開業届の出し方|必要なもの・提出方法3つ(窓口・郵送・e-Tax)と注意点
開業届の出し方は3ステップ|提出までの流れと期限
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「開業届」と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、実際の手続きはシンプルです。開業届の出し方は「様式を用意する」「必要事項を記入する」「税務署へ提出する」の3ステップで完結します。提出するのは「個人事業の開業・廃業等届出書」という1枚の書類だけで、この記事を読めば迷わず提出まで進められます。
提出先は、納税地(原則として住所地)を所轄する税務署の税務署長です(国税庁 個人事業の開業届出・廃業届出等手続)。提出方法は税務署の窓口・郵送・e-Taxの3つから選べるため、税務署へ足を運べない人でも手続きできます。
提出期限は「事業の開始等の事実があった日の属する年分の所得税の確定申告期限まで」です(国税庁 タックスアンサーNo.2090)。事業を始めた年の確定申告の期限までに出せばよい、という考え方になります。とはいえ後回しにすると忘れやすいので、事業を始めたタイミングで出しておくのが無難です。
もうひとつ最初に押さえておきたいのが、開業届を出しただけでは青色申告ができない点です。青色申告特別控除などの特典を受けるには「所得税の青色申告承認申請書」を別途提出する必要があります。2枚をまとめて用意し、同時に提出するのが効率的です。

出典: いらすとや
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 様式と本人確認書類を準備する | 様式は国税庁サイトからダウンロード、または税務署で入手 |
| 2 | 必要事項を記入する | 屋号・納税地・開業日・事業の概要などを記入 |
| 3 | 税務署へ提出する | 窓口・郵送・e-Taxの3択。青色申告承認申請書も同時に |
開業届を出す前に準備するもの
まず用意するのは様式と本人確認書類の2つです。様式は国税庁の様式PDFをダウンロードして印刷するか、税務署の窓口で受け取れます。
本人確認は、マイナンバーカードがあれば1枚で番号確認と身元確認を兼ねられます。カードを持っていない場合は「マイナンバー確認書類」と「身元確認書類」の2点が必要です(弥生 開業届に必要なもの)。
| 準備するもの | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 個人事業の開業・廃業等届出書 | 国税庁サイトの様式PDF、または税務署窓口で入手 | 記入項目は次章で解説 |
| マイナンバーカード | 番号確認と身元確認を1枚で兼ねられる | e-Taxでの提出にも使う |
| マイナンバー確認書類 | 通知カード、またはマイナンバー記載の住民票の写し | カードがない場合に必要 |
| 身元確認書類 | 運転免許証・パスポートなど写真付きの身分証 | 同上。合計2点を用意する |
| 所得税の青色申告承認申請書 | 青色申告をする場合に必要な別書類 | 開業届と同時提出がおすすめ |
窓口で提出するときは原本を提示し、郵送のときはコピーを添付します。青色申告を予定しているなら、この段階で青色申告承認申請書も一緒に印刷しておくと二度手間になりません。
開業届の書き方|記入項目を順番に解説
様式の記入欄は多く見えますが、事業の実態を書いていくだけです。国税庁の様式で求められる主な項目は次のとおりです。
- 提出先の税務署名・提出日:納税地を所轄する税務署を書きます
- 納税地:住所地・居所地・事業所等の区分を選び、住所と電話番号を記入します
- 氏名・生年月日・マイナンバー・職業・屋号:屋号がなければ空欄でも構いません
- 届出の区分:新たに事業を始める場合は「開業」を選びます
- 所得の種類:不動産所得・山林所得・事業所得から該当するものを選びます。副業やフリーランスとして仕事の対価を得る場合、多くは「事業所得」を選べば問題ありません
- 開業日:事業を実際に始めた日を記入します
- 青色申告承認申請書の提出の有無:同時に出すなら「有」に印を付けます
- 消費税課税事業者選択届出書等の提出の有無
- 事業の概要:どんな仕事で収入を得るのかを具体的に書きます
- 給与等の支払の状況:家族や従業員に給与を払う場合、人数や税額の有無を記入します
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無
事業の概要は「Webサイト制作」「オンラインでの英会話レッスン」のように、第三者が読んで内容を想像できる粒度で書くと迷いません。開業日や納税地の区分で判断に迷う場合は、記入前に所轄の税務署へ確認しておくと安心です。
開業届の提出方法3つ|税務署窓口・郵送・e-Tax
提出方法は3つあり、どれを選んでも届出としての効力は同じです。生活スタイルや、提出した事実を書面で残したいかどうかで選びましょう。特別な準備や専門知識がなくても、自分に合った方法を選べば十分に対応できます。
| 提出方法 | 向いている人 | 必要なもの | 提出の記録の残し方 |
|---|---|---|---|
| 税務署の窓口 | その場で疑問を確認したい人 | 届出書、本人確認書類(原本を提示) | 希望者にリーフレットが交付される |
| 郵送 | 税務署へ行く時間が取れない人 | 届出書、本人確認書類のコピー、返信用封筒 | 返信用封筒を同封するとリーフレットが返送される |
| e-Tax | 自宅でオンライン完結させたい人 | マイナンバーカード、カードリーダーまたはNFC対応スマホ | 書面のやり取りが発生しない |
前提として、現行の運用では申告書・届出書等の控えへの収受日付印の押なつは廃止されています。書面で出す場合は正本のみを提出すればよく、提出の事実を書面で残したい人には、収受日付と税務署名を記載したリーフレットが交付される扱いです(アーク税理士法人 収受日付印の押なつ廃止、他の税理士事務所による同様の解説)。この取り扱いは当面の間の運用とされているため、提出前に国税庁のサイトや所轄の税務署で確認しておくと確実です。
税務署の窓口で提出する場合

出典: いらすとや
記入済みの届出書と本人確認書類を持参し、所轄の税務署の窓口に提出します。記入内容に不安があっても、その場で職員に確認しながら仕上げられるのが最大の利点です。
提出した事実を書面で残したい場合は、窓口でリーフレットの交付を希望する旨を伝えます。屋号付きの銀行口座開設などで提出を証明する書類を求められることがあるため、控えとしてコピーを取っておくと安心です。
郵送で提出する場合

出典: いらすとや
郵送では、記入済みの届出書に本人確認書類のコピーを添えて所轄の税務署宛に送ります。収受日付・税務署名を記載したリーフレットの返送を希望する場合は、切手を貼った返信用封筒を同封します。
返信用封筒には自分の住所・氏名を書き、封入し忘れがないか投函前に確認しましょう。青色申告承認申請書も同時に出す場合は、同じ封筒にまとめて入れて問題ありません。
e-Taxで提出する場合
e-Taxでは開業届をオンラインで提出できます(e-Tax 各種届出・申請)。一般的なのはマイナンバーカード方式で、ICカードリーダライタ、またはNFC対応スマートフォンと対応アプリでカードの電子証明書を読み取ります。
作成・送信にはe-Taxソフトを使い、WEB版であればインストールせずにブラウザから操作できます。税務署へ行く必要も郵送の手間もないため、平日に時間を取りにくい会社員の副業開業とは特に相性がよい方法です。
なお、開業届はあくまで事業を始めた事実を税務署に知らせる「届出」であり、青色申告承認申請書のように税務署の「承認」を待つ性質の書類ではありません。送信が正常に完了していれば、その時点で手続きは完了したと考えて差し支えありません。
青色申告承認申請書は開業届と同時に提出するのがおすすめ

出典: いらすとや
青色申告承認申請書の提出期限は、原則として青色申告をしようとする年の3月15日までです。ただしその年の1月16日以後に新たに事業を開始した場合は、事業開始等の日から2か月以内が期限になります(国税庁 タックスアンサーNo.2090)。
開業届の期限(その年分の確定申告期限まで)とは基準が違うため、開業届の期限に合わせて動くと青色申告承認申請書だけ間に合わない、という事態が起こり得ます。これが「2枚同時提出」をすすめる最大の理由です。
青色申告の代表的な特典が、最大65万円の青色申告特別控除です。65万円の控除を受けるには、次の要件をすべて満たす必要があります(国税庁 確定申告書等作成コーナー よくある質問)。
- 複式簿記による記帳をしていること
- 貸借対照表と損益計算書を添付していること
- 法定期限内に申告していること
- e-Taxによる電子申告、または優良な電子帳簿保存の要件を満たしていること
これらの追加要件を満たさない場合、控除額は55万円にとどまります。
つまり、開業届と青色申告承認申請書をe-Taxで出せる環境を整えておけば、確定申告もそのまま電子申告に進みやすく、65万円控除の要件を満たしやすくなります。
開業届を出すメリット・デメリット
メリットは、青色申告の特典を受けられること、屋号付きの事業用銀行口座を開設しやすくなること、事業者としての実態を示しやすくなることです。事業用と個人用の支出を分けられるため経費の集計が楽になり、取引先からの信用も得やすくなります。
一方で、提出のタイミングによっては不利になるケースもあります。求職中の人が開業届を出すと「再就職の意思がない」とみなされ、雇用保険の失業給付(基本手当)を受給できなくなる可能性があるとされています(弥生 開業届のデメリット)。
家族の健康保険の扶養に入っている人も注意が必要です。一般的には年間収入130万円を超えると扶養から外れるケースが多い一方、収入にかかわらず個人事業主であること自体を扶養除外の条件としている健康保険組合もあるとされています。
いずれも個々の事情や保険者の規約によって結論が変わります。失業給付を受けている・受ける予定がある人はハローワークへ、扶養に入っている人は加入している健康保険組合へ、提出前に必ず確認してください。
開業届を出したらできるようになること

出典: いらすとや
代表的なのが、屋号付きの事業用銀行口座の開設です。屋号名義の口座があると入出金の管理がしやすく、請求書の振込先としても使えます(PayPay銀行 屋号付き口座)。
開設時には、開業届の控えや収受日付入りのリーフレットなど、事業の実態を確認できる書類の提出を求められることが多いようです。必要書類は金融機関ごとに異なるため、申し込む前にその銀行の案内を確認してください。
もうひとつが小規模企業共済への加入です。青色申告承認申請書とあわせて開業届を提出していると手続きを進めやすいとされています(ソリマチ 小規模企業共済についての解説)。開業直後にすべてを整える必要はありませんが、事業が動き出したら検討したい選択肢です。
まとめ
開業届の出し方は、様式を用意して記入し、所轄の税務署に窓口・郵送・e-Taxのいずれかで提出するだけです。最後に、提出で失敗しないためのチェックリストを確認しておきましょう。
- 様式と本人確認書類(マイナンバーカード、またはマイナンバー確認書類+身元確認書類)を準備した
- 提出先が納税地を所轄する税務署になっているか確認した
- 提出期限は事業を開始した年分の所得税の確定申告期限までだと理解している
- 青色申告承認申請書を同時に用意した(期限は原則その年の3月15日まで、1月16日以後の開業なら事業開始等の日から2か月以内)
- 提出の事実を書面で残したい場合、窓口ではリーフレットの交付を希望する/郵送では返信用封筒を同封する
- 失業給付を受ける予定がある人はハローワーク、扶養に入っている人は健康保険組合に事前相談した
書類自体は1枚で、記入項目も事業の実態を書いていくだけです。まずは国税庁のサイトから様式をダウンロードし、青色申告承認申請書とセットで準備を始めてみてください。制度の細かい取り扱いは変わることがあるため、提出前に国税庁のタックスアンサーで最終確認をしておくと確実です。
※記事中のイラストはいらすとやのフリー素材を使用しています。
開業準備の理解を深めるのに役立つ書籍
開業届の提出はこの記事の内容だけで完結しますが、その後に続く記帳・確定申告まで見通しておきたい人には、開業から青色申告までの流れを一冊で解説している書籍も参考になります。
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