NISA年内の非課税枠、使い切るべきか|翌年に持ち越せない仕組みと年末までの3つの確認
結論
「今年のNISA、年内にどこまで枠を使い切ったか覚えていない」「残った非課税枠は来年に持ち越せるのか」。年末が近づくと出てくる疑問です。先に答えを書きます。
NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が年240万円で、合わせて最大360万円です(金融庁 NISA特設ウェブサイト)。
この年間投資枠は年単位の枠です。SBI証券は「使わなかった年間投資枠を翌年以降に繰り越すことはできません」と明記しています(SBI証券)。2026年の残り枠は、年が明けると使えなくなります。
年末までにやることは次の3つです。
- 2026年に使った枠を確認する(つみたて投資枠・成長投資枠を別々に)
- 自分の証券会社の年内発注締切を確認する(12月31日ではなく、12月中旬〜下旬)
- 無理に埋めるかどうかを判断する(使い切ることが正解とは限らない)
枠を使い切るかどうかは人によって変わります。この記事は「使い切りなさい」とは勧めません。判断に要る締切と仕組みを並べます。
本文
ここから、年内に確認すべき3つの手続き(対象判定・仕組みの理解・やるべき作業)を順番に説明します。
自分は対象か|このチェックリストで判定
次のどれかに当てはまる人は、年末までに確認が必要です。
- NISA口座を持っているが、2026年はまだ買付をしていない
- 毎月の積立だけで、年間投資枠をどこまで使ったか把握していない
- 残り枠があるのに、何もしないまま年末を迎えそうだ
- ボーナスが入り、年内に追加で投資するか迷っている
2026年の360万円をすでに使い切った人は、この記事の手続きは不要です。年内に追加投資をしないと決めている人も、最後の「やらなかった場合どうなるか」だけ読めば足ります。
いくら変わるか|年間投資枠と非課税保有限度額の仕組み
NISAには「年間投資枠」と「非課税保有限度額(生涯の総枠)」の2つの上限があります。年末に消えるのは前者だけです。混同しないよう図と表で整理します(2026-10-29時点)。

| 項目 | 金額・ルール | 年末の扱い |
|---|---|---|
| つみたて投資枠 | 年120万円 | 未使用分は翌年に持ち越せない |
| 成長投資枠 | 年240万円 | 未使用分は翌年に持ち越せない |
| 年間投資枠の合計 | 年360万円(2つの枠を併用した場合) | 年始にリセットされる |
| 非課税保有限度額(総枠) | 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)。取得価格(簿価)で管理 | 年単位ではなく生涯の上限 |
| 売却した場合 | 売却した商品の簿価分の枠が復活 | 復活するのは翌年以降の年間投資枠の範囲内 |
持ち越せない点は、PayPay銀行も「非課税枠の未使用分の翌年への繰り越しはできません」と同じ説明をしています(PayPay銀行)。
たとえば2026年に60万円しか使わなかった場合でも、2027年に使える年間投資枠は360万円のままです。420万円には増えません。
売却した分の枠も、2026年中には戻りません。12月に売って同じ年のうちに買い直す、という使い方はできない点に注意してください。
自分の残り枠をどこで確認するか
残り枠は、NISA口座がある証券会社・銀行のマイページで確認します。画面の名称は会社ごとに違うため、「NISA」「買付可能額」「年間投資枠」といった語を探すと見つけやすくなります。
確認するときは、つみたて投資枠と成長投資枠を別々に見てください。2つの枠はそれぞれに上限があり、片方の残りをもう片方へ回すことはできません。
やるべき手続きの手順|年内に枠を使うなら何をすればいいか
年内に枠を使うと決めた場合の手順です。
- 残り枠を確認する: つみたて投資枠・成長投資枠の残額をそれぞれメモする
- 商品ごとの締切の考え方を知る: 国内株式・米国株式・投資信託で、どの年の枠になるかの決まり方が違う
- 自動化機能を使うか決める: 楽天証券の「使い切り設定」、SBI証券の「NISA枠ぎりぎり注文」など
- 入金期限を確認する: 証券口座の残高不足で注文が通らないことを防ぐ
商品によって「どの年の枠か」の決まり方が違う
年末に注文しても、2026年の枠として扱われるとは限りません。松井証券の2026年末の案内(2026年9月17日公表)を例に整理します(松井証券)。
| 商品 | 年の帰属を決める基準 | 松井証券の2026年末の例 |
|---|---|---|
| 国内株式 | 約定日 | 12月28日(月)約定分まで2026年枠。12月29日(火)約定分から2027年枠 |
| 米国株式 | 現地の約定日 | 現地12月24日(木、短縮取引)約定分まで2026年枠。現地12月28日(月)約定分から2027年枠 |
| 投資信託 | 受渡日(銘柄ごとの受渡日数で決まる) | 一律の締切日はなく、銘柄ごとに確認が必要 |
約定日とは注文が成立した日、受渡日とは代金と商品が実際に受け渡される日のことです。この2つの日付は数日ずれることがあります。
投資信託は受渡日で決まるため、株式より締切が早くなりやすい商品です。年末ぎりぎりの注文は2027年の枠に入る可能性があります。
上の日付は松井証券の一例なので、自分の証券会社の「NISA年内最終受付」の案内を必ず確認してください。
証券会社の自動化機能を使う
残り枠の金額を自分で計算して注文するのが面倒な場合、証券会社が用意している機能があります。主な2つを比べます(2026-10-29時点)。
| 項目 | 楽天証券「使い切り設定」 | SBI証券「NISA枠ぎりぎり注文」 |
|---|---|---|
| 対象 | つみたて投資枠で毎月の積立設定をしている銘柄 | つみたて投資枠・成長投資枠の両方 |
| 仕組み | 年間投資枠の残りを上限に、上乗せ注文を出す | 残りのNISA投資可能枠を自動で判別し、枠を超えない金額で買い付ける |
| 設定・注文の期限 | 設定は1月1日0時〜12月17日23時59分。注文日は12月18日固定(休業日なら翌営業日) | 公式ページに明記なし(詳細は後述の「期限とスケジュール」参照) |
| 決済の注意 | 増額分は証券口座引落のみ | クレカ積立の「ボーナス設定」はクレカ決済で使えず、該当月だけ現金決済に切り替える |
| その他の注意 | 12月18日〜31日は新規設定できない | 枠超過分を課税口座へ回す「課税枠シフト注文」は、つみたて投資枠では使えない |
出典: 楽天証券「使い切り設定」、SBI証券「NISA枠ぎりぎり注文」
楽天証券の使い切り設定は、12月17日時点の設定内容で発注されます。12月に入ってから設定を見直す場合は、この日までに終える必要があります。
現金で埋める場合は入金期限を確認する
楽天証券の使い切り設定では、注文日(12月18日)の前営業日までに入金を済ませる必要があります。資金が足りないと注文はエラーになり、再発注もされません(楽天証券)。
手動で買い付ける場合も、証券口座に代金が入っていないと注文できません。締切日の当日に入金するのではなく、余裕を持って入金しておくと安全です。
期限とスケジュール|いつまでに何をすべきか
年末までの主な期限を時系列で並べます(2026-10-29時点)。証券会社の締切は公式情報で確認できたものだけを載せています。

| 時期 | やること・起きること | 対象 |
|---|---|---|
| 今日〜12月上旬 | 残り枠を確認し、埋めるかどうかを決める | 全員 |
| 12月17日 23時59分まで | 「使い切り設定」の新規設定・変更の締切 | 楽天証券 |
| 12月18日の前営業日まで | 使い切り設定の増額分を証券口座へ入金 | 楽天証券 |
| 12月18日 | 使い切り設定の注文日 | 楽天証券 |
| 現地12月24日 | 米国株式の2026年枠の最終約定日 | 松井証券の例 |
| 12月28日 | 国内株式の2026年枠の最終約定日 | 松井証券の例 |
| 銘柄ごと | 投資信託は受渡日で判定。株式より早く締め切られやすい | 各社で確認 |
| 12月31日 | 2026年の年間投資枠が締まる。未使用分は翌年に持ち越せない | 全員 |
SBI証券のNISA枠ぎりぎり注文は、設定期限が公式ページに書かれていません。年末は受渡日の都合で注文を早めに出す必要があるため、使う場合はSBI証券の案内で期限を確認してください。
マネックス証券・auカブコム証券などほかの証券会社の締切も、各社の「NISA年内最終受付」のページで確認するのが確実です。
やらなかった場合どうなるか
何もしなかった場合、2026年の年間投資枠のうち使わなかった分はそのまま消えます。2027年の年間投資枠に上乗せされることはなく、2027年も最大360万円から始まります。
年末に焦って枠を埋めることには、別のリスクもあります。生活資金を回してしまうと、急な出費に対応できなくなります。短期間でまとめて買うと、その時点の相場の影響を大きく受けます。
「今年の枠がもったいない」だけで判断せず、手元に残しておきたい資金と投資に回せる資金を分けてから決めてください。
まとめ
NISAの年間投資枠(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円、合計最大360万円)は年単位で、2026年に使わなかった分は翌年に持ち越せません。
年末までの確認は3つです。使った枠を確認する、証券会社の年内発注締切を確認する、無理に埋めるかを判断する。
今日やることは1つだけです。証券会社のマイページを開き、2026年のつみたて投資枠と成長投資枠の残りを確認してください。 埋めるかどうかは、その数字を見てから決めれば間に合います。
なお、金融庁は2027年度税制改正要望で、売却した分の非課税保有限度額(総枠1,800万円)を同じ年のうちに復活できるようにする案を出しています(Business Insider Japan)。
これは生涯の総枠の話で、年間投資枠が360万円を超えて使えるようになる話ではありません。2026-10-29時点では要望の段階で、実現するかや時期は決まっていません。最新の制度は金融庁 NISA特設ウェブサイトで確認してください。
