労働条件通知書を確認する様子
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パート・有期雇用の「待遇差を説明させる権利」はいつから?【2026年10月1日施行】対象者と請求手順5ステップ

結論

2026年10月1日から、パート・有期雇用労働者を雇い入れる会社は、労働条件通知書などの書面に「正社員(通常の労働者)との待遇の相違の内容・理由等について説明を求めることができる」旨を明示する義務を負います。根拠は厚生労働省のリーフレット「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります」(令和8年4月作成・リーフレットNo.11)です。

対象は、施行日以降に新たに雇い入れられる人と、契約を更新する人です。厚労省の解説でも、この明示義務は契約更新時も対象と説明されています(厚生労働省Webマガジン、2026-09-11時点)。

ただし「待遇差の説明を求める権利」自体は今回できたものではありません。パートタイム・有期雇用労働法という法律に元々定められている権利で(第14条第2項)、すでに働いている人も今すぐ会社に説明を求められます。今回の改正は、この既存の権利を書面で知らせることを会社に義務づけるものです。

労働条件通知書を確認する様子

出典: Wikimedia Commons(撮影: Christian Heilmann, CC BY 2.0)

ここからは、①自分が対象かどうかの判定 ②労働条件通知書での確認ポイント ③実際の請求手順と拒否された場合の相談窓口、の順に確認していきます。

自分は対象か|チェックポイント

まず前提として、対象になるのはパートタイム・有期雇用労働者全員です。つまり、正社員より1週間の所定労働時間が短い人(短時間労働者)、または期間の定めのある契約で働いている人であれば、待遇差の説明を求める権利はすでに持っています。無期雇用のフルタイム労働者は同法の直接の適用対象外です(厚生労働省・パートタイム・有期雇用労働法の概要)。

パート・アルバイトとして小売店で働く人のイメージ

出典: Wikimedia Commons(撮影: Simon Helle Nielsen, CC BY 2.0)

その上で、今回の改正で「書面に明記されるかどうか」が分かれるのは、次の1点だけです。

  • 2026年10月1日以降に新しく雇われる、または契約を更新する予定がある → 次に受け取る通知書に明記される
  • 当分、雇入れ・更新の予定がない → 書面にはまだ明記されないが、説明を求めること自体は今すぐできる

つまり「10月1日をまたぐ雇入れ・更新があるか」は、書面に載るタイミングの違いにすぎません。どちらに該当しても、この記事の手順はそのまま使えます。

何が変わるか|労働条件通知書に1項目が追加される

パート・有期雇用の労働条件通知書には、通常の労働条件に加えて「特定事項」の明示が求められています。2026年10月1日以降、そこに1項目が加わります。

明示事項 2026年9月30日まで 2026年10月1日以降
昇給の有無 必要 必要
退職手当の有無 必要 必要
賞与の有無 必要 必要
相談窓口 必要 必要
待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる旨 規定なし 必要(追加)

厚労省が示す記載例は次の文言です。「次の窓口に対して通常の労働者との間の待遇の相違(内容・理由)等について説明を求めることができる。部署名/担当者職氏名(連絡先)」。「通常の労働者」は会社ごとに「正社員」などの呼称に置き換えて構いません。

見るべきは通知書下部の相談窓口欄です。改正後の様式は厚生労働省のモデル労働条件通知書(2026-09-11時点)で確認できます。

あわせて変わる「待遇差の目安」

同時に「同一労働同一賃金ガイドライン」も改正され、次の待遇について判断の考え方が具体化されます。自分の待遇がどれに当たるかを照らし合わせてみてください。

待遇項目 改正で示された考え方 自己診断のヒント
賞与・退職手当 支給の目的に該当するなら、均衡のとれた支給が必要 正社員と同じ業務・責任を担っているのに支給がない場合
無事故手当 業務内容が同一なら正社員と同一の支給 運転業務など、正社員と同じ内容の仕事をしている場合
家族手当 契約更新を繰り返すなど継続的な勤務が見込まれる場合は同一の支給 例:同じ職場で契約を3回以上更新している場合など
住宅手当 転居を伴う配置変更がある場合は同一の支給 転勤がなく正社員と同じ働き方をしている場合
福利厚生施設の利用条件 不合理な差を設けてはならない 例:休憩室・社員食堂・保養所を正社員だけが使える場合
褒賞 勤続年数の条件を満たせば正社員と同一の付与 勤続表彰の年数条件を満たしているのに対象外の場合
夏季冬季休暇 正社員と同一の付与が必要 正社員と同じ日数勤務しているのに休暇日数が少ない場合
病気休職中の給与保障 継続的な勤務が見込まれる場合は同一の保障 例:契約更新を繰り返し長く勤めている場合など

待遇差が不合理かどうかの最終判断は、職務内容・人材活用の仕組み・その他の事情を踏まえた個別判断です。表に当てはまっても自動で是正されるわけではなく、あくまで目安として使ってください。

待遇差の説明を求める5ステップ

  1. 労働条件通知書と就業規則で「相談窓口」の記載を確認する。担当部署名と担当者名が書かれているはずです。
  2. 自分の待遇と正社員の待遇の違いを、賞与・手当・休暇など項目ごとに書き出す。前章の表が使えます。
  3. 窓口に対し、(1) 待遇差の内容と (2) その理由の2点を尋ねる。「私と正社員との間で家族手当に違いがありますが、その内容と理由を教えてください」といった形で構いません。
  4. 説明を受けたら、使用された資料の交付を求める。厚労省は「資料を活用した口頭説明」か「必要事項を全て記載した資料の交付」のいずれかによる説明を求めています。
  5. 説明がない、または内容が曖昧なまま終わった場合は、次章の相談窓口に連絡する。

例えば、次のようなやり取りが考えられます(架空の例です)。パートで契約更新を3回重ねているAさんが、窓口担当者に「私と正社員との間で家族手当に違いがありますが、その内容と理由を教えてください」と尋ねたところ、担当者から「家族手当は正社員向けの手当ですが、契約更新を繰り返し継続的な勤務が見込まれる場合は、パート契約でも同一の支給対象になります。次回の更新から反映します」という説明を受けた、というようなケースです。このように、説明を求めたことがきっかけで実際の是正につながることもあります。

会社が説明すべき内容は、待遇差の内容・理由に加えて、賃金・教育訓練・福利厚生施設・正社員への転換などについて会社が考慮した事項です(パートタイム・有期雇用労働法第6条から第13条までの規定に基づく事項)。

なお、説明を求めたことを理由に、会社が仕返しのように解雇・配置転換・降格・減給・昇給停止・出勤停止・契約更新拒否などの不利益な扱いをすることは法律で禁止されています(同法第14条第3項)。求めること自体に不利益はない前提の制度です。

説明を拒否された・曖昧だった場合の相談窓口

社内で解決しない場合の公的な窓口は、都道府県労働局の「雇用環境・均等部(室)」です。受付時間は8時30分から17時15分まで(土日・祝日・年末年始を除く)。

窓口 内容
都道府県労働局 雇用環境・均等部(室) 同一労働同一賃金・パート有期法に関する労働者からの相談窓口
働き方改革推進支援センター 中小企業・小規模事業者向けに社会保険労務士等が無料相談を実施

電話番号は厚労省リーフレット6ページに全47都道府県分が掲載されています(例:東京 03-3512-1611、大阪 06-6941-8940)。これは2026年4月作成の資料に基づく番号のため、連絡前に厚生労働省の相談窓口ページで最新の番号を確認してください。

会社が明示しなかった場合どうなるか

明示義務に違反した事業主は、10万円以下の過料に処されます。これは事業主に科される制裁であり、労働者本人にお金が支払われる制度ではありません。待遇差の是正や損害賠償とは別の話として整理しておいてください。

書面化の意義は結論で述べた通りです。実際に通知書を確認するときは、次の3点をチェックしてください。①部署名が書かれているか ②担当者の氏名が書かれているか ③連絡先(電話番号など)が書かれているか。厚労省が示す記載例(「部署名/担当者職氏名(連絡先)」)に沿っているほど、実際に説明を求めやすい状態だといえます。

まとめ

2026年10月1日以降、パート・有期雇用で雇い入れ・契約更新をする際の労働条件通知書には、待遇差の説明を求められる旨と、その窓口が書かれることになります。すでに働いている人も、法第14条第2項によって今すぐ説明を求められます。

今日やることは1つだけです。手元の労働条件通知書を出して、「相談窓口」の欄に部署名と担当者名が書かれているかを確認してください。次の更新時に受け取る通知書では、そこに待遇差の説明を求められる旨が加わっているはずです。

制度の詳細は厚生労働省リーフレット「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります」(令和8年4月作成・2026-09-11時点)で確認できます。自分のケースで待遇差が不合理かどうかの判断は個別事情によるため、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談してください。

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