【申告期限10ヶ月】相続税申告のやり方|基礎控除の計算方法・必要書類・自分でやる場合の注意点
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身内が亡くなったあと、多くの人が最初につまずくのが「そもそも相続税の申告は必要なのか」という点です。相続税は財産があれば必ずかかる税金ではなく、一定の金額を超えた分にだけ課される税金だからです。しかも申告には10ヶ月という明確な期限があり、過ぎるとペナルティが上乗せされます。
この記事では、相続税申告のやり方を「必要かどうかの判定 → 期限の確認 → 書類集め → 提出先 → 自分でやるか税理士に頼むか」の順で、1本の手順書として通して整理します。税制や税率は改正されるため、本文の数値は2026-09-04時点で確認した内容です。
相続税の申告が必要かは「基礎控除額」で決まる
結論から言うと、相続税の申告が必要かどうかは、遺産の課税価格の合計額が基礎控除額を超えるかどうかで決まります。計算式は次の1本だけです。
なお「課税価格の合計額」は、預貯金や不動産などのプラスの財産をそのまま足し合わせた金額ではなく、借入金や葬式費用などを差し引いたあとの金額で判定します。差し引ける範囲や評価方法はケースによって細かい違いがあるため、正確な金額は税理士や税務署に確認してください。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
課税価格の合計額がこの基礎控除額を下回れば相続税は発生せず、税務署への申告義務もありません。たとえば配偶者と子2人の合計3人が法定相続人なら、3,000万円+600万円×3人=4,800万円が基礎控除額です(HOME4U 不動産売却塾)。

出典: いらすとや
上の式に人数を当てはめると、基礎控除額は次のようになります。
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
| 5人 | 6,000万円 |
※「3,000万円+600万円×人数」で算出した金額です。
なお令和8年度(2026年度)の税制改正大綱では、この基礎控除額そのものの見直しは行われていないとされています。2026-09-04時点で確認できた解説記事によれば、改正の柱は貸付用不動産の評価方法の見直し、教育資金の一括贈与非課税措置の終了、事業用資産・非上場株式の納税猶予制度の提出期限延長などで、一般的な家庭の基礎控除額には影響しません(SBI証券)。財務省・国税庁の一次資料での最終確認は各自で行ってください。
法定相続人の数え方|相続放棄した人も人数に含める
基礎控除額は法定相続人の数で400万円単位以上に動くため、数え方を間違えると判定そのものがずれます。とくに注意したいのが相続放棄です。相続放棄をした人がいても、基礎控除額の計算上は「相続放棄がなかったもの」として法定相続人の数に含めます。
放棄の有無にかかわらず基礎控除額は変わらないので、まずは法定相続人が何人になるかを確定させるところから始めてください。
基礎控除を超えたら|相続税額はどう計算する?
課税価格の合計額が基礎控除額を超えた場合、相続税は「超えた部分」に対してのみ計算されます。全額に一律の税率がかかるわけではなく、超えた分の財産額に応じて段階的に税率が上がっていく仕組みです。
具体的な税率の区分や、相続人ごとにいくら納めるかを割り振る按分計算は、財産の評価方法や誰がどの財産を相続するかによって変わり、正確さを担保できる出典を確認できていないため、本記事では扱いません。ご自身のケースでの概算額を知りたい場合は、税理士に相談して試算してもらうのが確実です。この記事では、まず「申告が必要かどうか」を判定したうえで、そこから先の期限・書類・提出先の準備を進める流れを解説します。
相続税の申告期限は「相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」
相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です(ベンチャーサポート相続税理士法人)。起点が「亡くなった日」ではなく「知った日」である点に注意してください。

出典: いらすとや
10ヶ月と聞くと余裕がありそうですが、戸籍の収集、財産の洗い出し、遺産分割協議まで含めると決して長くありません。期限から逆算した進め方の一例を挙げておきます。
| 時期の目安 | やること |
|---|---|
| 1〜3ヶ月目 | 戸籍謄本の収集、法定相続人の確定、財産・債務の洗い出し |
| 4〜6ヶ月目 | 財産の評価、残高証明書・登記簿謄本などの取得 |
| 7〜9ヶ月目 | 遺産分割協議、遺産分割協議書の作成、印鑑証明書の取得 |
| 10ヶ月目 | 申告書の作成・提出、納税 |
期限を過ぎるとどうなる?無申告加算税と延滞税
期限内に申告しなかった場合、無申告加算税と延滞税の2種類のペナルティが課されます。無申告加算税は「申告しなかったこと」に対する加算、延滞税は「納付が遅れたこと」に対する利息にあたるものです。
無申告加算税の税率は、申告期限が令和6年1月1日以降のケースで、税務調査の前に自主的に期限後申告をした場合、次のとおりです。
| 税額の区分 | 無申告加算税の税率 |
|---|---|
| 50万円以下の部分 | 5% |
| 50万円超300万円以下の部分 | 15% |
| 300万円超の部分 | 25% |
税務調査の事前通知を受けた後に申告すると20〜30%、実際に調査を受けてから申告すると15〜30%まで上がります(相続税のチェスター)。自主的に申告するかどうかで負担が大きく変わるため、期限を過ぎたことに気づいたら放置せず、すぐ動くのが鉄則です。
延滞税は令和8年分で、納期限の翌日から2ヶ月以内が年2.8%、2ヶ月を経過した後は年9.1%です(2026-09-04時点)。延滞税の割合は年ごとに見直されるため、実際に申告する年度の税率は国税庁「延滞税の割合」で必ず確認してください。
相続税申告に必要な書類一覧
必要書類は「相続人全員に共通の書類」「財産の種類別の書類」「特例・控除を使う場合の書類」の3層に分けて考えると整理しやすくなります(本橋総合会計事務所)。

出典: いらすとや
相続人全員に共通して必要な書類
まず、どの家庭でも必要になる共通書類が次のとおりです。
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
- 遺産分割協議書(遺産分割が済んでいる場合)
- 相続人全員の印鑑証明書
- マイナンバー確認書類
最大の関門は、被相続人の戸籍を「出生から死亡まで連続して」揃えることです。転籍や婚姻で本籍地が変わっていると、複数の市区町村へ順にさかのぼって請求することになり、日数もかかります。10ヶ月の期限を考えると、ここは最初に着手すべき作業です。
財産の種類別に追加で必要な書類
共通書類に加えて、相続財産の中身に応じた資料を揃えます。代表的なものは次のとおりです。
| 財産の種類 | 主な必要書類 |
|---|---|
| 土地 | 公図、地積測量図、登記簿謄本、固定資産税課税明細書 |
| 預貯金 | 残高証明書、過去5年分の通帳 |
| 株式 | 残高証明書、過去5年分の顧客元帳 |
| 生命保険 | 保険証券、支払通知書 |
預貯金や株式で過去5年分の記録が求められるのは、生前の資金移動まで含めて確認するためです。通帳が手元にない場合は、金融機関に取引履歴の発行を依頼することになるので、早めに動いておくと安心です。
特例を使う場合に追加で必要な書類
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用する場合は、相続人全員の印鑑証明書や分割見込書などが追加で必要になります。配偶者の税額軽減は、配偶者が実際に取得した財産にかかる相続税の負担を軽くする制度で、小規模宅地等の特例は、自宅や事業に使っていた土地の相続税評価額を下げる制度です。いずれも要件を満たせば納税額に大きな差が生まれ得る一方、必要書類が細かく、1点欠けるだけで手続きが止まりかねません。
使う予定があるなら、書類集めの前段階で税務署や税理士に「自分のケースで何が必要か」を確認しておくと、後戻りを防げます。
法定相続情報一覧図で戸籍謄本の提出を省略する
法務局で「法定相続情報一覧図の写し」を取得しておくと、以後の各種相続手続きで戸籍謄本の提出を原則省略できます。相続税申告のほかに銀行口座や不動産の手続きが控えている場合、戸籍一式を何度も出し直す手間がなくなります。
戸籍を集め終えたタイミングで作成しておくと、以降の手続きの回転が一気に速くなります。
相続税申告書の提出先は「被相続人の住所地」の税務署
間違えやすいのが提出先です。相続税の申告書は、財産を取得した相続人本人の住所地ではなく、被相続人(亡くなった人)の死亡時の住所地を管轄する税務署に提出します。相続人が複数いて全国に散らばっていても、全員分をまとめて同じ税務署へ提出します(本橋総合会計事務所)。

出典: いらすとや
申告書の様式は国税庁のサイトで年度ごとに公開されています。令和8年分用の様式一覧も公開されているので、国税庁「相続税の申告書等の様式一覧(令和8年分用)」から該当年度のものを入手してください(2026-09-04時点)。
相続税申告は自分でする?税理士に依頼する?判断基準と費用相場
相続税の申告は自分で行うこともできます。税理士事務所の解説では、申告者の約1割が自分で申告しているとされています(国税庁などの一次統計での裏付けは確認できていないため、目安として捉えてください)。必要書類の収集、財産の把握、税額計算、申告書の作成・提出までをすべて自分で行う形です。

出典: いらすとや
判断材料を先に整理しておきます。
| 項目 | 自分で申告する | 税理士に依頼する |
|---|---|---|
| 費用 | 戸籍・証明書の取得実費が中心 | 遺産総額のおおむね0.5〜1.0%が目安 |
| 向くケース | 財産構成がシンプルで争いがない | 土地・非上場株式がある、相続人が多い |
| 主なリスク | 財産評価・控除適用の判断ミスによる追徴課税 | 報酬の負担が発生する |
自分で申告しやすいケース
財産の構成がシンプルで、評価が難しい資産を含まない場合は自分で申告する余地があります。預貯金や上場株式のように残高証明書で金額がはっきり確定する財産が中心で、相続人が少なく、遺産分割にも争いがないケースです。
自分で進めると決めたら、次の一歩は国税庁「相続税の申告書等の様式一覧(令和8年分用)」から該当年度の様式を入手することです。記入例も同ページで公開されているので、書類が揃った段階で照らし合わせながら作成を進められます。
税理士に依頼したほうがよいケース
一方、不動産(土地)や非上場株式が相続財産に含まれる場合は評価が難しく、自分で申告すると財産評価や控除適用の判断ミスによる追徴課税のリスクがあるため、税理士への依頼が推奨されています。相続人が多い場合や、申告期限までの残り期間が短い場合も同様です。
税理士報酬の相場は遺産総額の0.5〜1.0%が目安
税理士に依頼した場合の報酬相場は、遺産総額のおおむね0.5〜1.0%程度とされています(2026-09-04時点)。土地の評価が複雑な場合、非上場株式がある場合、相続人が多い場合、申告期限までの残り期間が短い場合には、加算報酬が発生することがあります(相続税申告の税理士報酬に関する解説)。
ただしこれは相場感の一つで、事務所ごとに段階制や加算報酬の設計が異なります。具体的な金額は必ず複数の事務所から個別見積りを取り、加算報酬の条件まで含めて比較してください。
相続放棄・遺産分割協議など他の相続手続きとの違い
「相続手続き」とひとくくりにされがちですが、この記事で扱っている相続税の申告は、税務署に対して行う税金の手続きです。相続放棄や銀行口座の名義変更、生命保険金の請求は窓口も期限も別物なので、まず自分が今どの手続きを調べているのかをはっきりさせると、情報収集で迷わなくなります。
そのうえで、相続税申告と他の手続きが交差するポイントは次の3つです。
- 相続放棄をした人がいても、基礎控除額の計算では法定相続人の数に含める(放棄によって基礎控除額は減らない)
- 遺産分割が済んでいれば、遺産分割協議書がそのまま相続税申告の共通必要書類になる
- 法定相続情報一覧図の写しは、相続税申告以外の相続手続きでも戸籍謄本の代わりとして使える
つまり、戸籍の収集と遺産分割協議は相続税申告のためだけの作業ではなく、他の相続手続きにも共通する土台です。ここを先に固めておくと、後続の手続きがまとめて片づきます。
まとめ|相続税申告は「10ヶ月の期限から逆算」して動く
最後に、相続税申告のやり方の要点をまとめます。
- 申告が必要かは、課税価格の合計額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかで決まる
- 期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内。過ぎると無申告加算税と延滞税がかかる
- 申告書の提出先は、被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署(相続人の住所地ではない)
- 書類は「共通」「財産別」「特例用」の3層で集める。被相続人の戸籍は出生から死亡まで連続で必要
- 土地や非上場株式があるなら、追徴課税のリスクを避けるため税理士への依頼を検討する
今日やるべき最初の一歩は、法定相続人が何人になるかを数えて基礎控除額を試算することです。数分で終わりますし、ここで明らかに基礎控除額を下回ると分かれば、その後の作業は大幅に減ります。超えそうなら、そのまま戸籍の収集に着手してください。10ヶ月という期限は、動き出しが遅れるほど短くなります。
なお税率や制度は改正されます。本記事の数値は2026-09-04時点で確認したものなので、実際に申告する際は国税庁の相続税の申告書等の様式ページや所轄の税務署で最新の内容を必ず確認してください。
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