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【全損・大半損・小半損・一部損の4区分】地震保険の請求方法|罹災証明書との違い・必要書類・支払いまでの流れ

地震で壁にひびが入った、瓦が落ちた、家財が壊れた。そんなとき、地震保険の請求はどこから手をつければいいのでしょうか。罹災証明書を先に取るべきなのか、写真は必要なのか、支払いまでどれくらいかかるのか。この記事では、財務省・日本損害保険協会・大手損害保険会社が公表している情報をもとに、地震保険の請求方法を連絡から支払いまで順を追って整理します。

地震で損壊した建物(1964年アラスカ地震・米国、撮影: NOAA)

出典: Unsplash

地震保険の請求で何をすればいいか(結論・全体像)

結論から言うと、地震保険の請求は次の5ステップで進みます。罹災証明書の交付を待ってから動く必要は、原則としてありません。

  1. 契約先の保険会社・代理店へ連絡する
  2. 鑑定人による現地調査を受ける
  3. 損害の程度が全損・大半損・小半損・一部損のいずれかに認定される
  4. 保険金請求書などの必要書類を提出する
  5. 保険金が支払われる

罹災証明書が不要な理由は、保険会社が自社の基準にもとづいて独自に損害を調べるからです。セコム損保はFAQで「地震保険金の請求においては罹災証明書を取得する必要はございません」と明言しています(セコム損保・地震保険金支払FAQ、2026-09-09時点)。ただし手続きの細部は保険会社ごとに異なるため、契約先の案内も必ず確認してください。

被災直後にすぐ実行すべきことは2つです。片付ける前に被害箇所を撮影することと、できるだけ早く保険会社へ連絡すること。あとは案内に沿って進められます。

罹災証明書と地震保険の被害認定はどう違うのか

混同されやすい2つですが、罹災証明書と地震保険の損害認定は、発行する主体も目的もまったく別のものです。まずは違いを表で整理します。

項目 罹災証明書 地震保険の損害認定
主体 市区町村(自治体) 契約先の損害保険会社・鑑定人
目的 被災者支援・税の減免などの手続き 支払う保険金額の決定
判定 自治体の被害認定調査による判定 全損・大半損・小半損・一部損の4区分
費用 無料(柏市の例) 保険契約に基づき保険会社が実施
保険請求での要否 原則不要 請求手続きそのもの

地震で瓦が落ちる家のイラスト(出典: いらすとや)

出典: いらすとや

罹災証明書とは(自治体が交付する被害の証明)

罹災証明書は、住家などの被害の程度を市区町村が証明する書類です。用途は保険金の請求に限らず、雑損控除の申告や固定資産税の減免申請など、公的な手続き全般に広がります。柏市の例では、電子申請・郵送・窓口のいずれでも申請でき、発行手数料は無料です(2026-09-09時点)。

同市の案内では、被害内容によっては現地調査が行われ、申請(現地調査を行う場合はその翌日)から概ね1週間〜10日間で発行されるとされています(2026-09-09時点)。ただしこれは一自治体の例で、災害の規模により延びる場合があるとも明記されています。期間や申請方法は自治体ごとに違うため、お住まいの市区町村の窓口・公式サイトで確認してください。

地震保険の被害認定調査とは(保険会社が独自に行う)

一方、地震保険の損害認定は、契約先の損害保険会社が派遣する鑑定人が行います。建物なら柱・はり・外壁・屋根などの主要構造部、家財なら家財全体を対象に、地震保険の損害認定基準に沿って損害の割合を評価します。自治体の判定を持ち込むのではなく、保険会社の調査結果で決まる点が最大の違いです。

なお、全焼地域や津波による全損地域など、被害の程度を同じくする物件が集中する地域では、業界の対策本部内に設置される「共同調査団」が調査を行うことがあります(日本損害保険協会・外国損害保険協会「地震保険についてのご案内」、2026-09-09時点)。

地震保険の請求に罹災証明書は必要か

原則として不要です。前述のとおり、保険会社が独自に鑑定人を派遣して損害を調べるため、自治体の判定を待つ必要はありません。ただし、書類の呼称や提出物の運用は保険会社によって差があります。手元の証券や案内に記載された連絡先で、自分の契約ではどうかを確認するのが確実です。

罹災証明書そのものは、税の減免や被災者支援制度の申請で必要になります。地震保険の請求と並行して、自治体の窓口へ申請しておくと無駄がありません。

認定結果が食い違うことがある理由

罹災証明書は「全壊」なのに地震保険は「大半損」だった、というように結果がずれることがあります。これは目的・調査主体・評価する範囲が違うためで、どちらかが間違っているわけではありません。業界団体も次のように明記しています。

地震保険における損害の認定は、地方自治体から交付される「り災証明書」の判定とは目的が異なります。

日本損害保険協会・外国損害保険協会「地震保険についてのご案内(被災されたご契約者の皆様へ)」(2026-09-09時点)

請求前に準備しておくもの

現地調査の前に手を打っておくと、その後の手続きが大きく楽になります。準備といっても、やることは2つだけです。

保険証券の確認(紛失・焼失していても大丈夫)

まず、地震保険が付帯されているか、保険金額はいくらかを保険証券で確認します。地震保険は火災保険に付帯して契約する仕組みのため、火災保険の証券に記載があります。

証券を地震で紛失・焼失していても請求はできます。前掲の業界団体の案内では、契約者本人の確認を行ったうえで保険金請求手続きに対応するとされています。証券が見当たらないことを理由に連絡をためらう必要はありません。

保険証券のイラスト(出典: いらすとや)

出典: いらすとや

片付ける前に被害箇所の写真を撮る

損害の発生を確認する書類として、写真・画像データや修理業者の報告書が求められます(三井住友海上・地震保険金請求時の提出書類一覧、2026-09-09時点)。片付けてしまうと、その証拠が残りません。

コツは、建物の全景と被害箇所の接写を両方残すことです。生活に支障があってやむを得ず片付ける場合も、着手前に必ず撮影し、鑑定人に見せられるようにしておきましょう。

地震保険金請求のステップバイステップ手順

実際の請求手順を5つのステップで見ていきます。書類の呼称や細部は保険会社ごとに差があるため、一般的な流れとして押さえてください。

ステップ1:保険会社・代理店へ連絡する

被害に気づいたら、できるだけ早く契約先の保険会社か代理店へ連絡します。伝えるのは、契約者名・証券番号(分かる場合)・被害が生じた日時・被害の状況です。この連絡が事故受付となり、以降の調査や書類の案内につながります。

ステップ2:鑑定人による現地調査を受ける

受付後、保険会社の鑑定人が現地を訪問し、建物の主要構造部や家財の損害を確認します。撮影しておいた写真は、この段階で提示すると効果的です。被害が広域に及ぶ地域では、前述の共同調査団による調査が行われる場合もあります。

ステップ3:損害の程度が認定される

調査結果をもとに、損害は全損・大半損・小半損・一部損の4区分に認定されます。全損・大半損・小半損・一部損という4区分の枠組み自体は2017年1月1日以降始期の契約から導入されたもので、以下の表に示す区分ごとの損害割合の具体的な基準は、2019年1月1日以降始期の契約に適用されるもの(2026-09-09時点で確認できた基準)です。支払割合は財務省「地震保険制度の概要」に次のとおり示されています(2026-09-09時点)。

損害の程度 支払われる保険金 建物(主要構造部の損害割合) 家財(時価に対する損害割合)
全損 保険金額の100% 50%以上 80%以上
大半損 保険金額の60% 40%以上50%未満 60%以上80%未満
小半損 保険金額の30% 20%以上40%未満 30%以上60%未満
一部損 保険金額の5% 3%以上20%未満 10%以上30%未満

例えば保険金額1,000万円の契約で「小半損」(保険金額の30%)と認定された場合、支払われる保険金は300万円です。同じ契約で「一部損」(5%)なら50万円、「全損」(100%)なら1,000万円になります。自分の契約の保険金額に、認定された区分の割合を掛け合わせれば、おおよその受取額を計算できます。

支払われる保険金は、いずれの区分でも建物・家財の時価(被災した時点でのその建物・家財の実際の価値であり、契約時に設定した保険金額そのものとは別の概念です)が上限です。2017年より前や2019年より前に契約を始めた場合は、区分の数や損害割合の基準が異なることがあるため、自分の契約にどの基準が適用されるかは契約先の保険会社に確認してください。

耐震性の低い家のイラスト(出典: いらすとや)

出典: いらすとや

ステップ4:必要書類を準備して提出する

提出書類は、三井住友海上の一覧では次の4区分に整理されています。実際に何を出すかは損害の内容によって変わるため、案内された書類をそろえれば十分です。

区分 書類の例
①保険金請求書 保険会社所定の請求書
②事故内容報告書・損害の発生を確認する書類 写真・画像データ、修理業者の報告書など
③保険の対象の価額・損害の額を確認する書類 売買契約書、修理見積書など
④その他必要に応じた書類 建物登記簿謄本、住民票、印鑑証明書、委任状など

ステップ5:保険金が支払われる

書類の提出と認定が済むと、指定口座へ保険金が振り込まれます。支払いまでの日数は、全社共通の目安を公的な一次情報で確認できませんでした。書類の追加確認や再鑑定の要否など、支払いまでに保険会社内で行われるプロセスは損害の内容によって異なるため、一律の日数を示すことができません。

目安を知りたいときは、ステップ1で伝えた契約者名・証券番号・受付日時を控えておき、担当窓口に「支払いまでの目安時期」を直接尋ねるのが確実です。特に大規模な地震で被害が広域に及んだ場合は、鑑定や共同調査団による調査の対象件数が増えるため、通常よりも時間がかかることがあります。書類提出後に時間が経っても連絡がないと感じたら、進捗を保険会社に問い合わせて状況を確認しましょう。

地震保険金の対象にならないケース

請求前に知っておきたいのが、支払いの対象外となるケースです。前掲の業界団体の案内では、次の損害は地震保険金の支払対象とならないと明記されています。

  • 地震等が発生した日の翌日から起算して10日を経過した後に生じた損害
  • 保険の対象の紛失・盗難による損害

10日という区切りは見落とされがちです。地震の後しばらくしてから見つけた損害でも、いつ生じたものかが争点になり得ます。この点でも、被災直後に撮影しておくことが自分を守ります。また、認定基準の一部損(建物なら主要構造部の損害割合3%以上)に届かない軽微な損害は、保険金の対象になりません。

地震保険の請求でよくある失敗と対処法

最後に、実務でつまずきやすい3つの場面と対処法をまとめます。

片付けを先にして証拠写真がない

壊れた家財を処分してしまうと、損害の発生を確認する書類が用意できません。対処法は片付け前の撮影を徹底することに尽きます。すでに片付けた場合は、購入時のレシートや修理業者の見積書など残っている資料を集め、保険会社に相談してください。

請求期限(3年の消滅時効)を過ぎてしまう

保険金請求権は、保険法第95条により、権利を行使できる時(原則として損害が生じた日)から3年間行使しないと時効によって消滅します(日本損害保険協会 損害保険Q&A、2026-09-09時点)。過去の大規模災害では特例的な取扱いがとられたとする説明も見られますが、公的な一次情報では確認できませんでした。3年を前提に、気づいた時点で早めに連絡するのが確実です。

査定結果に納得できない

まずは契約先の保険会社に、認定の根拠を確認したうえで再鑑定を相談します。それでも解決しない場合は、日本損害保険協会が設置するそんぽADRセンターに相談できます。連絡先は全国共通の0570-022808(東京03-4332-5241/近畿06-7634-2321)で、相談は原則無料です(2026-09-09時点)。

申立ての手続きや期限の扱いは、保険会社から届く査定結果の通知内容にも記載があります。不服を申し出る前に、通知書の案内とそんぽADRセンターの受付内容を確認しておきましょう。

地震保険の請求でよくある質問(Q&A)

ここまでの内容を、読者から特に疑問が集まりやすい5つの質問に整理し直します。

Q. 罹災証明書と地震保険の請求、どちらを先に手続きすればいいですか?

A. 順番は決まっていません。地震保険の請求(保険会社への連絡)は自治体の罹災証明書とは別の手続きなので、それぞれ並行して進めて構いません。罹災証明書は税の減免や被災者支援制度で必要になるため、気づいた時点で自治体窓口にも申請しておきましょう。

Q. 「時価」とはどういう意味ですか?

A. 時価とは、被災した時点でのその建物・家財の実際の価値のことです。契約時に決めた保険金額とは別に、支払われる保険金の上限として働きます。

Q. 保険金はいくらもらえますか?

A. 保険金額に、認定された区分(全損100%・大半損60%・小半損30%・一部損5%)の割合を掛け合わせた金額です。例えば保険金額1,000万円で小半損なら300万円になります。ただし建物・家財の時価が上限です。

Q. 支払いまでどのくらいかかりますか?

A. 全社共通の日数を公的な一次情報で確認できていません。契約者名・証券番号を控えて担当窓口に問い合わせるのが確実です。被害が広域に及ぶ大規模災害時は、調査の対象件数が増えるため通常より時間がかかることがあります。

Q. 査定結果に納得できないときはどうすればいいですか?

A. まず契約先の保険会社に認定の根拠を確認し、再鑑定を相談します。それでも解決しない場合は、日本損害保険協会が設置するそんぽADRセンター(0570-022808、原則無料)に相談できます。

まとめ|地震保険の請求で今すぐやるべきこと

地震保険の請求方法は、連絡・現地調査・損害認定・書類提出・支払いの5ステップです。罹災証明書は自治体が交付する別の書類で、保険金の請求そのものには原則必要ありません。

被害に気づいたら、まず片付ける前に写真を撮ること、次に契約先の保険会社・代理店へ連絡すること。この2つを今日中に済ませてください。罹災証明書は税の減免などで必要になるため、自治体の窓口へ並行して申請しておくと手戻りがありません。

査定に納得できないときは再鑑定の相談、それでも解決しなければそんぽADRセンター(0570-022808)という道が残されています。支払いまでの日数や適用される認定基準は契約により異なるため、最終的な条件は契約先の保険会社で確認しましょう。

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