鳴門渦潮vs八王子実践|DH制なしで優勝した徳島と元ドジャース監督の東京、甲子園初勝利をかけた一戦【8月9日16時】
第108回全国高校野球選手権大会の第5日、注目カードの影に隠れがちですが、実は今大会屈指の「物語」が詰まったカードが組まれています。徳島大会をDH制(投手の代わりに打者を1人起用できる制度)を一度も使わずに制した鳴門渦潮と、創立100周年の年に春夏通じて初出場を決めた八王子実践。しかも八王子実践を率いるのは、元ロサンゼルス・ドジャースのマイナーリーガーという異色の経歴を持つ監督です。この記事では、両校の数字とエピソードから試合の見どころを整理します。
鳴門渦潮vs八王子実践は8月9日16時プレイボール|まず押さえる3点
先に結論から。この一戦は「投手戦濃厚」「両校とも甲子園初勝利を目指す立場」「ストーリー性は今大会随一」の3点で見るのが面白い試合です。試合は2026年8月9日16:00開始予定、会場は阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)。第5日の第3試合として組まれています(阪神甲子園球場公式・組み合わせ、2026-08-09時点)。
高校野球ドットコムのプレビューは、両校をともに甲子園初勝利を目指す立場として紹介しています。鳴門渦潮は出場歴こそあるものの白星に恵まれてこなかった歴史があり、八王子実践はそもそも今回が春夏初出場。どちらが勝っても学校にとって特別な1勝になります。
| 項目 | 鳴門渦潮(徳島) | 八王子実践(西東京) |
|---|---|---|
| 甲子園 | 2年ぶり9回目(統合後3回目) | 春夏通じて初出場 |
| 地方大会決勝 | 阿南光に7-4(7月27日) | 創価に1-0(7月26日) |
| 主戦投手 | 西村大輝(3年・最速141〜143キロ) | 塚原翔太・奥山慎太郎(ともに3年) |
| 強み | 5試合すべて3点差以内で勝ち抜いた勝負強さ | 好機を確実に得点にする集中力 |
| 課題 | エース西村への依存度 | 予選6試合で12失策の守備 |
※強み・課題はベースボールチャンネルの鳴門渦潮評および八王子実践評に基づく(2026-08-09時点)。

出典: 阪神甲子園球場 スコアボード by やねまか / CC0
鳴門渦潮はなぜ「DH制不採用」で徳島を制したのか
鳴門渦潮は2012年、旧鳴門第一高校と旧鳴門技術高校(鳴門工業)の統合で誕生した公立校です。今夏はノーシードから徳島市立、阿波、昨夏代表の鳴門、生光学園を次々と破り、決勝で阿南光に7-4で勝利して2年ぶり9回目の出場を決めました(朝日新聞)。統合前を含む細かい出場年表は資料によって表記に幅があるため、ここでは確認できた数字にとどめます。
そして最大のトピックが、徳島大会で指名打者(DH)制度を一度も使わずに勝ち上がったこと。鳴門渦潮はこれを使わず、エースを打線にも組み込みました。スポーツ報知によれば、これは今大会・全国で唯一の快挙とされています。

出典: 鳴門渦潮高等学校 硬式野球部
エース西村大輝の投打二刀流データが規格外
その中心が「3番・投手」で全5試合に先発した西村大輝投手(3年・右投右打、背番号1、179cm/76kg、兵庫県三原中学出身)です。準決勝まで4試合連続完投勝利、決勝は6回2失点で一度マウンドを降りたあと、8回からクローザーとして再登板して試合を締めました。
- 投手成績: 44回・41奪三振、最速141〜143キロの直球
- 打撃成績: 19打数7安打、打率.368(3番打者として)
- 登板: 徳島大会全5試合に先発
投げて打って走塁までこなす選手が背番号1を背負い、なお5試合すべてが3点差以内。この接戦耐性が甲子園でも通用するかが最初の見どころです。
2番手・有馬凜人とドラフト候補の兄
もう1枚のカードが2年生右腕の有馬凜人投手。最速142キロと、球速だけならエースに引けを取りません。兄は立命館大学の投手・有馬伽久で、2026年ドラフト上位候補に挙がる存在です(高校野球ドットコム)。
チームを率いるのは森恭仁監督。ベンチ入り20名のうち県内出身は12名で、兵庫3名・京都2名など県外出身も8名という編成です。なお8月8日には西宮市の津門中央公園野球場で約1時間45分の前日練習を行い、相手投手陣を想定した打撃練習に時間を割いたと徳島新聞が伝えています。
元ドジャースマイナー・河本ロバート監督が率いる八王子実践
対する八王子実践は東京都八王子市の私立校。学校創立100周年にあたる2026年に、春夏を通じて初の甲子園出場を勝ち取りました(東京新聞)。

出典: 八王子実践高等学校 クラブ活動
専用グラウンドなしから掴んだ100周年の切符
西東京大会決勝は創価との1-0という息詰まる展開。6回まで両校無得点、7回表に荒木孝介選手(3年)の犠牲フライで先制し、9回裏1死一・二塁の窮地をエース塚原翔太投手が締めて逃げ切りました。準々決勝は佼成学園に5-2、準決勝は明大八王子に4-2と、いずれも競り合いを制しての優勝です(タウンニュース)。
主将の矢澤陵磨選手(3年)は優勝後、「今まで積み重ねてきたすべてを出し切れた」とコメントしています(タウンニュース、2026年7月30日掲載)。専用グラウンドを持たず、決して恵まれた練習環境ではない中での初出場という点も、この学校の物語を際立たせています。
河本ロバート監督(1986年1月30日生、東京都奥多摩町出身、190cm/100kg)は同校OB。亜細亜大学を経て2007年12月にドジャースとマイナー契約を結び、ルーキーリーグからAdvA級まで昇格するなど着実にステップアップしていましたが、2011年開幕前にイップスを発症し、同年のうちにドジャースを退団することになります。それでもすぐに現役を退いたわけではなく、2015年まで現役を続けたのち引退。その翌年の2016年から母校・八王子実践のコーチとして指導者としての第一歩を踏み出し、2019年春の都大会後に監督へ就任しました。イップスで一度は目標としていた道を絶たれた選手が、母校の指揮官として教え子たちを甲子園に導いたという点も、このチームの物語に厚みを与えています。
二枚看板の塚原翔太&奥山慎太郎、注目捕手・大塚逸輝
投手陣は塚原翔太投手(3年・右投右打、178cm/79kg)と奥山慎太郎投手(3年)の二枚看板。奥山投手については明確な球速データが公表資料で確認できないため、ここでは断定を避けます。
打線で目を引くのが大塚逸輝捕手(3年、180cm/77kg)です。強肩と好リード、長打力でプロスカウトからも注目され、西東京大会では6安打のうち3本が二塁打でした。近藤秀人選手も打線の中心を担います。ベンチ入り20名のうち19名が都内出身という、地元色の濃いチームです。
対戦分析|勝負を左右する2つのポイント

出典: 甲子園 2017 by Kanesue / CC BY 2.0
1. 西村依存の鳴門渦潮 vs 守備に課題の八王子実践
両校の課題は対照的です。鳴門渦潮は西村投手への依存度が高く、甲子園の連戦を見据えると有馬投手がどこまで試合をつくれるかが鍵。一方の八王子実践は予選6試合で12失策と守備に不安を抱えており、甲子園の緊張感の中でどう出るかが問われます。
2. 八王子実践の1年生・鈴木瑛人 vs 鳴門渦潮の中軸打者陣
八王子実践では1年生の鈴木瑛人選手にも注目が集まります。侍ジャパンU-12代表の経験を持つ強打者で、報道によればスタメン起用が見込まれるとされています。ただし一次情報での確認が取れていないため、実際の出場は当日の発表を確認してください。一方の鳴門渦潮は、西丸皇槻選手・西岡大誠選手ら中軸打者が3番・西村投手をどれだけ援護できるかが得点力のカギを握ります(ベースボールチャンネル)。
地元の応援ムード|八王子市のパブリックビューイング
地元・八王子市では、初出場を市を挙げて後押しする動きが出ています。8月9日はパブリックビューイングが2会場で実施される予定です(2026-08-09時点の情報、最新は主催者発表を確認してください)。
| 会場 | 所在地 | 定員 |
|---|---|---|
| 市学園都市センター ギャラリーホール | 八王子市旭町9-1 | 100名 |
| 八王子市役所 801会議室 | 八王子市元本郷町3-24-1 | 100名 |
入場開始は15:30、会場内の飲食は禁止とされています(八王子ジャーニー)。西東京大会優勝時にはSNS上でも「勝った!?勝った!!!」「甲子園でも八王子実践野球を魅せて欲しい!」といった声が飛び交い、監督の経歴やユニホームの「八王子」の文字にも反響が広がりました(Yahoo!リアルタイム検索まとめ、2026年7月26日時点)。
まとめ|甲子園初勝利へ、両校の物語に注目
鳴門渦潮vs八王子実践は、2026年8月9日16:00に阪神甲子園球場でプレイボールを迎えます。DH制を使わずに徳島を制した投打二刀流エース・西村大輝と、元ドジャースマイナーの河本ロバート監督が率いる100周年の初出場校。どちらも甲子園初勝利へ、背負うものの大きな一戦です。
見どころは、西村投手の球数と有馬投手の起用タイミング、八王子実践の守備の安定度、そして1年生・鈴木瑛人のスタメン起用の行方。テレビ・ラジオ中継や現地観戦、八王子市のパブリックビューイングなど、自分に合った方法でこの一戦を見届けてください。試合開始時刻や日程は変更の可能性があるため、大会公式サイトで最新情報の確認をおすすめします。
