電卓と税務書類を机に並べて年末調整の書類を確認するイメージ
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【2026年分】基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書の書き方|新様式でどこが変わったか手順で解説

結論

2026年分(令和8年分)の年末調整で配られる、あの長い名前の1枚。結論から言うと、これは4つの申告書が1枚にまとまった兼用様式です。全員が全部の欄を埋めるわけではなく、自分に当てはまる欄だけを書きます。

正式名称は「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」で、国税庁が令和8年6月30日に公表したとされています。まず下の表で、自分が書く欄がどれかを確認してください。

電卓と税務書類を机に並べて年末調整の書類を確認するイメージ

出典: Unsplash

1枚に含まれる申告書 書く必要がある人 該当ステップ
給与所得者の基礎控除申告書 年末調整を受ける人のほぼ全員 ステップ1
給与所得者の配偶者控除等申告書 配偶者控除・配偶者特別控除を受ける人 ステップ2
給与所得者の特定親族特別控除申告書 19歳以上23歳未満の親族がいて所得要件に当たる人 ステップ3
所得金額調整控除申告書 給与収入850万円超で子育て・障害の要件に当たる人 ステップ4

実物の様式と記載例は、国税庁の各種申告書・記載例ページで令和8年分のPDFを開いて確認できます。欄の並びは勤務先が配る用紙や年末調整システムの画面で異なる場合があるため、本記事は「どの情報をどの申告書に書くか」という切り分けを中心に解説します(2026-09-12時点の情報)。

この記事で扱う範囲

以下では、まず2026年分から様式が変わった理由を押さえ、そのうえでステップ1から4の順に欄を埋めていきます。自分に関係のない申告書は飛ばして構いません。

この記事で繰り返し出てくる「合計所得金額」は、年収(額面の収入金額)そのものではありません。給与所得控除など必要経費に相当する金額を差し引いたあとの金額を指します。同じ「500万円」でも、収入金額として書く欄と合計所得金額として書く欄では意味が異なるので、まずこの違いを頭に置いて読み進めてください。具体的な計算の仕方はステップ1で数字を使って説明します。

書き始める前に準備するもの

  • 自分の給与収入(額面)の年間見込額。直近の給与明細や賞与の金額が目安になります
  • 給与以外の所得の見込額。副業・年金・不動産などがある人だけ必要です
  • 配偶者がいる場合は、配偶者の2026年分の所得見込額
  • 19歳以上23歳未満の親族がいる場合は、その人の年齢と所得見込額

この様式に書くのは確定額ではなく「見積額」です。12月の給与や賞与がまだ確定していなくても、その時点の見込みで記入して進められます。見込みが大きくずれたときは、年末調整が終わる前に勤務先へ申し出てください。

なぜ2026年分から様式が変わったのか|基礎控除104万円・給与所得控除74万円

要するに、多くの人にとっては「基礎控除額が増えて、税負担が少し軽くなる」というのが今回の改正の骨子です。以下でその中身を制度ごとに見ていきますが、記入作業だけを先に進めたい人は、この段落を読み飛ばして次の「ステップ1」に進んでも構いません。

令和8年度税制改正で、基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正が行われました。これらは令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用されます。つまり令和8年11月までの毎月の源泉徴収事務に変更はなく、12月の年末調整でまとめて反映される流れです(国税庁 令和8年度税制改正Q&A Q1-1)。

令和8年12月に行う年末調整では、改正後の基礎控除額と改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で1年間の税額を計算し、改正前の源泉徴収税額表で天引きされてきた税額との差額を精算します。精算の結果は人によって異なるので、還付額の見込みは勤務先の計算結果で確認してください。

合計所得金額別・基礎控除額の早見表(令和8・9年分)

合計所得金額 基礎控除額(令和8・9年分)
132万円以下 104万円
132万円超 336万円以下 88万円
336万円超 489万円以下 68万円
489万円超 655万円以下 67万円
655万円超 2,350万円以下 62万円

2,350万円を超える区分は今回の改正の対象外です。また132万円以下の区分の104万円は令和8年分・9年分の金額で、令和10年分以後は99万円に変わります(国税庁 源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月))。

給与所得控除の最低保障額も65万円から74万円へ

給与所得控除の最低保障額は、65万円から74万円に引き上げられました(令和8・9年分)。令和10年分以後は「収入金額×30%+8万円(計算結果が69万円未満なら69万円)」の算式に移行します。給与収入から差し引ける金額が増えるので、同じ年収でも「合計所得金額」の数字は前年より小さく出ます。

ステップ1|基礎控除申告書の欄を書く(合計所得金額の見積額)

2026年分の基礎控除申告書の書き方で中心になるのは、「令和8年中の合計所得金額の見積額」を出す作業です。ここで出した金額をもとに、早見表の区分から自分の基礎控除額を選んで記入します。年末調整を受ける人はほぼ全員が書く欄です。

  1. 給与の収入金額(額面。社会保険料や税金を差し引く前の金額)の年間見込みを出す
  2. 給与収入から給与所得控除を差し引き、給与所得の金額に直す
  3. 副業や年金など給与以外の所得があれば合算し、合計所得金額の見積額を出す
  4. 早見表の区分に当てはめ、該当する基礎控除額を記入する

つまずきやすいのは2番です。給与収入をそのまま書いてしまうと区分がずれ、基礎控除額を誤ります。給与収入から給与所得への換算は、国税庁が公表する改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で確認するのが確実です。勤務先の年末調整システムを使う場合は、収入金額を入力すれば自動で計算される形式もあります。

計算例: 給与収入500万円の場合、給与所得控除額は「収入金額×20%+44万円」の式にあたる区分(360万円超660万円以下)で、500万円×20%+44万円=144万円です。給与所得の金額は「500万円-144万円=356万円」となり、これが合計所得金額の見積額(他に所得がない場合)になります。この356万円を基礎控除の早見表に当てはめると「336万円超489万円以下」の区分に該当し、基礎控除額は68万円と記入します(給与所得控除額の区分は収入により異なり、660万円未満は本来所得税法別表第五の早見表による近似値です。詳細は国税庁タックスアンサー No.1410 給与所得控除で確認してください)。

オフィスの机で書類を確認しながら年末調整の申告書を記入する様子

出典: Unsplash

ステップ2|配偶者がいる場合は配偶者控除等申告書の欄を書く

この欄を書くのは、配偶者控除または配偶者特別控除を受ける人だけです。配偶者がいない人は空欄のまま進めます。配偶者控除と配偶者特別控除のどちらに当たるかは、本人の合計所得金額と配偶者の合計所得金額の組み合わせで決まり、様式の判定欄に沿って区分の記号を選ぶ形式になっています。

ここで書くのも配偶者の「合計所得金額の見積額」であって、年収そのものではありません。パート収入なら、額面の年収から給与所得控除を差し引いた金額を書きます。2026年分は最低保障額が74万円に上がっているため、去年と同じ年収でも所得の数字は変わる点に注意してください。

扶養親族等の所得要件そのものも令和8年度税制改正で見直されています。前年の申告書の控えを見ながら書き写すと改正前の基準のまま記入してしまうので、必ず令和8年分の様式と勤務先の案内に沿って判定しましょう。

ステップ3|19〜22歳の子どもがいる場合は特定親族特別控除申告書の欄を書く

今回この1枚に新しく加わったのが、特定親族特別控除申告書の部分です。対象になるのは、あなたと生計を一にする19歳以上23歳未満の親族(配偶者と、青色事業専従者・白色事業専従者は除く)で、合計所得金額が62万円超123万円以下の人です。給与収入だけなら136万円超197万円以下が目安になります(令和8・9年分)。

控除額は、親族の所得区分に応じて63万円から3万円まで9段階で逓減します。所得が増えても控除が一気にゼロになるのではなく、段階的に減っていく仕組みです。大学生くらいの子どもがアルバイトで稼いだ年の負担増をやわらげる控除、とイメージするとわかりやすいでしょう。具体的にどの所得区分でいくら控除されるかは、国税庁の各種申告書・記載例ページにある様式・記載例の該当表で確認してください。この様式自体に区分と控除額の対応表が印刷されているため、記入時に手元の様式を見ながら該当欄を選べば迷いません。

扶養控除等申告書の「特定扶養親族」との使い分け

親族の合計所得金額(令和8・9年分) 記入する書類
62万円以下 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(源泉控除対象親族として記載)
62万円超 123万円以下 本様式の特定親族特別控除申告書の欄
123万円超 いずれの控除も対象外

特定親族特別控除の創設に伴い、令和8年分以後の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」も記載事項が変わり、従来の「控除対象扶養親族」に代えて「源泉控除対象親族」を記載する様式になりました。扶養控除等申告書と本様式は別の書類です。同じ子どもの情報を両方に二重で書かないよう、所得の見積額で書き分けてください。

ステップ4|給与収入850万円超なら所得金額調整控除申告書の欄を書く

所得金額調整控除は、給与収入が850万円を超える人のうち、次の3パターンのいずれかに当たる場合に適用されます。給与収入が850万円以下なら、この欄は書く必要がありません。

該当パターン 内容
本人が特別障害者 申告する本人が特別障害者に該当する
23歳未満の扶養親族がいる 年齢23歳未満の扶養親族がいる
特別障害者の家族がいる 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる

控除額は「(給与の収入金額〔上限1,000万円〕-850万円)×10%」で計算します(国税庁 タックスアンサーNo.1411)。たとえば給与収入900万円で23歳未満の子どもがいる場合は、(900万円-850万円)×10%で5万円です。給与収入が1,000万円を超える人は、上限の1,000万円で頭打ちとなり控除額は15万円になります。

なおステップ3の特定親族特別控除とは年齢の区切りが違います。所得金額調整控除は「23歳未満の扶養親族」、特定親族特別控除は「19歳以上23歳未満で所得62万円超」と要件が別なので、両方に当てはまる人はそれぞれの欄を書きます。

よくある間違い・つまずきポイント

1. 扶養控除等申告書と本様式を混同する:年末調整では複数の申告書を同時に渡されます。子どもの情報は所得の見積額によって書く書類が変わるので、ステップ3の表で先に振り分けてから書き始めると迷いません。

2. 「収入金額」と「合計所得金額」を取り違える:申告書の多くの欄は所得金額(収入から給与所得控除などを引いた後)を求めています。額面をそのまま書くと基礎控除額や配偶者控除の判定がずれ、年末調整のやり直しにつながります。

3. 前年の控えを見ながら旧基準で書く:2026年分は基礎控除額・給与所得控除の最低保障額・扶養親族等の所得要件がまとめて変わった年です。前年と同じ感覚で所得のボーダーラインを判断しないでください。

4. 見積額が確定しないからと提出を遅らせる:この様式は見積額で記入する前提の書類です。空欄のまま提出が遅れると年末調整に間に合わず、自分で確定申告をすることになりかねません。

提出期限と提出先|いつまでに出せばいい?

提出先は勤務先(年末調整を行う給与の支払者)です。年末調整関係書類は実務上「その年最後に給与の支払を受ける日の前日まで」に提出することとされており、企業側は例年11月中旬から12月初旬にかけて回収しています。ただしこれは法定の一律期限ではなく締切は会社ごとに異なるため、勤務先の案内に従ってください。

「改正の施行は令和8年12月1日なのに、11月に書類を出してよいのか」と迷う人もいるかもしれません。この点について国税庁は、年末調整に間に合わせるため、改正を反映した年末調整関係書類を施行日前から提出することとして差し支えないとしています(国税庁 令和8年度税制改正Q&A Q1-2)。会社の案内どおり11月に提出して問題ありません。

まとめ

2026年分の年末調整で新様式になった1枚は、基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除の4つの申告書が合体したものです。名前は長いものの、書く欄は自分の状況で決まります。ステップ1の基礎控除申告書だけを書いて終わる人も少なくありません。

最初にやることは3つです。自分の給与収入の年間見込みを出すこと、配偶者や19歳以上23歳未満の親族の所得見込額を確認すること、そして早見表で自分の基礎控除額を割り出すことです。ここまで読めば、あとは自分に該当する欄を埋めるだけです。難しい判断が必要な部分はすでにこの記事で振り分けが終わっているので、慌てず順番に進めてください。

記入前には、国税庁の各種申告書・記載例ページで令和8年分の様式と記載例に目を通しておくと安心です。制度の詳細は令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等についてで最新情報を確認し、判断に迷う欄は勤務先の年末調整担当に相談してください(本記事の内容は2026-09-12時点の公表資料に基づきます)。

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