑をかけたくない」という配慮から避難所に行かず、車中泊や在宅避難を選ぶケースが数多く見られたと報告されています。
日本経済新聞の報道でも、周囲への遠慮から車中泊を続ける飼い主が少なくなかったことが伝えられています。避難所という選択肢があっても、ペットのために自ら過酷な環境を選んでしまう。これが今回の改訂で分散避難者支援が論点になった背景です。
裏を返せば、避難所以外の場所にいる飼い主にも支援を届ける仕組みが動き出そうとしている、ということでもあります。「避難所に行けないから何ももらえない」と諦めず、支援の窓口がどこにあるかを平時のうちに調べておくことが、ご自身とペットを守る力になります。
まとめ|今日、まず何をすればいいか
同行避難はペットを連れて避難場所まで移動する行動であり、避難所で同室に過ごす同伴避難とは別の概念です。この違いを理解したうえで、避難所の運営ルールに合わせた備えをしておくことが、いざというときの落ち着きにつながります。
今日できることは2つあります。ひとつは、お住まいの自治体の公式サイトでペット受け入れ可否を確認すること。もうひとつは、キャリーバッグを部屋に出して、ペットが自分から入れる状態にしておくことです。どちらも数分から始められます。
環境省ガイドラインの改訂は2026年3月の策定を目指すとされていましたが、公表・施行の状況は変わり得ます(2026-08-07時点)。環境省の公式ページと、お住まいの自治体の防災情報を定期的にチェックし、最新のルールに合わせて備えを更新していきましょう。大切な家族を守れるのは、平時の小さな準備の積み重ねです。
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