給料の差し押さえはいくらまで?【上限33万円】の計算方法と通知が来た時の対処法3つ
差し押さえの通知が届いて、「給料がいくら残るのか」「今すぐ何をすればいいのか」と不安になっていませんか。
安心してください。給料の差し押さえには上限があり、生活に必要な部分は法律で守られています。この記事では、上限額の計算方法と、通知が来たときにまずやるべき対応を順に解説します。
なお、ここで扱うのは一般的な制度と計算方法です。ご自身のケースの判断は、後半で紹介する相談窓口で確認してください。
結論
給料の差し押さえはいくらまでか、その上限額の計算方法を先に示します。借金など私人の債権による差し押さえ(民事執行法)なら、ポイントは次の2つです。
- 原則は給与の4分の1まで。残り4分の3は差押禁止(厚生労働省「確かめよう労働条件」)
- 月給が44万円を超える場合は、33万円が差押禁止額に固定され、33万円を超える部分は全額が差し押さえの対象
ただし、税金の滞納による差し押さえは国税徴収法という別の法律で計算します。通知の差出人が「裁判所」か「税務署・自治体」かで、まず自分のケースを見分けてください。
差し押さえの通知が来たときの対応は、次の3つが基本です。
- 届いた書類の種類と記載された期限を確認する
- 放置せず、早めに専門の窓口へ相談する
- 生活が成り立たない場合は差押禁止範囲の変更の申立てを検討する
ここからは、差し押さえが起きる仕組み、上限額の計算方法、通知が来たときの対処法の順に詳しく見ていきます。
なぜ差し押さえが起きるのか|借金と税金では法律が違う

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給料の差し押さえには、根拠となる法律が2種類あります。どちらに当たるかで計算方法も相談先も変わるため、最初に確認しましょう。
借金(カードローン・消費者金融・個人の貸金など)の場合
裁判所が出す「差押命令」によって行われ、民事執行法が適用されます。差押命令があなたに届いてから1週間が過ぎると、債権者は勤務先から直接取り立てられるようになります(民事執行法155条)。
会社が給料の一部を債権者へ直接支払っても、法律に基づく例外として、労働基準法の賃金直接払いの原則には違反しないとされています(厚生労働省)。
税金(国税・地方税)の滞納の場合
税務署や自治体による「滞納処分」として行われ、国税徴収法が適用されます。差押禁止額の計算方法そのものが借金の場合と異なる点に注意が必要です。
| 項目 | 借金など | 税金の滞納 |
|---|---|---|
| 根拠となる法律 | 民事執行法 | 国税徴収法 |
| 通知の差出人 | 裁判所 | 税務署・自治体 |
| 差押禁止額の決め方 | 給与の4分の3(上限33万円) | 生活費相当額+残額の20% |
| 扶養家族の人数 | 計算に影響しない | 1人ごとに4万8,000円を加算 |
給料差し押さえの上限額の計算方法【計算例つき】
原則は給与の4分の1まで(4分の3は差押禁止)
民事執行法152条1項により、給与のうち4分の3は差し押さえが禁止されています。基準になるのは、給与から税金・社会保険料などを差し引いた後の金額です。
月44万円を超えると33万円が差押禁止額になる
給与が月44万円を超えると、4分の3ではなく33万円が差押禁止額になります(民事執行法施行令2条1項)。44万円の4分の3がちょうど33万円なので、それを超える給与では手元に残る額が33万円で頭打ちになる仕組みです。
毎月払い以外(毎週払い・毎日払いなど)では基準額が変わります。該当する方は、e-Gov法令検索で民事執行法施行令の条文を確認してください。
給与額別の計算例(借金の場合・毎月払い)
| 控除後の月給 | 差押禁止額 | 差し押さえ可能額 |
|---|---|---|
| 20万円 | 15万円(4分の3) | 5万円 |
| 30万円 | 22万5,000円(4分の3) | 7万5,000円 |
| 44万円 | 33万円(4分の3) | 11万円 |
| 50万円 | 33万円(固定) | 17万円 |
| 80万円 | 33万円(固定) | 47万円 |
税金の滞納の場合の計算方法
国税徴収法76条では、給与から所得税・住民税・社会保険料などを差し引き、さらに生活費相当額と残額の20%を足した額が差押禁止額になります(国税庁 国税徴収法基本通達)。
生活費相当額は、2026年4月1日施行の政令改正で本人分が10万7,000円、生計を同じくする親族1人あたり4万8,000円に引き上げられました(財務省 政令改正要綱、2026-10-20時点)。
たとえば税金などを差し引いた後の給与が30万円で単身の場合、計算は次のとおりです(簡略化した目安)。
- 生活費相当額:10万7,000円
- 残額19万3,000円の20%:3万8,600円
- 差押禁止額:14万5,600円、差し押さえ可能額:15万4,400円
同じ30万円でも借金の場合(7万5,000円)とは結果が大きく違います。
扶養家族がいる場合も確認しておきましょう。たとえば配偶者と子1人(扶養親族2人)がいて、税金などを差し引いた後の給与が同じ30万円の場合は次のとおりです。
- 生活費相当額:10万7,000円+4万8,000円×2人=20万3,000円
- 残額9万7,000円の20%:1万9,400円
- 差押禁止額:22万3,400円、差し押さえ可能額:7万6,600円
扶養家族が増えるほど差押禁止額が大きくなり、差し押さえ可能額は少なくなる仕組みです。
勤務先が複数ある場合は合計額で計算し、各勤務先の給与額に応じて按分します。
退職金・養育費の場合
- 退職金:44万円・33万円の基準は使わず、金額にかかわらず4分の3が差押禁止(民事執行法152条2項。解説記事)
- 養育費など:差押禁止部分が2分の1に縮小され、手取りの2分の1まで差し押さえ可能(民事執行法152条3項。松江地方裁判所の書式)
差し押さえの通知が来たら今すぐやるべき対処法3つ

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1. 書類の種類と記載された期限を確認する
まず、届いた書類が裁判所の「差押命令」か、税務署・自治体の「差押通知」や催告書かを確認します。何が差し押さえの対象か(給与か預金か)も、書類の目録に書かれています。
対応の期限は裁判所や事案によって異なるため、一律の日数は示せません。書類に記載された期限を必ず確認してください。
2. 放置せず、早めに相談する
借金の場合は弁護士や法テラス(日本司法支援センター)、税金の場合は通知を出した税務署・自治体の窓口が相談先です。
法テラスには無料法律相談や弁護士費用の立替えの制度があります。利用できる収入・資産の基準は世帯人数や地域で異なるため、法テラス公式サイトまたは最寄りの地方事務所で確認してください。
通知が届いた後にどうすればよいか分からず、弁護士ドットコムのような法律相談サイトで相談するケースもあります。一人で抱え込まず、専門家に状況を伝えることが第一歩です。
3. 差押禁止範囲の変更の申立てを検討する
差し押さえで生活が成り立たない場合、執行裁判所に差押禁止の範囲を変えるよう申し立てる制度があります(民事執行法153条)。
ただし、実務上の利用は多くないという指摘もあります。使えるかどうかは、相談先の専門家に確認するのが確実です。
それでも不安が残る場合|差し押さえが重なったときの注意点
複数の差し押さえが重なったとき
税金は原則として他の債権より優先して徴収されます(国税優先の原則、国税徴収法8条)。ただし例外もあり、借金と税金の差し押さえが重なったときの扱いは個別の事情で変わります。複数の通知が届いたら、早めに窓口へ確認してください。
会社に知られることへの不安
給料の差し押さえでは勤務先が支払いの手続きをするため、会社に知られるのは避けられません。
差し押さえそのものを理由にした解雇は、労働契約法16条の解雇の規制に照らして争える可能性があります。不当な扱いを受けたら、労働問題の相談窓口や弁護士に相談しましょう。
なお、自己破産の申立て手順や債務整理の方法の比較はこの記事では扱いません。生活の立て直しを考える段階では、相談先の専門家に選択肢を確認してください。
まとめ
- 借金による給料の差し押さえは原則4分の1まで。月44万円を超えると33万円が手元に残る
- 税金の滞納は国税徴収法で計算し、生活費相当額(本人10万7,000円・親族1人4万8,000円)と残額の20%が守られる
- 退職金は一律4分の3が保護され、養育費は2分の1まで差し押さえ可能
差し押さえは放置するほど選択肢が狭まります。まずは今日、届いた書類の期限を確認し、法テラスか通知元の窓口へ連絡してください。
金額は法令・政令の改正で変わることがあります。最新の基準は通知元や公的機関の情報で確認してください。
