冠水した道路で立ち往生する自動車のイラスト
Life & Safety

【防災週間】ハザードマップの見方と避難場所の確認方法|自宅の危険度がわかる3ステップ

結論

「自分の家は、災害のときどのくらい危ないのだろう」。その答えは、無料の公的サイトを使えば、思っているより短い時間で確認できます。特別な知識も、申請の手間もいりません。

結論として、自宅の危険度は次の3ステップで確認できます。

  1. ステップ1: 国土交通省・国土地理院の重ねるハザードマップに自宅の住所を入力し、洪水・土砂災害などのリスクを見る
  2. ステップ2: 同じポータル内の「わがまちハザードマップ」から自治体版を開き、詳しい想定と最新版を確認する
  3. ステップ3: 指定緊急避難場所と避難経路を確認し、家族で共有する

大切なのは、危険度を知って不安になることではありません。「どこへ、いつ逃げるか」を落ち着いているうちに決めておくことです。2026年の防災週間(8月30日〜9月5日)は、その作業をまとめて片づける良いきっかけになります。

以下では、まず混同しやすい「避難場所」と「避難所」の違いを整理し、次に3ステップの具体的な見方、そして多くの人が見落としがちな注意点まで順に説明します。

なぜ防災週間の今、自宅のハザードマップを確認するのか

2026年の「防災の日」は9月1日(火)です。これを含む8月30日から9月5日までが「防災週間」と定められています(昭和57年閣議了解・昭和58年中央防災会議決定)。備えを一度に点検する期間として国が設けたものです(東京消防庁)。

水害の被害は、統計で見ると決して小さなものではありません。国土交通省が令和7年12月15日に発表した集計によると、令和6年(2024年)の全国の水害被害額は暫定値で約7,700億円でした。

内訳では石川県が約4,660億円、山形県が約820億円、大分県が約230億円と上位を占めています。

人的・住宅への被害も報告されています。9月の大雨災害(能登半島)では死者17名・建物被災約2,100棟、7月の梅雨前線豪雨(山形県中心)では死者5名・建物被災約2,600棟が報告されました(国土交通省 報道発表)。こうした数字を挙げるのは、不安をあおるためではありません。自宅の危険度を事前に知っておけば、いざというときに慌てず落ち着いて動けます。

冠水した道路で立ち往生する自動車のイラスト

出典: いらすとや

住民の側も、地図の情報を求めています。内閣府「防災に関する世論調査」(令和7年8月調査)では、居住地域の自然災害対策として「災害危険箇所を示した地図やハザードマップ」の充実を求めた人が54.1%にのぼりました(内閣府)。

一方、NTTドコモ モバイル社会研究所の調査(2024年5月16日公表)では、ハザードマップを所持している・確認したことがある人は8割を超えたとされています。つまり「見たことはある」人は多数派です。

ただし「見たことがある」ことと「自宅の浸水の深さや逃げる先を説明できる」ことは別物です。この記事の3ステップは、その差を埋めるための手順だと考えてください。

混同しやすい「避難場所」と「避難所」の違い

ハザードマップを開く前に、言葉の整理をしておくと迷いません。「指定緊急避難場所」と「指定避難所」は名前が似ていますが、役割がまったく異なります。

避難場所を地図で確認する家族のイラスト

出典: いらすとや

東日本大震災ではこの区別が曖昧だったことが被害拡大の一因となりました。そのため平成25年の災害対策基本法改正で、市町村長が両者を区別して指定し、住民に周知することが義務化されています(内閣府 平成27年版防災白書)。

項目 指定緊急避難場所 指定避難所
目的 津波・洪水等による危険が切迫した状況で、生命の安全を確保するために緊急に避難する 危険がなくなるまでの一定期間滞在する/家に戻れない人が一時的に滞在する
使う場面 危険が迫っている最中(逃げ込む) 災害の危険がなくなるまで(とどまる)
確認しておくこと 自宅から歩いて行ける場所と、その経路 滞在時に必要な持ち出し品と家族の集合方法

命を守る局面で向かうのは「指定緊急避難場所」です。混雑や道路の冠水で近づけない場合に備え、候補は最低でも2か所は把握しておくと安心です。

警戒レベルとハザードマップを確認するタイミング

避難情報は5段階の「警戒レベル」で伝えられます。ハザードマップを開くべきタイミングも、このレベルに対応させて覚えておくと迷いません。このうちレベル1はまだ気象情報の早期の段階で、ハザードマップの確認とは直接結びつかないため、本記事では実際に確認や避難行動に移るレベル2以降を表にまとめています。

警戒レベル 状況ととるべき行動
レベル2 大雨・洪水注意報等。ハザードマップで危険な区域・避難場所・避難経路・避難のタイミングを再確認する
レベル3 高齢者等は避難を開始する
レベル4 対象地域の全員が危険な場所から避難する
レベル5 すでに災害が発生・切迫。命を守る最善の行動をとる

出典は政府広報オンラインです。レベル2の段階でハザードマップを開けるのは、平時に一度でも見ておいた人だけ。だからこそ、防災週間の今が確認どきなのです。

自宅の危険度を確認する3ステップ【チェックリスト】

ここからが本題です。パソコンでもスマートフォンでも操作できます。各ステップの最後にチェック欄を置いたので、終わったものから消し込んでください。

スマートフォンの地図アプリで場所を確認する女性のイラスト

出典: いらすとや

ステップ1: 「重ねるハザードマップ」で自宅住所を検索する

国土交通省・国土地理院が運営するハザードマップポータルサイトは、全国のリスクを地図に重ねて見られる「重ねるハザードマップ」と、市区町村が公開する地図を探せる「わがまちハザードマップ」の2つで構成されています。

まず使うのは前者です。操作は大きく3つで、(1)トップページの検索欄に自宅住所を入力する、(2)地図面に移動すると災害種別ごとの想定リスクが表示される、(3)画面下部で文字による危険性・避難行動のポイントを読む、という流れです。

住所のほか、施設名や緯度経度でも検索できます。確認できるのは、洪水・内水氾濫(下水道や水路から水があふれること)・高潮・津波の浸水想定区域と浸水の深さ、土砂災害警戒区域等、地形分類(自宅周辺の土地の成り立ちがわかる情報)、自然災害伝承碑、指定緊急避難場所などです。

令和7年のリニューアルでは、地図の色だけでなく文字でもリスクと避難行動のポイントを示すユニバーサルデザイン化が行われました(国土交通省 報道発表)。色の濃淡が読み取りにくい人でも判断しやすくなっています。

なお画面の細かなボタン名やタブの位置は更新されることがあります(2026-08-29時点)。迷ったら国土地理院が配布する操作マニュアルを参照してください。

表示された数字が大きいほど、浸水する範囲や避難にかかる時間も大きくなると考えてください。仮に高い数値が出ても、その場で慌てる必要はありません。このあとのステップ2・3を順番に進めれば、避難のタイミングと避難先は必ず把握できます。むしろ数値が高かった家庭ほど、早めに確認しておく価値があります。

□ 自宅の浸水想定区域と浸水の深さを確認した

□ 自宅が土砂災害警戒区域等に入っているか確認した

ステップ2: 「わがまちハザードマップ」で自治体版を裏取りする

次に、同じポータルの「わがまちハザードマップ」から自分の市区町村のページへ進みます。自治体が公開しているPDFや地図には、全国版には載っていない地域固有の情報が含まれていることがあります。

洪水・土砂災害・津波・高潮など、種類ごとに別々の地図が用意されているケースも多く、避難所の一覧や避難のルールも自治体ごとに異なります。窓口で紙のハザードマップを配布している自治体もあります。

紙版を手に入れたら、非常持ち出し袋に一部入れておくと安心です。停電や通信障害でスマートフォンが使えない状況でも、避難先と経路を確認できます。

□ 自治体版のハザードマップを開いた(または紙で入手した)

ステップ3: 指定緊急避難場所と避難経路を家族で共有する

最後に逃げる先を決めます。指定緊急避難場所・指定避難所のデータは国土地理院が全国分をとりまとめて公開しており、地理院地図上で最寄りの場所と経路を確認できます。

このとき、地図上の距離だけで決めないことが大切です。経路にアンダーパスや川沿いの道、崖のそばが含まれていないかを、ステップ1で見た浸水想定区域と重ねて確かめてください。

そして必ず家族と共有します。「誰がどこに集まるか」「連絡がつかないときはどうするか」まで決めておくと、いざというときの迷いが減ります。

□ 指定緊急避難場所を2か所以上、経路つきで確認した

□ 家族と避難先・集合方法を共有した

補足: 地震の「揺れやすさ」も同じ日に確認する

水害だけでなく地震も気になる場合は、防災科学技術研究所のJ-SHIS 地震ハザードステーションを開きます。地図上で住所を指定すると、表層地盤の地盤増幅率(揺れやすさ)の分布や、今後30年以内の震度分布の確率などを閲覧できます。

同じ市内でも地盤によって揺れやすさは変わります。家具の固定を優先すべきかどうかの判断材料になるので、ハザードマップとあわせて見ておくと自宅の危険度を立体的に把握できます。

□ 自宅周辺の揺れやすさを確認した

「載っていない=安全」ではない|確認するときの注意点

3ステップを終えたあとに、必ず知っておいてほしい前提があります。ハザードマップは「起こりうる被害の想定」であって、被害がここまでで収まる保証ではありません。

第一に、重ねるハザードマップの浸水想定区域は、国や都道府県が「水位周知河川」「洪水予報河川」等(規模の大きい主要な河川のこと)として指定した河川が対象です。小規模な河川や下水道からあふれる内水氾濫については、掲載されていない浸水リスクが存在するという指摘もあります(ライフデザインのWEBメディア)。地図に色が付いていないことを「安全宣言」と読み替えないでください。

第二に、地図は更新されます。河川の整備や想定の見直しで区域が変わることがあるため、数年前に見た記憶で判断せず、公開元の最新版を確認するのが確実です。

第三に、判断に迷ったら自治体の防災担当窓口に相談するのが早道です。過去にその地域で起きた浸水や土砂災害の記録は、地図に載らない情報として職員が把握している場合があります。

家族で使える公的ツールとマイ・タイムライン

ここまで登場したツールを整理します。いずれも無料で、登録も不要です(2026-08-29時点)。

ツール 運営 わかること
重ねるハザードマップ 国土交通省・国土地理院 洪水・内水氾濫・高潮・津波の浸水想定、土砂災害警戒区域等、地形分類
わがまちハザードマップ 国土交通省・国土地理院 市区町村が公開する詳細なハザードマップ
地理院地図(避難場所データ) 国土地理院 指定緊急避難場所・指定避難所と経路
J-SHIS 防災科学技術研究所 表層地盤の揺れやすさ、今後30年以内の震度分布の確率
逃げキッド 国土交通省関東地方整備局 水害時の自分と家族の行動計画(マイ・タイムライン)

このうち、確認した危険度を行動に変えてくれるのが「マイ・タイムライン」です。水害発生時に自分がとるべき行動を時系列で整理する、いわば個人版の防災計画にあたります。

台風接近の3日前、1日前、半日前、河川氾濫の5〜3時間前といった段階ごとに、やることをあらかじめ決めておきます。国土交通省関東地方整備局は、オンラインで作成できる逃げキッドを提供しています。

「レベル3が出たらおばあちゃんと先に避難する」「その前に車を高い場所へ移す」といった具合に、自宅の危険度に合わせて書き込めば、当日に考える量を大きく減らせます。

まとめ

自宅の危険度を知る作業は、思っているより短時間で終わります。今日できる最初の一歩は、重ねるハザードマップを開いて自宅の住所を入力すること。それだけで、すぐに結果を確認できます。

そこから自治体版で裏取りし、指定緊急避難場所と経路を家族で共有するところまで進めば、警戒レベル2の段階で落ち着いて動ける状態がつくれます。地図に色が付いていなくても油断はせず、迷ったら自治体の窓口に確認してください。

防災週間は9月5日まで。週末に家族が集まるタイミングで、地図を開きながら「うちはどこへ逃げるか」を話してみてください。余裕があれば、そのままマイ・タイムラインを1枚書いておくと、次の台風シーズンの安心につながります。

確認が済んだら、非常持ち出し袋の中身と非常食の期限点検もあわせて済ませておきましょう。危険度の把握と備蓄の点検はセットで効いてきます。

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