【期限は3ヶ月】相続放棄の手続き方法|必要書類・費用・申述の流れ
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親族が亡くなり、遺産よりも借金のほうが多そうだと分かったとき、最初に検討したいのが相続放棄です。何から手をつければいいか分からないまま、期限だけが迫ってくるようで焦っている方も多いのではないでしょうか。ところがこの手続きには厳しい期限があり、何もしないまま過ごすと借金まで引き継いでしまいます。この記事では相続放棄の手続きのやり方を、期限・必要書類・費用・7つのステップに分けて整理します。
相続放棄とは|期限は「知った時から3ヶ月以内」
結論から書きます。相続放棄とは、亡くなった人(被相続人)のプラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がないという意思を、家庭裁判所に申し出る手続きです。期限は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」で、この期間を熟慮期間(民法915条)と呼びます。
裁判所公式サイトも「知った時から3か月以内に、家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません」と説明しています(裁判所「相続の放棄の申述」)。相続放棄の手続きの要点は次の4点です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期限 | 自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(熟慮期間・民法915条) |
| 申述先 | 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
| 費用 | 収入印紙800円分(申述人1人につき)+連絡用の郵便切手 |
| 申述書 | 18歳以上用・18歳未満用の2種類。裁判所公式サイトからPDFで入手、家庭裁判所の窓口でも受け取れる |
注意したいのは起算点です。3ヶ月は死亡日から数えるのではなく、通常は「被相続人が亡くなったこと」と「自分が相続人になったこと」の両方を知った時点から数えます。疎遠だった親族の死亡を後から知った場合は、知った日が起算点になり得ます。
この期間内に何もしなければ原則として単純承認したものとみなされ、借金を含めてすべて引き継ぐことになります。まずは「いつ知ったか」を確定させ、期限をカレンダーに書き込みましょう。

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準備するもの|相続放棄の必要書類と費用の一覧
申述人と被相続人の続柄別・必要書類チェックリスト
相続放棄の必要書類は、申述人と被相続人の続柄によって変わります。全員に共通して必要なのは、被相続人の住民票除票または戸籍附票と、申述人自身の戸籍謄本の2点です。
| 申述人の立場 | 共通書類に加えて必要になる主な戸籍 |
|---|---|
| 配偶者・子 | 被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本 |
| 直系尊属(父母・祖父母など) | 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本など、より多くの戸籍 |
| 兄弟姉妹など | 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本など、より多くの戸籍 |
相続順位が下がるほど集める戸籍の通数が増え、本籍地を転々としている場合は取り寄せに日数がかかります。着手前に裁判所公式ページの一覧と申述先の案内を確認してください。
収入印紙800円と郵便切手代の考え方
申述にかかる費用は、申述人1人につき収入印紙800円分(2026-09-04時点)と、連絡用の郵便切手です。切手の金額は申述先の家庭裁判所ごとに異なるため、この記事では具体額を示しません。管轄裁判所のウェブサイトを見るか、電話で必要な組み合わせを聞くのが確実です。
これに戸籍謄本などの取得手数料が加わります。自分で手続きする場合の実費は数千円程度に収まるのが一般的とされています(2026-09-04時点の目安)。

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相続放棄の手続きの流れ【7ステップ】
相続放棄のやり方は、次の7ステップで進みます。3ヶ月という期限を踏まえると、ステップ1と3に最も時間を割く前提でスケジュールを組むのが現実的です。
- 財産調査:預貯金・不動産・有価証券などのプラスの財産と、借入金・未払金・保証債務などのマイナスの財産を洗い出します。自宅に届く金融機関や貸金業者からの郵便物・督促状、通帳の取引履歴は、借入の有無を確認する手がかりになります。加えて、信用情報機関(CIC・JICC・KSCなど)へ開示請求を行うと、被相続人名義のローンやクレジットカードの契約状況を確認できる場合があります。保証債務は契約書控えが手元に残っていないと見つけにくいため、郵便物や通帳の履歴を丁寧に確認しましょう。
- 申述書の入手・記入:18歳以上用と18歳未満用の2種類があり、裁判所公式サイトからPDFでダウンロードできるほか、家庭裁判所の窓口でも受け取れます。
- 必要書類の収集:被相続人の住民票除票または戸籍附票、申述人の戸籍謄本、続柄に応じた被相続人の戸籍謄本を集めます。
- 家庭裁判所へ提出:被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、収入印紙800円分と連絡用の郵便切手を添えて申述します。
- 照会書への回答:裁判所から届く照会書に記入して返送します。放棄が自分の意思によるものか、財産を処分していないかなどが問われます。
- 相続放棄申述受理通知書の受領:受理されると通知書が届きます。これが手続き完了の合図です。
- 受理証明書の取得(必要な場合):不動産の登記手続きや債権者への提示で証明書を求められることがあります。1通あたり収入印紙150円という説明が専門家サイトに見られますが、裁判所公式サイトでは金額を確認できませんでした。必要通数と手数料は申述先の家庭裁判所に確認してください。

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期限に間に合わないときは|期間伸長の申立て
財産調査が終わらず3ヶ月で判断できないときは、家庭裁判所に「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立てられます。この申立ても相続人1人につき収入印紙800円分が必要です(裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」)。
重要なのは、申立て自体を元の3ヶ月の期間内に行う必要がある点です。期限が切れてから申し立てることはできません。どれだけ延ばしてもらえるかは事案ごとの家庭裁判所の判断によるため、確定的な日数を見込んだ計画は立てないでください。
なお、相続財産が全く存在しないと信じたことに相当な理由があった場合など、例外的に3ヶ月の起算点が「相続財産の存在を認識した時」まで後ろ倒しになると判断された裁判例もあります。3ヶ月経過後に多額の債務が判明したケースでも放棄が認められる余地はあるとされていますが、これは個別事情に対する裁判所の判断であり、誰にでも適用されるものではありません(デイライト法律事務所の解説)。判断の分かれ目になりやすいのは、「相続財産(プラスもマイナスも含めて)が存在すること自体を知らなかった」と言えるかどうかです。自分のケースがこれに当てはまるか判断がつかない場合は、期限が切れる前に早めに家庭裁判所や専門家へ相談してください。

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相続放棄すべきかの判断基準|限定承認との違い
プラスとマイナスの財産を比較する
判断の軸はシンプルで、マイナスの財産がプラスの財産を明らかに上回るなら相続放棄が有力です。預貯金残高証明書、不動産の固定資産評価額、借入残高、督促状などを書き出して差額を出しましょう。保証債務のように書面が手元にない負債は見落としがちです。

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限定承認という第3の選択肢
限定承認は、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ方法です。相続放棄との違いを整理すると次のようになります。
| 比較項目 | 相続放棄 | 限定承認 |
|---|---|---|
| 引き継ぐ範囲 | プラスもマイナスも一切引き継がない | プラスの財産の範囲内で借金を引き継ぐ |
| 申立てる人 | 相続人が単独でできる | 相続人全員が共同で申し立てる必要がある |
| 期限 | 相続開始を知った時から3か月以内 | 相続開始を知った時から3か月以内 |
限定承認は相続人全員の足並みをそろえる必要があり、実務上のハードルは高めです(限定承認の解説)。「残したい自宅があるが借金額が不明」といった事情がなければ、相続放棄と単純承認の二択で考えると整理しやすくなります。
自分でやるか、専門家に依頼するか
| 依頼先 | 費用の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 自分で手続き | 実費数千円程度(戸籍取得費+収入印紙800円+郵便切手代) | 相続人が子で、戸籍の通数が少なく期限に余裕がある |
| 司法書士 | 3万〜5万円程度 | 書類収集や申述書作成を任せたい |
| 弁護士 | 10万〜15万円程度 | 期限が迫っている、債権者と揉めている、起算点が争いになりそう |
費用はいずれも事務所や案件の複雑さで変動する目安であり、確定額ではありません(2026-09-04時点。相続放棄の費用解説)。見積もりは複数の事務所に確認してください。
相続放棄する前に知っておきたい3つの注意点
1. 次順位の相続人へ相続権が移る。相続放棄が受理されると、その人は初めから相続人でなかったものとみなされます。子(第1順位)全員が放棄すれば相続権は第2順位の直系尊属へ、直系尊属もいない、または全員が放棄すれば第3順位の兄弟姉妹へ移ります。放棄では代襲相続(相続人が先に亡くなっていた場合などに、その子が代わりに相続人になる制度)が発生しないため、放棄した人の子が代わりに相続人になることはありません。
しかも家庭裁判所は、放棄を受理しても次順位の相続人に自動的には通知しません。自分から連絡しなければ、次の相続人は自分が相続人になったことを知らないまま熟慮期間を過ごしてしまう可能性があります。受理通知書が届いたら、次順位にあたる親族へ自分で伝えましょう。
2. 生命保険金は原則として受け取れる。死亡保険金は受取人が指定されている場合、受取人固有の財産として扱われ相続財産に含まれません。そのため相続放棄をしても原則として受け取れるとされています。契約内容によって扱いが変わることもあるため、保険証券と受取人の記載は必ず確認してください。
3. 遺産に手をつけると放棄できなくなる。民法921条の法定単純承認により、相続財産の全部または一部を処分すると単純承認したものとみなされ、以後は相続放棄ができなくなります。預金の引き出しと消費、不動産や車の売却、遺品の換金などが典型例です。保存行為や短期の賃貸は処分にあたらないとされていますが、判断に迷う行為は手をつける前に専門家へ相談するのが安全です。

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よくある質問|相続放棄でよく聞かれること
Q. 相続放棄の期限はいつからいつまでですか?
A. 「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内です(熟慮期間・民法915条)。死亡日ではなく、被相続人の死亡と自分が相続人になったことの両方を知った時点が起算点になります。
Q. 相続放棄したことは、次に相続人になる親族に自動で伝わりますか?
A. 伝わりません。家庭裁判所は相続放棄を受理しても次順位の相続人に自動的には通知しないため、受理通知書が届いたら自分から次順位の親族へ連絡する必要があります。
Q. 相続放棄をしても生命保険金は受け取れますか?
A. 受取人が指定されている死亡保険金は、受取人固有の財産として扱われ相続財産に含まれないため、相続放棄をしても原則として受け取れるとされています。契約内容は保険証券で確認してください。
Q. 3ヶ月以内に判断が終わらなさそうなときはどうすればいいですか?
A. 期限内に家庭裁判所へ「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立てることができます。申立て自体を元の3ヶ月の期間内に行う必要がある点に注意してください。
まとめ|今日から始める3ヶ月以内のチェックリスト
相続放棄は、期限内に家庭裁判所へ申述しさえすれば、自分でも進められる手続きです。最後に流れを再確認しましょう。
- 「相続の開始を知った日」を確定し、3ヶ月後の期限をカレンダーに記入する
- プラスとマイナスの財産を一覧化し、放棄・限定承認・単純承認のどれが妥当か判断する
- 申述先の家庭裁判所に、必要書類と郵便切手の金額を確認する
- 判断がつかなければ、期限内に期間伸長の申立てを検討する
- 遺産の処分(引き出し・売却)は判断が固まるまで行わない
今日やることを1つだけ挙げるなら、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所を調べ、必要書類と郵便切手の金額を問い合わせることです。手続きの詳細は裁判所公式サイトで最新情報を確認し、判断に迷う点は司法書士や弁護士に相談してください。
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