自動車の名義変更を自分でやる方法|必要書類チェックリスト7点と手順【売買・相続対応】
自動車の名義変更の結論|窓口・期限・罰則を先に確認
中古車を個人で譲り受けた、親が亡くなって車を引き継ぐことになった。そんなとき「名義変更はどこで、何を持って、いつまでにやればいいのか」で手が止まる人は多いはずです。
この記事は、車の登録そのもの(普通車の「移転登録」、軽自動車の「自動車検査証変更記録申請」)の手続きを扱います。自動車保険や火災保険の名義変更、生命保険の受取人変更とは別の手続きなので、混同しないよう注意してください。
窓口・期限・罰則の3点
先に答えをまとめます。
- 普通車(登録自動車):新所有者の使用の本拠(実際に車を保管・使用する場所の住所)を管轄する運輸支局で「移転登録」を申請する
- 軽自動車:軽自動車検査協会の事務所・支所・分室で「自動車検査証変更記録申請」を行う
- 売買でも相続でも、所有者が変わったら手続きは必要
普通車の期限は法律で決まっています。道路運送車両法 第13条第1項(e-Gov法令検索)は次のように定めています。
所有者の変更があつた場合には、新所有者は、その事由があつた日から十五日以内に、国土交通大臣の行う移転登録の申請をしなければならない
つまり、売買契約の成立や相続の発生から15日以内です。同法第109条第2号では、移転登録の申請を怠った場合や虚偽の申請をした場合は50万円以下の罰金とされています。
普通車と軽自動車の違い一覧
| 項目 | 普通車(登録自動車) | 軽自動車 |
|---|---|---|
| 窓口 | 運輸支局 | 軽自動車検査協会 |
| 手続きの名称 | 移転登録 | 自動車検査証変更記録申請 |
| 印鑑証明書 | 旧・新所有者とも必要 | 原則不要(住民票か印鑑証明書のどちらか1点) |
| 車庫証明 | 原則必要 | 原則不要(使用の本拠の管轄が変わる場合を除く) |
| 手数料 | 500円(相続は700円) | 無料(ナンバー再交付時のみ別途) |
| OSS(オンライン) | 売買・ローン完済なら対象 | 対象外(四輪) |
※OSS(自動車保有関係手続のワンストップサービス)は、国土交通省が提供する、自動車の登録や税の手続きをオンラインでまとめて行える仕組みです。詳しくは後述します。
出典は軽自動車検査協会「名義変更」、関東運輸局、国土交通省OSSポータルです(2026-10-11時点)。
この記事の読み方|自分のケースだけ読めばOK
ここからは、自分のケースに当てはまる部分だけ読めば足りるように、必要書類→手順→申請方法の選び方→つまずきやすい点の順で解説します。
自動車の名義変更の必要書類|ケース別チェックリスト
必要書類は「普通車か軽自動車か」「売買か相続か」で大きく変わります。まず自分がどのケースかを確認してください。
普通車を売買で名義変更する場合(必要書類7点)
個人間売買でもディーラー経由でも、基本の書類は同じです。東北運輸局の案内とトヨタ公式FAQをもとに整理しました。
| No. | 書類 | 用意する人 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 1 | 申請書(OCR第1号様式) | 窓口で入手 | 運輸支局で記入 |
| 2 | 手数料納付書 | 窓口で入手 | 検査登録印紙500円を貼る |
| 3 | 自動車検査証(車検証) | 旧所有者 | 原本 |
| 4 | 印鑑証明書 | 旧所有者 | 発行後3か月以内 |
| 5 | 譲渡証明書 | 旧所有者 | 実印を押印 |
| 6 | 印鑑証明書 | 新所有者 | 発行後3か月以内 |
| 7 | 車庫証明(自動車保管場所証明書) | 新所有者 | 不要な場合あり(後述) |
本人が窓口に行かず代理人が申請する場合は、旧所有者・新所有者それぞれの委任状も必要です。
車検証の所有者欄の氏名・住所が印鑑証明書と一致しない場合は注意が必要です。引っ越し歴などがわかる住民票や戸籍の附票を追加で求められます。
普通車を相続で名義変更する場合
相続では、売買の共通書類に加えて「誰が相続人で、誰が車を引き継ぐか」を示す書類が必要です。北海道運輸局の案内によると、主に次の3種類です。
- 相続関係を証明する書類:亡くなった所有者と相続人全員の関係がわかる戸籍謄本等(除籍謄本を含む)、または法定相続情報一覧図
- 誰が引き継ぐかを示す書類:相続人全員の実印を押した遺産分割協議書(印鑑証明書付き)、または遺言書・調停調書・審判書のいずれか
- 新所有者(相続人)の書類:印鑑証明書、住民票
なお相続時の検査登録印紙は、関東運輸局の案内では700円です。売買時の500円とは異なります。
査定額100万円以下なら「単独申請」の特例がある
相続人が多いと、全員の実印と印鑑証明書を集めるのは大変です。そこで使えるのが「遺産分割協議成立申立書」による単独申請です。
車の査定額が100万円以下であることを示す査定証等を添付できる場合に限り、車を取得する相続人1名の実印だけで申請できます。他の相続人の実印・印鑑証明書は不要です。100万円を超える場合は、原則どおり相続人全員の実印を押した遺産分割協議書が必要です。
軽自動車の名義変更に必要な書類
軽自動車は普通車よりシンプルです。軽自動車検査協会の公式案内に記載されている書類は次のとおりです。
- 自動車検査証(車検証)の原本
- 自動車検査証変更記録申請書(軽第1号様式等)
- 使用者または住所が変わる場合:使用者の住所を証する書面(個人は住民票の写し〈マイナンバー非表示〉か印鑑登録証明書のどちらか1点、発行後3か月以内)
- 新しい使用者以外が申請する場合:申請依頼書
- 改姓の場合:戸籍謄抄本等
相続の場合は、上記に加えて戸籍謄本等または法定相続情報一覧図が必要です。死亡診断書は原則として使えません。
民間サイトには「軽自動車の相続は戸籍謄本も不要」と書かれたものもありますが、公式案内とは食い違います。準備は公式サイトの記載に合わせるのが確実です。
申請前に確認しておくこと
書類集めを始める前に、次の3点を確認しておくと手戻りを防げます。
| 確認項目 | 確認する理由 |
|---|---|
| 車検の有効期間 | 車検証の有効期間が切れている場合の扱いは、事前に管轄窓口へ確認する |
| 車庫証明が必要か | 新使用者の住所と使用の本拠の位置が同じなら、普通車でも車庫証明は不要 |
| 使用の本拠の管轄が変わるか | 管轄が変わるとナンバープレートの再交付が必要になり、費用が増える |
特に車庫証明の要否は、所要日数に直結します。自分のケースで必要かどうかを最初に確かめておきましょう。
自動車の名義変更のやり方|4ステップの手順
ここからは、自分で手続きする場合の流れです。

ステップ1:旧所有者・新所有者それぞれで書類を揃える
書類は「誰が用意するか」で分けて考えると漏れが減ります。
- 旧所有者(売る側・故人側):車検証、印鑑証明書、譲渡証明書、(代理申請なら)委任状
- 新所有者(買う側・相続人):印鑑証明書、車庫証明、(代理申請なら)委任状
- 相続の場合の追加分:戸籍謄本等または法定相続情報一覧図、遺産分割協議書など
印鑑証明書は「発行後3か月以内」が条件です。早く取りすぎると期限切れになるので、申請日から逆算して取得してください。
ステップ2:車庫証明を取得する(必要な場合のみ)
普通車で車庫証明が必要な場合は、名義変更の前に取得します。
車庫証明の有効期間は、おおむね1か月前後とされています。ただし運輸支局や都道府県警察の案内によって表記に差があります。取得後は間を空けずに申請し、有効期間は管轄窓口で確認してください。
ステップ3:運輸支局・軽自動車検査協会の窓口で申請する
書類が揃ったら、管轄の窓口へ行きます。
- 普通車:新所有者の使用の本拠を管轄する運輸支局
- 軽自動車:管轄の軽自動車検査協会の事務所・支所・分室
窓口では申請書・手数料納付書を記入し、印紙を貼って提出します。管轄が変わる場合はナンバープレートの再交付も必要になるため、車で行くか事前に窓口へ確認しておきましょう。
ステップ4:新しい車検証を受け取り、内容を確認する
申請が通ると、新所有者の名義で車検証が交付されます。氏名・住所の記載に誤りがないかを、その場で確認しておきましょう。
OSS(オンライン申請)で名義変更できるケース・できないケース
「名義変更はOSSでオンライン完結できる」と思っている人もいますが、対象は限られています。OSS(自動車保有関係手続のワンストップサービス)は、自動車の登録や税などの手続きをオンラインでまとめて行える国土交通省のサービスです。
国土交通省OSSポータル「申請が行える手続の種類」によると、2026-10-11時点の対象は次のとおりです。
| ケース | OSSでの移転登録 |
|---|---|
| 普通車の売買 | 対象 |
| 普通車のローン完済による所有者変更 | 対象 |
| 相続・贈与・合併・分割・判決による譲渡 | 対象外(運輸支局への出頭が必要) |
| 軽自動車(四輪) | 対象外 |
| 車台番号・車名・型式・原動機型式の変更を伴う場合 | 対象外 |
なお、排気量125cc超250cc以下の軽二輪は別区分としてOSSの対象です。
サービス対象地域については、OSSポータルが「47都道府県すべての地域においてご利用いただけます」と案内しています(サービス対象地域)。地域の制限はありません。
相続によるOSS申請は、国の検討資料で対象拡充が検討されたこともあります。とはいえ2026-10-11時点では対象外です。今後変わる可能性があるため、申請前にOSSポータルで最新の対象を確認してください。

自動車の名義変更|自分で・OSS・代行の3つの方法を比較
名義変更の方法は大きく3つあります。費用はいずれも2026-10-11時点の目安で、正確な金額は窓口や依頼先で確認してください。
| 方法 | 費用の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 自分で窓口申請 | 普通車:合計4,000〜6,000円程度/軽自動車:手数料無料 | 平日に窓口へ行ける人、費用を抑えたい人 |
| OSS申請 | 手数料等は手続き内容による(最新の金額はOSSポータルで確認) | 普通車の売買・ローン完済で、窓口に行く時間がない人 |
| 行政書士に依頼 | 1万5,000円前後が相場の目安 | 相続で書類が複雑な人、平日に動けない人 |
| 販売店(ディーラー)に依頼 | 販売店ごとに設定 | 車の購入と一緒に任せたい人 |
自分で行う場合の普通車の内訳は、移転登録手数料500円、車庫証明2,000〜3,000円程度、管轄変更時のナンバー再交付1,500円前後とする解説が複数あります(参考:221616.com)。
軽自動車は手数料が無料で、ナンバー再交付が無ければほぼ費用がかかりません。
行政書士への代行料金は、ミツモアの掲載情報では名義変更で1万5,000円前後、車庫証明のみなら6,000円程度です。事務所・地域・車種で変わるため、見積もりを取って比べましょう。
トラブルシューティング|名義変更でよくある失敗と対処
印鑑証明書の住所と車検証の住所が違う
旧所有者が車検証の記載後に引っ越していると、書類の住所が一致しません。住所の変遷がわかる住民票や戸籍の附票を追加で用意すれば対応できます。
車庫証明の有効期間が切れてしまった
有効期間を過ぎた車庫証明は使えないため、取り直しが必要です。有効期間の目安と確認方法は「申請前に確認しておくこと」を参照してください。取得後はすぐ申請に進みましょう。
相続人全員の実印が揃わない
遠方の相続人がいるなどで実印・印鑑証明書が集まらない場合は、査定額を確認してください。100万円以下を示す査定証等があれば、遺産分割協議成立申立書による単独申請が使えます。
OSSで申請しようとしたら対象外だった
相続・贈与による変更や軽自動車は、2026-10-11時点でOSSの対象外です。その場合は、普通車なら運輸支局、軽自動車なら軽自動車検査協会の窓口申請に切り替えます。必要書類は上のチェックリストを使ってください。
車検証の有効期間が切れていた
車検が切れた車は、名義変更より先に対応が必要になる場合があります。「申請前に確認しておくこと」で触れたとおり、手続きの順番は管轄の運輸支局または軽自動車検査協会に確認してから進めるのが確実です。
まとめ
自動車の名義変更は、普通車なら運輸支局で「移転登録」、軽自動車なら軽自動車検査協会で「自動車検査証変更記録申請」を行います。普通車は事由があった日から15日以内が期限で、怠ると50万円以下の罰金の対象です。
- 売買の普通車は、申請書・手数料納付書・車検証・双方の印鑑証明書・譲渡証明書・車庫証明の7点が基本
- 相続は戸籍謄本等と遺産分割協議書が追加。査定額100万円以下なら単独申請の特例がある
- OSSは普通車の売買・ローン完済のみ対象で、相続・贈与・軽自動車は2026-10-11時点で対象外
今日やることは1つ、自分のケースのチェックリストを見て、手元に無い書類を書き出すことです。印鑑証明書や車庫証明は期限があるので、取得のタイミングを逆算して動き始めましょう。
名義変更が終わったら、加入している自動車保険の保険会社にも名義変更の連絡を忘れずに入れてください。
