【2025年8月改訂】南海トラフ地震臨時情報「巨大地震警戒・注意」で個人の行動はこう変わった|今日からできる備えチェックリスト
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「南海トラフ地震臨時情報が出たら、結局どうすればいいのか」。2024年8月に初めて「巨大地震注意」が発表されたとき、多くの人が判断の物差しを持てないまま立ち止まりました。
その反省を踏まえ、内閣府(防災担当)は2025年8月7日に「南海トラフ地震臨時情報防災対応ガイドライン」を改訂しています。改訂後の一次情報をもとに、とるべき行動を整理します。
結論|「巨大地震警戒」と「巨大地震注意」で個人がやることはこう違う
先に答えです。「巨大地震警戒」では事前避難対象地域の住民が1週間の事前避難を行い、それ以外の人は「特別な備え」をしながら普段どおり生活する。「巨大地震注意」では事前避難はなく、備えの再確認をしながら生活を続ける。これが個人にとっての核心です。
| 巨大地震警戒 | 巨大地震注意 | |
|---|---|---|
| 発表条件 | 想定震源域内のプレート境界でMw8.0以上(半割れケース) | Mw7.0以上8.0未満など(一部割れケース)/通常と異なるゆっくりすべりの観測 |
| 事前避難 | 事前避難対象地域の住民は1週間の事前避難 | なし |
| 対象地域の住民 | 「特別な備え」+日頃の備えの再確認をしつつ生活継続 | 「特別な備え」+日頃の備えの再確認をしつつ生活継続 |
| 期間の目安 | 1週間。地震が起きなければさらに1週間「注意」対応へ(最長2週間) | 1週間(ゆっくりすべりの場合は変化が収まってから同程度) |
出典: 内閣府(防災担当)「南海トラフ地震臨時情報防災対応ガイドライン」概要版(令和7年8月改訂)(5〜6・11〜13ページ/2026-09-12時点)
※表中のMwは「モーメントマグニチュード」の略で、ニュースの震度速報などでよく見る気象庁マグニチュード(M)とは算出方法が異なる、地震の規模を示す別の指標です。
改訂ガイドラインは「臨時情報が発表されたからといって、後発の大規模地震が発生するかどうかは不確実である」と明記しました。過度に怖がる必要も、無視する必要もありません。
なぜ2025年8月にガイドラインが改訂されたのか
2024年8月、初めて「巨大地震注意」が出たときに起きたこと
2024年8月8日、日向灘でM7.1の地震が発生し、運用開始後初めて「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されました。呼び掛けは8月15日に終了し、期間はおよそ1週間。お盆・夏休みと重なり、影響は広範囲に及びました。

出典: 内閣府防災情報のページ
津波想定地域では交通機関の運休や海水浴場の閉鎖、イベント中止が相次ぎ、都市部では食料や水の買いだめも起きています(旅行関連消費が約1,964億円程度落ち込んだとする野村総合研究所(NRI)木内登英氏の民間試算もありますが、公的な確定値ではありません)。金額そのものより重要なのは、「どこまでやるべきか」の目安が共有されておらず、必要以上の買いだめや混雑が起きてしまった点です。
改訂で変わった8つのポイント
中央防災会議のワーキンググループはこの対応を検証し、2024年12月20日に改善方策を公表。それが2025年8月7日の改訂に反映されました(改訂前の名称は「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン」)。
| # | 改訂内容 |
|---|---|
| 1 | 「Ⅰ共通編・Ⅱ地方公共団体編・Ⅲ事業者編」に章立てを再構成 |
| 2 | 「後発地震の発生は不確実」「自らの命は自らが守る」という基本的な考え方を新規記載 |
| 3 | 巨大地震注意の防災対応を2段構成・時系列の図で図示するなど記載を充実 |
| 4 | 国・自治体・報道機関が連携した周知・広報の留意点を新規記載 |
| 5 | 鉄道・公共事業など個別分野の対応例を充実 |
| 6 | 海抜ゼロメートル地帯における防災対応の考え方を新規記載 |
| 7 | 2024年8月の臨時情報発表時にとられた対応の事例集を巻末に追加 |
| 8 | Q&Aを充実 |
出典: 内閣府(防災担当)「南海トラフ地震臨時情報防災対応ガイドライン」改訂概要(2026-09-12時点)
個人にとって特に効くのは2・3・7です。判断の原則が言葉になり、対応の時系列が図で示され、実際の事例が参照できるようになりました。海抜ゼロメートル地帯にお住まいの方は6も見逃せません。今回の改訂で「海抜ゼロメートル地帯における防災対応の考え方」が新たに記載されており、詳細は改訂概要PDFに示されています。該当地域の方は一度目を通しておくと安心です。
そもそも南海トラフ地震臨時情報とは|4つのキーワードを整理
「調査中」「巨大地震警戒」「巨大地震注意」「調査終了」の意味
臨時情報には4つのキーワードがあります。異常な現象が観測されるとまず発生から約30分後に「調査中」が発表され、「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」の評価を経て、最短で約2時間後に残る3つのいずれかが発表されます。
| キーワード | 意味 |
|---|---|
| 調査中 | 異常な現象を観測し、南海トラフ地震との関連を調査し始めた段階 |
| 巨大地震警戒 | 半割れケース。事前避難を含む最も強い呼び掛け |
| 巨大地震注意 | 一部割れケース・ゆっくりすべりケース。事前避難は伴わない |
| 調査終了 | 巨大地震警戒・注意のいずれにも当てはまらないと判断された段階 |
発表される条件
「巨大地震警戒」は想定震源域内のプレート境界でMw(モーメントマグニチュード。ニュースでよく聞く気象庁マグニチュードとは算出方法が異なる、地震の規模を示す指標)8.0以上の地震が発生した場合(半割れケース)。「巨大地震注意」はMw7.0以上8.0未満の地震などが発生した場合(一部割れケース)か、プレート境界の固着状態が明らかに変化するゆっくりすべりが観測された場合です。

出典: 内閣府「広報ぼうさい」
臨時情報にもとづく防災対応が求められるのは「南海トラフ地震防災対策推進地域」です。震度6弱以上や津波高3m以上といった基準で特別措置法第3条により指定され、太平洋沿岸の1都2府26県の関係市町村に及びます。
発表条件やケースの分類は専門的ですが、個人としてまず覚えておくべきは「巨大地震警戒」と「巨大地震注意」の2語だけです。どちらが出たかさえ押さえておけば、次の章でそれぞれ何をすべきかがわかります。
【巨大地震警戒】が出たら、個人は何をすべきか
まず「事前避難対象地域」かどうかで行動が分かれる
「巨大地震警戒」でまず確認すべきは、自分の住む場所が市町村の指定する「事前避難対象地域」かどうかです。該当すれば避難、該当しなければ生活継続が基本になります。
対象地域は2種類あり、要配慮者のみが避難する「高齢者等事前避難対象地域」と、全住民が避難する「住民事前避難対象地域」に分かれます。選定は「30cm以上の浸水が地震発生から30分以内に生じる地域」を基本に市町村が設定するため、どの町丁目が対象かは自治体の防災ページで確認してください。
事前避難対象地域に住んでいる場合
地震発生から1週間、指定された避難先へ事前に避難します。揺れが来てから逃げるのではなく、後発地震に備えて先に身を移す考え方です。常備薬や充電手段、着替えを持ち出せるようにし、避難先を家族と共有しておくと発表後の判断が速くなります。

出典: 内閣府防災情報のページ
事前避難対象地域以外に住んでいる場合
推進地域でも事前避難対象地域でなければ、仕事や学校は継続します。そのうえで避難場所・避難経路の確認、家族との連絡手段の確認、家具等の固定、備蓄の賞味期限チェックといった「日頃からの地震への備え」を再確認し、これに「特別な備え」を上乗せします。生活を止めないまま、逃げ足だけを速くしておくイメージです。
1週間が過ぎたらどうなるか
後発地震が発生しないまま1週間が過ぎると、さらに1週間「巨大地震注意」の対応に移行します。基本形では最長で計2週間です。運用は状況により変わりうるため、発表時は自治体と気象庁の最新の呼び掛けを確認してください。
【巨大地震注意】が出たら、個人は何をすべきか
事前避難は不要。中心は「特別な備え」

出典: 内閣府「広報ぼうさい」
「巨大地震注意」では事前避難は伴いません。推進地域の住民は、社会経済活動を続けながら「特別な備え」と「日頃からの備えの再確認」を行います。期間の目安は1週間(ゆっくりすべりケースではすべりの変化が収まってから同程度)。具体的に何をするかは、後述の「今日からできる備えチェックリスト」にまとめています。
鉄道は原則運行規制なし──改訂で明確になった生活面の変化
改訂で個別分野の対応例が充実しました。鉄道は「巨大地震注意」時、原則として運行規制をせず平常通り運行するとされ、通勤・通学は基本的に通常どおりという目安が持てます。
一方、公共事業では斜面・高所作業や津波の影響を受ける作業の一時中止等を検討し、「巨大地震警戒」時には住民事前避難対象地域を含む施工箇所の工事を中断・退避するとされています。
2つの呼び掛けを混同しない
見落としやすいのが、気象庁が地震後に出す「大地震後の地震活動の見通し」(揺れの強かった地域で1週間程度、規模の大きな地震に注意)と、臨時情報に伴う国からの呼び掛けが別物だという点です。前者は揺れた地域向け、後者は推進地域全体向けで、目的も対象エリアも異なります。SNSの断片ではなく内閣府防災情報のページなど発信元にあたりましょう。
今すぐ確認したい2つのこと|推進地域とハザードマップ
自分の市町村が対象かどうか
1つ目は、自分の市町村が南海トラフ地震防災対策推進地域か、事前避難対象地域が設定されているかの確認です。指定地域の一覧は内閣府の南海トラフ地震対策ページ、町丁目単位の指定は市町村の防災ページで調べられます。推測で判断せず、家族に共有しておきましょう。
ハザードマップで浸水想定と避難場所を見る
2つ目はハザードマップです。ハザードマップポータルサイト(国土地理院)で住所を入力すると、津波や浸水の想定と指定緊急避難場所を地図上で確認できます。自宅・職場・学校の3か所を見て、避難場所までは実際に歩いて所要時間も確かめておきましょう。
今日からできる備えチェックリスト(改訂ガイドライン準拠)
日頃からの地震への備え(4項目)
- 避難場所・避難経路を確認した(自宅・職場・学校)
- 家族との連絡手段を決めて共有した
- 家具等を固定した(転倒・落下防止)
- 非常食など備蓄の賞味期限を確認した

出典: 内閣府「広報ぼうさい」
特別な備え(臨時情報発表中に上乗せする項目)
- すぐに逃げられる態勢を保つ(就寝時も靴と懐中電灯を枕元に)
- 非常持出品を常時携帯する(食料・水・常備薬・懐中電灯・携帯ラジオ)
- マイナンバーカード・現金・身分証明書のコピーを持ち歩く
- 家族の避難先と集合場所を再確認する
臨時情報が出てから買い物に走ると、2024年8月のように品切れや混雑に巻き込まれます。上の8項目が平時に済んでいれば、発表後に上乗せする作業はほとんどありません。
まとめ|臨時情報が出ても慌てないために
2025年8月改訂のガイドラインが個人に伝えているのは、「後発地震が起きるかは不確実であり、そのうえで自らの命は自らが守る」という考え方です。生活を止めることではなく、逃げられる態勢を整えることが中心に据えられました。
「巨大地震警戒」なら事前避難対象地域の住民は1週間の避難、それ以外は特別な備えをしながら生活継続。「巨大地震注意」なら事前避難はなく、備えの再確認をしながら生活継続。鉄道も原則は平常運行です。
やることは2つです。今日、自分の市町村が事前避難対象地域かを調べること。そして平時にできる4項目を片付けること。詳細は内閣府の改訂概要と概要版ガイドラインで確認できます(2026-09-12時点の公表資料にもとづきます)。
次に臨時情報が流れたとき落ち着いていられる準備は、今日の10分から始められます。
おすすめ防災グッズ|「特別な備え」を今日のうちに
「非常持出品を常時携帯する(食料・水・常備薬・懐中電灯・携帯ラジオ)」というチェック項目は、実際に手元に用意して初めて意味を持ちます。停電時の情報収集とスマートフォンの充電手段になる防災ラジオ・モバイルバッテリーを、記事に関連するおすすめ商品としてご紹介します。
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