【今は使われない用語】「等級据え置き事故」とノーカウント事故の違い|自動車保険を使うべきか判断する4つの手順
「等級据え置き事故」とは?結論から言うと今は使われていない呼称です
車をぶつけた、飛び石でガラスが割れた。修理費の見積もりを見ながら「保険を使うと等級が下がるらしいけど、据え置きで済む事故もあるんだよね?」と検索した方に、先に答えを出します。
「等級据え置き事故」は、現在の自動車保険では使われていない旧区分の呼称です。 かつては車両盗難・飛び石・落書き・台風被害などを「翌年の等級を現在と同一に据え置く」扱いとしていましたが、等級別料率制度の改定を経て、これらは現在「1等級ダウン事故」として整理されています。
実際、SBI損保は保険用語辞典で「等級すえおき事故のお取り扱いはしておりません」と明記しています(SBI損保 保険用語辞典、2026-09-07時点)。廃止された具体的な年月日について損害保険会社の公式ページで確認できる情報はなく、時期は断定できません。
そのうえで、保険を使うべきかの判断軸もシンプルです。あいおいニッセイ同和損保は公式FAQで「お支払いする保険金の額と将来的に増える保険料の額との見合いでお決めいただくことになります」と回答しています(あいおいニッセイ同和損保 公式FAQ、2026-09-07時点)。つまり、受け取る保険金と、その後数年で増える保険料の総額を比べるだけです。

出典: Pixabay
この記事でできるようになること(所要時間5〜10分)
この記事を最後まで読むと、3等級ダウン事故・1等級ダウン事故・ノーカウント事故の3分類の違いがわかります。そのうえで、自分の事故がどれに当たるかを判定できるようになります。
さらに、保険を使うべきかどうかを4つのステップで機械的に判断できます。保険証券と修理費の見積もりが手元にあれば、所要時間は5〜10分ほどです。
なお本記事の内容は2026-09-07時点で確認した各社の公開情報に基づいています。特約名称や料率は改定されるため、最終判断は必ず契約中の約款と保険会社への確認で行ってください。
前提知識・準備するもの
自分の等級と契約中の特約を確認する
まず保険証券またはマイページを開き、3つの数字と項目を控えてください。現在の等級、事故有係数適用期間(等級が同じでも事故歴の有無によって翌年以降の保険料の割引率が変わる仕組みのことです。詳しい計算方法はステップ2で説明します)の残年数、そして契約している特約の一覧です。
特に特約の一覧が重要です。後述するノーカウント事故に該当するかどうかは、どの補償を使うかで決まるためです。加えて、修理工場やディーラーの見積書(自己負担額の把握用)も用意しておきましょう。
準備する項目をチェックリストにすると次のとおりです。
| 確認する項目 | メモ欄 |
|---|---|
| 現在の等級 | |
| 事故有係数適用期間の残年数 | |
| 契約している特約の一覧 | |
| 修理費の見積額 |
用語整理表:3分類の違いを一覧で押さえる
ノンフリート等級制度では、事故は次の3種類に分類され、種類によって翌年の等級低下幅が変わります(チューリッヒ、ソニー損保 よくある質問、2026-09-07時点)。
| 分類 | 翌年の等級 | 事故有係数適用期間 | 代表的な例 |
|---|---|---|---|
| 3等級ダウン事故 | 3等級下がる | 3年加算 | 車同士の衝突、対人・対物賠償、電柱への衝突 |
| 1等級ダウン事故 | 1等級下がる | 1年加算 | 飛び石によるガラス破損、盗難、いたずら、台風・火災 |
| ノーカウント事故 | 変わらない | 加算なし | 人身傷害保険や弁護士費用等補償特約などの単独利用 |
| 等級据え置き事故(旧称) | ― | ― | 現在は使われていない区分。多くは1等級ダウン事故に相当 |
「等級据え置き事故」を探している方が本当に知りたい区分は、多くの場合この表の「1等級ダウン事故」か「ノーカウント事故」のどちらかです。
等級ダウン事故とノーカウント事故の違い【具体例つき】
3等級ダウン事故の具体例
3等級ダウン事故は、1等級ダウン事故とノーカウント事故に該当しない、ほとんどの事故が対象です。車同士の衝突で対人賠償・対物賠償・車両保険金が支払われるケース、通行人や自転車との接触、電柱や建物への衝突などが典型例にあたります(インズウェブ、2026-09-07時点)。
安心材料もあります。同一の事故で複数の補償を使っても、等級の低下は3等級までにとどまります(東京海上日動 公式FAQ)。対物賠償と車両保険を同時に使ったからといって6等級下がることはありません。
1等級ダウン事故の具体例
1等級ダウン事故は、契約者や運転者が注意していても防ぐことが極めて困難な、偶発的な被害が対象です。飛び石によるフロントガラスの破損、車両盗難、落書きなどのいたずら、台風・洪水といった自然災害、火災などが該当します(インズウェブ、ソニー損保 よくある質問、2026-09-07時点)。
かつて「等級据え置き事故」と呼ばれていた範囲は、おおむねこのグループに重なります。「等級は下がらないはず」と記憶している方ほど、現在は1等級下がる点を見落としがちなので注意してください。

出典: Pixabay
ノーカウント事故の具体例
ノーカウント事故は、保険金が支払われても等級が下がらない事故です。対人賠償・対物賠償・車両保険といった通常の事故対応補償を使わず、特定の補償だけを単独で使った場合に該当します。
SBI損保は次の13種の補償を対象として挙げています(SBI損保 保険用語辞典、2026-09-07時点)。代表的なものには次のような補償があります。
- 人身傷害保険:自分や同乗者のケガの治療費などを補償するもの/人身傷害車外危険補償特約/搭乗者傷害保険:搭乗者のケガに対する補償
- 無保険車傷害保険/車両無過失事故に関する特約
- 弁護士費用等補償特約:示談交渉や訴訟にかかる弁護士費用の補償/個人賠償責任危険補償特約:日常生活で他人にケガをさせた・物を壊した場合の賠償責任の補償/被害者救済費用等補償特約
- ファミリーバイク特約/自転車事故補償特約
- 車内外身の回り品補償特約/車両積載動産補償特約/レンタカー費用補償特約
補償の具体的な範囲は保険会社によって異なるため、詳細は契約中の約款で確認してください。
最重要の注意点は「併用」です。 これらを複数同時に使ってもノーカウント扱いは維持されますが、対物賠償や車両保険といった対象外の補償と併発した場合は、その事故全体が3等級ダウン事故として扱われます。対象特約の名称や範囲は保険会社ごとに異なる可能性があるため、必ず契約中の証券・約款で確認してください。
自動車保険を使うべきか判断する4つの手順
ステップ1:事故がどの分類に該当するか特定する
前章の表と具体例を使い、自分の事故が3分類のどれに当たるかを判定します。判断に迷う場合は、事故受付の連絡時に「この事故は何等級ダウンになりますか」と直接聞くのが最も確実です。
ステップ2:等級と「事故有係数適用期間」を確認する
事故有係数適用期間とは、等級が同じでも事故歴の有無で割引率が変わる仕組みです。3等級ダウン事故なら3年間、1等級ダウン事故なら1年間が適用され、無事故で1年更新するごとに1年ずつ短縮します(上限6年・下限0年)。
影響は小さくありません。三井住友海上の解説では、15等級の場合の割引率が無事故時53%に対し事故有時は28%と示されています(三井住友海上、2026-09-07時点)。ただし料率表は保険会社ごとに異なるため、この数値はあくまで一例です。
ステップ3:保険を使った場合の保険料上昇「総額」を試算する
翌年1年分だけを見て判断すると誤ります。事故有係数適用期間の年数ぶん、差額を合算した総額で比較してください。
インズウェブの試算例では、14等級・年間保険料約70,000円の契約者が3等級ダウン事故を起こすと、翌年度は116,670円となり、無事故継続時の68,540円との差は48,130円です。さらに2年目113,750円、3年目110,830円と割高な料率が続くとされています(インズウェブ、2026-09-07時点)。これは同社の記事内シミュレーションであり、年齢条件・車種・保険会社・元の等級で金額は大きく変わる目安として扱ってください。

出典: Pixabay
ステップ4:保険金額とステップ3の総額を比較して決める
最後に、受け取れる保険金(=保険を使わない場合の自己負担額)と、ステップ3で出した上昇総額を並べます。上昇総額のほうが大きければ、自腹で修理したほうが有利という結論になります。
オリコンの記事では、修理費10万円のケースで車両保険を使うと3等級ダウンし、5年間の保険料上昇の合計が108,000円になるという考え方の例が示されています(オリコン生活、2026-09-07時点)。自己負担額と同等かそれ以上になるなら、使わない選択も合理的です。
なお、この比較は自分で計算しなくても構いません。損保ジャパンは公式FAQで「保険金を受け取られる場合と保険金を受け取られない場合別に、次契約以降の保険料を比較し、保険をお使いになるかどうか、お客さまにお選びいただくことができます」と案内しています(損保ジャパン 公式FAQ、2026-09-07時点)。
判断に迷ったときのよくある勘違い
「ノーカウント事故だから安心」は早合点です。 人身傷害保険を使う事故でも、同時に相手の車へ対物賠償を支払えば、その事故は3等級ダウン事故として扱われます。使う補償の組み合わせ全体で判定される点を忘れないでください。
「等級が3下がる・1下がる」という数字の大きさと、保険料の上昇幅が同じだと誤解しやすい点にも注意してください。ステップ2で見たとおり、同じ15等級でも無事故時の割引率53%に対し事故有時は28%というように、割引率そのものが変わります(三井住友海上、2026-09-07時点)。等級の下落幅がそのまま保険料の上昇幅に比例するわけではなく、事故有係数適用期間が続く年数によって総額が変わる点を忘れないでください。
なお、「等級据え置き」という言葉を検索や古い解説記事で見かけても、現在の契約に適用されない可能性が高いことは前述のとおりです。用語ではなく、自分の証券と約款の記載を基準に判断しましょう。
保険を使った後に見落としがちな注意点
事故有係数適用期間は積み上がります。 期間中に別の事故を起こせば年数が加算され、上限は6年です。短期間に複数回保険を使うと、割高な料率が長く続く点は見落とされがちです。
保険会社へシミュレーションを依頼する前に、事故の日時・状況・相手の有無といった要点をメモにまとめておくと、電話や窓口でのやり取りがスムーズに進みます。

出典: Pixabay
まとめ
「等級据え置き事故」は現在使われていない旧称で、その多くは1等級ダウン事故に置き換わっています。まずは自分の事故が3等級ダウン・1等級ダウン・ノーカウントのどれに当たるかを特定することが出発点です。
そして判断は、受け取る保険金と事故有係数適用期間ぶんの保険料上昇総額の比較で決まります。翌年1年分だけを見て決めないことが、損をしないための最大のポイントです。
4つの手順を早見表にまとめると、次のとおりです。
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1 | 事故がどの分類(3等級ダウン・1等級ダウン・ノーカウント)に該当するか特定する |
| 2 | 現在の等級と事故有係数適用期間を確認する |
| 3 | 保険を使った場合の保険料上昇「総額」を試算する |
| 4 | 受け取れる保険金額と上昇総額を比較して判断する |
今日やることは1つだけです。契約中の保険会社に連絡し、「この事故で保険を使った場合と使わなかった場合の、次年度以降の保険料シミュレーション」を依頼してください。損保ジャパンやあいおいニッセイ同和損保が公式FAQで案内しているとおり、比較したうえで契約者が選べる仕組みになっています。保険証券を手元に用意して、まずは事故受付の窓口へ問い合わせるところから始めましょう。
