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遺族年金は自動的にもらえない|請求の手順と必要書類まとめ

結論

家族を亡くした直後は、葬儀や役所の届出に追われて何から手をつければよいか分からなくなります。遺族年金についても「条件を満たしていれば、そのうち振り込まれるのだろう」と考えてしまいがちです。しかし、ここに大きな落とし穴があります。

遺族年金は、受給要件を満たしていても自動的には振り込まれません。 日本年金機構は、年金は受け取る条件がそろっていても自動的に支払われるものではなく、受給するには本人(遺族年金の場合は遺族)が年金事務所等で請求手続きをする必要があると案内しています(日本年金機構「遺族年金を請求する方の手続き」)。

つまり遺族年金の請求手続きは、「年金請求書」を自分で入手して記入し、必要書類を添えて窓口へ提出するところから始まります。放置している限り、支給が始まることはありません。

この記事では、次の4点を手順に沿って確認していきます。

  • 自分が受け取れるのは遺族基礎年金か、遺族厚生年金か
  • 請求先はどの窓口か(市区町村役場か、年金事務所か)
  • 年金請求書と一緒に何を揃えればよいか
  • 提出してから受給が始まるまでに何が起きるか

なお、請求してすぐ振り込まれるわけではなく、審査を経て受給開始までには数か月単位の時間がかかります。だからこそ、書類を早めに揃えて動き出すことが結果的にいちばんの近道です。

この記事の結論を先に一言でいうと

「待っていても遺族年金は振り込まれない。まず年金請求書を入手して動き出す」――これがすべての出発点です。

遺族年金には2種類ある|遺族基礎年金と遺族厚生年金の違い

まずは、自分が請求できる年金の種類を確かめるところから始めましょう。種類が決まれば、請求先も必要書類も自動的に決まります。

遺族年金は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つに分かれます。亡くなった方が国民年金に加入していたか、厚生年金保険に加入していたか(会社員・公務員だったか)で、受け取れる種類も請求先も変わります。両方を併せて受け取れるケースもあります。

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出典: いらすとや

項目 遺族基礎年金 遺族厚生年金
対象となる制度 国民年金 厚生年金保険
受け取れる遺族 子のある配偶者、または子 子のある配偶者、子、子のない配偶者、父母、孫、祖父母(優先順位あり)
主な請求先 市区町村役場の年金担当窓口 年金事務所・街角の年金相談センター

遺族基礎年金を受け取れる人

対象は、亡くなった方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」です。ここでいう「生計を維持されていた」とは、簡単にいえば、亡くなった方の収入によって暮らしが支えられていたことを指します。同居していたか、仕送りを受けていたかなど事情はさまざまで、実際に該当するかどうかの細かい基準は年金事務所の窓口で確認できます。ここでいう「子」とは、18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある方を指します(日本年金機構「遺族基礎年金」)。この条件に当てはまる子がいない配偶者は、遺族基礎年金の対象にはなりません。

遺族厚生年金を受け取れる人

遺族厚生年金は、次のいずれかに当てはまる方が亡くなったときに支給されます(遺族厚生年金の受給要件のページ)。

  1. 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
  2. 被保険者期間中に初診日がある傷病がもとで、初診日から5年以内に死亡したとき
  3. 障害厚生年金(1級・2級)の受給者が死亡したとき
  4. 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき

いずれか1つに当てはまれば要件を満たします。会社員などとして厚生年金に加入していた期間中に亡くなった場合は1、老齢厚生年金をすでに受け取っていた方が亡くなった場合は4に該当すると考えるとイメージしやすいでしょう。受け取れる遺族には次の優先順位があり、上位の方がいる場合は下位の方は受け取れません。

  1. 子のある配偶者
  2. 子のない配偶者
  3. 父母
  4. 祖父母

いずれも「亡くなった方に生計を維持されていたこと」(前述のとおり、亡くなった方の収入で暮らしが支えられていたこと)が条件です。加えて、上記1・2のように被保険者期間中の死亡などでは、死亡日の前日において保険料の納付済期間(免除期間を含む)が国民年金の加入期間の3分の2以上あることという納付要件も問われます。これは平たくいえば「亡くなった方がそれまで保険料をきちんと納めていたかどうかの確認」です。要件には特例もあり判断が難しいため、遺族厚生年金の受給要件のページを確認したうえで年金事務所に相談するのが確実です。

年金額は年度によって改定される

遺族年金の額や子の加算額は年度ごとに改定されるため、この記事では具体的な金額を示しません。自分のケースでいくら受け取れるかは、日本年金機構の遺族年金のページか、ねんきんネットで公表されている最新の数値を確認してください。金額を先に知りたい気持ちは自然ですが、請求しない限り1円も支給されない点は変わりません。

遺族年金の請求先はどこ?年金の種類で変わる窓口

請求先は、受け取る年金の種類によって次のように分かれます。

受け取る年金 請求先
遺族基礎年金のみ 住所地の市区町村役場の年金担当窓口(年金事務所でも受付可)
遺族厚生年金を含む場合 最寄りの年金事務所、または街角の年金相談センター

市役所のイラスト

出典: いらすとや

遺族基礎年金だけなら市区町村役場でも手続きできる

亡くなった方が自営業者などで国民年金のみに加入していた場合、請求先は住所地の市区町村役場の年金担当窓口です。年金事務所でも受け付けています。役場での他の死亡関連手続きとまとめて相談できるのが利点です。

年金事務所のイラスト

出典: いらすとや

遺族厚生年金があるなら年金事務所へ

亡くなった方が会社員などで厚生年金に加入していた場合の窓口は、年金事務所または街角の年金相談センターです。遺族基礎年金を併せて受け取るケースも、ここで一括して請求できます。

どちらか判断がつかないときは、まず年金事務所に相談して構いません。窓口で亡くなった方の年金加入履歴を確認したうえで、どの年金をどの様式で請求すべきか案内してもらえます。来訪前に電話で予約と持ち物を確認しておくと、二度手間を防げます。

遺族年金の請求手続きの流れ|6ステップで確認

全体の流れは次のとおりです。手続きそのものは複雑ではなく、時間がかかるのは主に書類集めと審査待ちです。

6ステップの中で特に時間がかかるのはどこ?

多くの場合、いちばん時間を取られるのはステップ2(必要書類を揃える)と、提出後のステップ4(審査を待つ)です。ステップ1・3・5・6は窓口や郵送でのやり取りが中心で、書類さえ揃っていれば比較的短時間で進みます。

ステップ やること 場所
1 年金請求書を入手する 窓口または公式サイト
2 必要書類を揃える 市区町村役場・病院・金融機関など
3 記入して提出する 年金事務所・年金相談センター・市区町村役場
4 審査を待つ
5 年金証書・年金決定通知書を受け取る 自宅に郵送
6 受給が始まる 指定口座へ振込

ステップ1. 年金請求書を入手する。 年金請求書は、近くの年金事務所や街角の年金相談センターの窓口で受け取れるほか、日本年金機構の公式サイトからダウンロードすることもできます。自宅で先に記入しておくと、窓口での滞在時間を短くできます。

ステップ2. 必要書類を揃える。 戸籍謄本や住民票は市区町村役場、死亡診断書のコピーは葬儀の際に受け取った書類の中にあることが多く、入手先がばらばらです。ここが最も時間を要する工程なので、次章のチェックリストで抜け漏れを確認してください。

ステップ3. 記入して提出する。 書類が揃ったら窓口へ提出します。郵送で受け付けてもらえるかどうかは窓口や請求内容によって異なるため、事前に確認してください。不明な記入欄は空欄のまま持参し、窓口で聞きながら埋めるほうが確実です。

ステップ4. 審査を待つ。 提出後は日本年金機構での審査になります。年金証書の送付や初回振込までの期間は民間の解説記事で「合計3〜4か月程度」と紹介されることがありますが(参考: 小さなお葬式のコラム)、これは公的に確定した目安ではありません。書類の不備や他の年金との調整があると、さらに時間がかかります。

ステップ5. 年金証書・年金決定通知書を受け取る。 審査を通ると、年金証書と年金決定通知書が自宅に届きます。受給する年金の種類や額が記載された大切な書類なので、他の年金関係書類とまとめて保管してください。

ステップ6. 受給が始まる。 その後、請求書で指定した口座へ振込が始まります。通知が届いても振込が確認できない場合は、通知書に記載された年金証書の基礎年金番号を控えて年金事務所に問い合わせましょう。

必要書類の一覧|揃えるものをチェックリストで確認

戸籍謄本のイラスト

出典: いらすとや

すべての請求者に共通して必要な書類

遺族厚生年金を請求する場合、日本年金機構が共通で求めている書類は次のとおりです(遺族厚生年金を受けられるとき)。

書類 補足
年金請求書(様式第105号) 窓口または公式サイトで入手する
戸籍謄本、または法定相続情報一覧図の写し 続柄と生年月日の確認に使う
世帯全員の住民票の写し 生計維持の確認に使う
死亡者の住民票の除票 亡くなった方の住所を確認する
請求者の収入が確認できる書類 子がいる場合は子の分も必要
死亡診断書のコピー、または死亡届の記載事項証明書 死亡の事実と原因を確認する
受取先金融機関の通帳等 年金の振込先として指定するもの

預金通帳のイラスト

出典: いらすとや

マイナンバーの記載で省略できる書類がある

年金請求書に個人番号(マイナンバー)を記載すると、戸籍謄本や世帯全員の住民票の写し、収入確認書類といった一部の添付書類を省略できる場合があります。また、公金受取口座を利用する場合は金融機関の証明書類の添付も不要です。取得の手間と発行手数料をまとめて減らせるので、書類を集め始める前に省略できる範囲を窓口で確認しておくとよいでしょう。

ケースによって追加で必要になる書類

交通事故など第三者の行為が原因で亡くなった場合は、第三者行為事故状況届や交通事故証明などの追加書類が求められます。必要な様式や提出方法はケースによって変わるため、詳細は年金事務所に確認してください。自己判断で書類を揃えるより、窓口で自分のケースを説明したうえでリストを作ってもらうほうが確実です。

遺族年金の請求と同時に検討したい関連手続き

未支給年金の請求

亡くなった方が年金を受給していた場合、まだ支払われていない年金(未支給年金)が残っていることがあります。遺族がこれを受け取るには、「年金受給権者死亡届(報告書)兼未支給年金・未支払給付金請求書」を提出します。この様式は、年金受給者が亡くなったときの死亡の届出と未支給年金の請求を1枚で兼ねる形になっています(日本年金機構「亡くなった方の未支給年金を受け取れるとき」)。

未支給年金にも期限があり、受給権者への年金の支払日の翌月の初日から5年を過ぎると時効で請求できなくなります。手続きについては、遺族年金の請求先と同じく年金事務所や街角の年金相談センターで相談できます。

見落としやすいポイント

未支給年金は「遺族年金とは別の手続き」であるため、遺族年金だけ請求して満足してしまうと見落としがちです。亡くなった方が年金を受給していたなら、遺族年金の請求と合わせて必ず確認しましょう。

添付書類が重複するときは窓口で確認する

遺族年金の請求と未支給年金の請求では、戸籍謄本など同じ書類が必要になります。1通で足りるのか、それぞれに提出するのかは取り扱いを窓口で確認してください。同時に手続きするつもりなら、役場で書類を取る前に電話で聞いておくと、余分な発行手数料を払わずに済みます。

よくある間違い・つまずきポイント

このセクションで押さえたいこと

ここでは「気づいたときには手遅れ」になりやすい3つの落とし穴(時効・書類不備・複数の年金の重複)を順番に確認します。

請求期限は5年|時効を過ぎると原則受け取れない

年金を受ける権利(基本権)は、支給事由が生じた日の翌日から5年を経過すると時効によって消滅します(日本年金機構「年金の時効」)。やむを得ない事情で時効完成前に請求できなかった場合は、書面でその理由を申し立てることで時効消滅を回避できる取扱いもあります。ただしこれは例外的な救済であり、期限内に請求するのが大前提です。

書類の不備は審査を長引かせる

提出後の審査は書類の内容をもとに進むため、記入漏れや添付書類の不足があるとやり取りが発生し、そのぶん受給開始が遅れます。特に生計維持関係の確認書類は、家族構成によって求められるものが変わりがちです。窓口で提出時にその場で点検してもらうのが、結果的にいちばん早い方法です。

複数の年金を受けられる場合は取り扱いが複雑になる

自分自身の老齢年金や障害年金をすでに受けている、あるいはこれから受けられるようになる場合、遺族年金と合わせてすべてを単純に足し合わせて受け取れるとは限りません。どの年金をどう組み合わせて受け取るか、あるいはどちらか一方を選ぶ必要があるかは、年齢や年金の種類の組み合わせによって扱いが変わり、個別の事情によって結論が異なります。そのため、この記事で一般論として結論を示すことはできず、自己判断せず年金事務所に相談してください。相談の際は、亡くなった方と自分自身の両方の年金加入状況が分かるものを持参すると、その場でどの組み合わせが可能かを案内してもらいやすくなります。

まとめ

遺族年金は、要件を満たしていても待っているだけでは支給されません。年金請求書を入手し、必要書類を添えて窓口へ提出する。この一歩を踏み出すことが、すべての出発点です。

要点を振り返ります。

  • 遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、種類によって受け取れる遺族と請求先が変わる
  • 請求先は、遺族基礎年金のみなら市区町村役場の年金担当窓口、遺族厚生年金を含むなら年金事務所または街角の年金相談センター
  • 必要書類は年金請求書・戸籍謄本・住民票・死亡診断書のコピー・通帳などで、マイナンバーの記載により一部を省略できる場合がある
  • 請求できる権利は5年で時効消滅する。未支給年金の請求も忘れずに
  • 年金額は年度ごとに改定されるため、金額は日本年金機構の公式サイトかねんきんネットで確認する

書類を完璧に揃えてから相談しようとすると、かえって時間が過ぎてしまいます。まずは電話で予約を取り、亡くなった方の年金加入状況が分かるものを持って年金事務所や市区町村の窓口へ相談に行きましょう。自分のケースで必要な書類のリストがその場で手に入れば、あとは集めて出すだけです。手続きの詳細や様式は日本年金機構の公式サイトで確認できます。

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