合同会社の設立手順5ステップ【必要書類・費用6万円からの内訳つき】
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個人事業主として売上が伸びてくると、「そろそろ法人化したほうがいいのでは」と考える場面が出てきます。なかでも合同会社は、株式会社より安く手早く作れる選択肢として人気です。とはいえ、定款や登記と聞くと何から手を付ければいいか迷う方も多いはずです。
この記事では、合同会社の設立手順を5つのステップに分け、必要書類と費用の内訳もあわせて順番に解説します。
結論
合同会社は「定款作成→出資金の払込→登記申請書類の作成→法務局へ登記申請」の流れで設立できます。株式会社と違って定款に公証人の認証が要らず、電子定款を使えば法定費用は登録免許税の6万円からです(法務省)。

写真は法務省旧本館のイメージです。実際の登記申請先は本店所在地を管轄する法務局(登記所)です。出典: Ministry of Justice Japan01s3200 by 663highland / CC BY-SA 3.0
合同会社と株式会社の設立費用の比較
設立費用の違いを表にまとめました(法定費用。2026-10-06時点の各出典に基づく)。
| 項目 | 合同会社 | 株式会社 |
|---|---|---|
| 定款の公証人認証 | 不要 | 必要(認証手数料 1.5万〜5万円) |
| 定款の収入印紙 | 紙4万円/電子定款0円 | 紙4万円/電子定款0円 |
| 登録免許税 | 資本金×0.7%(最低6万円) | 最低15万円 |
| 法定費用の目安 | 電子定款なら約6万円〜 | 合同会社より10万円以上高い |
出典: VSG相続税理士法人グループ、マネーフォワード クラウド会社設立
司法書士や行政書士に代行を頼む場合の報酬は事務所によって幅があり、公式の統一料金はありません。依頼する場合は複数の見積もりを比べてください。自分で手続きを行えば代行費用はかかりませんが、書類作成や法務局とのやり取りに時間がかかります。代行を依頼すれば手間は省けますが、その分の費用が発生します。どちらが合うかは、かけられる時間と予算のバランスで判断しましょう。
なお、法人税・消費税・均等割などの税制は株式会社と合同会社で差がないとされています(マネーフォワード クラウド会社設立)。出資者全員が出資額までしか責任を負わない「有限責任」である点も、個人事業主の無限責任との大きな違いです。
設立前の準備(決めておくこと)
ここからは、設立前に決めておくことから、登記後の届出までを順番に見ていきます。
商号・事業目的・本店所在地を決める
商号(会社名)、事業目的、本店所在地は、どれも定款に必ず書く「絶対的記載事項」です。あとから変えると変更登記が必要になるため、最初にしっかり固めておきましょう。事業目的は、今の事業に加えて将来やりたい事業も含めておくと安心です。
資本金をいくらにするか
会社法上、資本金の最低額の定めはなく、1円からでも合同会社を設立できます(freee)。ただし、許認可が必要な業種では最低資本金の要件が設けられていることがあります。
取引先からの信用や税務上の扱いも資本金の額で変わるため、一概に「いくらが正解」とは言えません。業種の要件を確認したうえで、必要なら税理士に相談して決めましょう。
社員(出資者)構成と代表社員を決める
合同会社では、出資者を「社員」と呼びます。従業員のことではない点に注意してください。社員の氏名・住所、出資の目的と価額は定款に記載します。複数人で出資する場合は、誰が業務を執行し、誰が会社を代表する「代表社員」になるかも決めておきます。
合同会社設立の手順(5ステップ)
全体の流れは次のとおりです。
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 定款を作成する | 社員全員が署名・記名押印。電子定款なら印紙代0円 |
| 2 | 出資金を払い込む | 払込を証する書面を作る |
| 3 | 登記申請書類を準備する | 添付書面をそろえる |
| 4 | 法務局へ登記申請する | 窓口・郵送・オンラインから選ぶ |
| 5 | 登記完了後に証明書を取得する | 届出や口座開設で使う |
ステップ1. 定款を作成する
定款は会社の基本ルールを定めた書類で、社員全員が署名または記名押印します(法務省)。必ず記載する事項は次の6つです。
- 事業目的
- 商号
- 本店所在地
- 社員の氏名(名称)および住所
- 社員全員が有限責任社員である旨
- 社員の出資の目的およびその価額(評価の標準)
紙の定款には4万円の収入印紙が必要です。一方、PDFなどで作る電子定款は印紙税の対象となる「文書」に当たらないため、印紙代がかかりません(電子定款の解説)。合同会社は公証人の認証も不要なので、電子定款を選ぶメリットは大きいといえます。
ステップ2. 出資金を払い込む
定款を作ったら、定款に記載した出資金を払い込みます。登記申請では「出資の払込みを証する書面」を添付するため、払込後に書面を作成しておきます。
ステップ3. 登記申請書類一式を準備する
登記申請書と一緒に提出する主な添付書面は次のとおりです(法務局の申請書様式)。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 登記申請書 | 法務局の様式を使って作成 |
| 定款 | ステップ1で作成したもの |
| 業務執行社員の同意書 | 必要に応じて添付 |
| 出資の払込みを証する書面 | ステップ2で作成したもの |
| 印鑑届書 | 代表社員の印鑑を届け出る場合 |
| 印鑑証明書 | 代表社員個人のもの(3か月以内) |
具体的な記載例は法務局の様式で確認してください。会社の形によって必要な書面が変わることがあります。
ステップ4. 法務局へ登記申請する

写真は福岡法務合同庁舎の外観イメージです。実際の申請先は本店所在地を管轄する法務局(登記所)です。出典: Fukuoka Legal Affairs Bureau Building 20170721 by そらみみ / CC BY-SA 4.0
書類がそろったら、本店所在地を管轄する登記所(法務局)へ登記申請します。登録免許税は「資本金の額×1000分の7」で、6万円に満たない場合は6万円です(法務局資料)。つまり資本金が約857万円以下なら6万円になります。
申請方法は窓口・郵送のほか、オンラインも選べます。
- 登記・供託オンラインシステム: 法務省のシステムで設立登記をオンライン申請(法務局)
- 法人設立ワンストップサービス: マイナポータル経由で、定款作成・設立登記・国税/地方税の届出・社会保険の届出までを一括で進められる(法務省)
サービスの対応範囲や画面は改修で変わることがあるため、利用前に公式ページで確認してください。
ステップ5. 登記完了後に証明書を取得する
登記が完了したら、登記事項証明書や会社の印鑑証明書を取得します。このあとの税務署への届出や、法人口座の開設などで使う場面が出てきます。
登記完了後に必要な税務・社会保険の手続き
税務署への届出
会社を作ったら、税務署への届出を期限内に済ませます。
| 書類 | 提出期限 |
|---|---|
| 法人設立届出書 | 設立の日から2か月以内(国税庁) |
| 青色申告の承認申請書 | 設立の日から3か月を経過した日と、最初の事業年度終了日のいずれか早い日の前日まで(マネーフォワード クラウド会社設立) |
青色申告の申請期限を過ぎると、最初の事業年度で青色申告の承認を受けられなくなるおそれがあります。登記が終わったら早めに出しましょう。
社会保険・年金事務所への届出
法人化すると、社会保険の届出も必要になります。法人設立ワンストップサービスを使えば、社会保険の届出まで一括で進められます。手続きの詳細は年金事務所や公式サイトで確認してください。
個人事業主としての手続きをどう整理するか
合同会社を設立しても、これまで個人事業主として行ってきた手続きがそのまま自動的に引き継がれるわけではありません。合同会社は、本記事で述べた「社員の有限責任」のように、個人事業主とは別の法人格を持つ存在だからです。登記が完了したら、次の点を整理しておきましょう。
- 個人事業の取り扱い: 個人事業を廃業するのか、法人と並行して続けるのかを決め、必要な手続きを税務署に確認します。
- インボイス発行事業者としての登録: 個人事業主として適格請求書発行事業者の登録を受けていた場合、その登録がそのまま法人に引き継がれるとは限りません。法人として新たに登録が必要になるかどうかは、国税庁やインボイス制度の案内で確認してください。
- 取引先との契約・請求書: 契約や請求書の発行者が個人から法人に変わるため、取引先には契約主体の変更をあらかじめ案内し、請求書の宛名や登録番号を更新してもらう必要があります。
いずれも本業を止めずに進める実務の要です。設立の準備と並行して、早めに確認を始めることをおすすめします。
よくあるつまずきポイントと対処法
書類の日付の前後関係
設立の流れは「定款作成→出資金の払込→登記申請」の順です。書類の日付がこの順序と食い違うと、補正を求められる原因になりかねません。各書類の日付を提出前に見比べておきましょう。
印鑑は作るべきか
2021年2月15日施行の商業登記規則等の改正により、オンラインで登記を申請する場合、法務局への印鑑の届出は任意になりました(AI-CON 解説記事)。
ただし、金融機関での口座開設や許認可の申請では、今も法人実印の提示を求められる場面が多くあります。そのため実務上は、法人実印を作って届け出ておくケースが多いようです。
節税になるかは条件次第
「法人化すると節税になる」とよく言われますが、所得の水準や事業の形によって結果は大きく変わります。法人化を決める前に、税理士などの専門家に試算してもらうのがおすすめです。
まとめ
合同会社の設立手順をおさらいします。
- 商号・事業目的・本店所在地・資本金・社員構成を決める
- 定款を作成する(電子定款なら印紙代0円)
- 出資金を払い込み、払込を証する書面を作る
- 添付書面をそろえて法務局へ登記申請する(登録免許税は最低6万円)
- 登記完了後、法人設立届出書(2か月以内)と青色申告の承認申請書を税務署へ出す
まずは定款に書く商号と事業目的を決めるところから始めてみてください。個人事業主としての開業届・インボイス登録・取引先との契約をどう整理するかも、設立の準備と並行して早めに確認しておきましょう。
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