【2026年10月】KB5126646でExchange Serverが不安定に|MapiExceptionMdbOffline(ec=1142)の原因とEpmapSavedContextCapの対処法
2026年10月13日公開のKB5126646などを適用してから、オンプレミスのExchange ServerでOWAにサインインできない。送ったメールがOutboxに残ったまま届かない。
同じ症状の報告は複数の技術メディアで相次ぎ、Microsoftも10月16日に既知の問題として公式に認め、回避策を公開しました。この記事では原因と手順、対象バージョンを順に整理します。
結論
結論から書きます。KB5126646などWindows Server側の2026年10月更新を適用すると、Exchange Serverが不安定になります。原因はRPCエンドポイントマッパーの同時処理数に既定の上限(512件)が設けられたことです。
高負荷のExchangeではこの上限が足りず、接続が失敗します。
公式の回避策は、レジストリ値 EpmapSavedContextCap を65536に設定してサーバーを再起動することです。更新プログラムはアンインストールせず、適用したまま対処します。
KB5126646適用後のExchangeで出る症状
Microsoft Learnの既知の問題ページに記載されている症状は次のとおりです。自分の環境と一致するか確認してください。
- Outlook on the web(OWA)にサインインできない
- Outlookから送信したメールがOutboxに残り、配信されない
- メールキューが増え続ける
- メールボックス複製(mailbox replication)時にアクセスできない
- アプリケーションログにEvent ID 1006が記録される
Event ID 1006には、次のエラー文字列が出ます。検索で見つけた方は、手元のログと一字一句同じか見比べてください。
MapiExceptionMdbOffline: Unable to make connection to the server. (hr=0x80004005, ec=1142)
補足(二次報道のみ・Microsoft公式では未確認): DAG(Database Availability Group、複数サーバーでデータベースを冗長化する仕組み)のメンバーがクォーラムを維持できなくなる症状も、Techzineなど複数の報道で挙げられています。
Microsoft公式ページの本文(2026-10-23時点)にこの記載は見当たりませんでした。DAG構成を運用している場合は、念のため把握しておいてください。
Exchange自体の更新が原因ではない
MicrosoftはMicrosoft Learnの既知の問題ページで「Installing the October 2026 Exchange server security updates isn’t required for these issues to occur.」と明記しています。
つまりExchangeのセキュリティ更新を入れていなくても起こります。
切り分けの対象はExchangeではなく、Windows Server側の更新プログラムです。Exchangeの更新を戻しても解決しない点に注意してください。
ここからは、原因の仕組み、対象バージョン、具体的な回避手順、それでも直らない場合の対応を順に解説します。

出典: Pixabay
原因|RPCエンドポイントマッパーの上限が512件に制限された
RPCエンドポイントマッパー(Endpoint Mapper)は、クライアントが接続先のRPCサービスを探すときに問い合わせる仕組みです。Exchangeは内部の通信でこれを多用します。
MicrosoftはMicrosoft Learnの既知の問題ページで、原因を次のように説明しています。
The October 2026 update introduced a default limit on the amount of memory used by Endpoint Mapper when handling Endpoint Lookup calls. For workloads such as Exchange Server, the default limit of 512 simultaneous Endpoint Lookup calls might not be sufficient under heavy load.
出典: Microsoft Learn「Windows Server 2025 known issues and notifications」
要約すると、10月の更新でEndpoint Lookup呼び出しを同時に512件までしか扱えなくなりました。負荷の高いExchangeでは上限に達し、RPC接続が失敗します。その結果、OWAのサインインやメール送信が止まります。
| 段階 | 起きていること |
|---|---|
| 1. 更新の適用 | 2026-10-13公開のWindows Server更新を適用 |
| 2. 上限の設定 | Endpoint Lookupの同時呼び出しが既定512件に制限される |
| 3. 高負荷 | Exchangeの処理が増え、上限に達する |
| 4. 接続失敗 | RPC接続が失敗し、ec=1142のエラーが出る |
| 5. 症状 | OWAサインイン失敗、Outbox滞留、メールキュー増加 |
再起動で一時的に直っても再発しうる
Techzineの報道では「Not all Exchange servers will be impacted by installation of those updates equally」とされ、影響の重さや早さはサーバーの負荷によって変わります。
まったく問題が出ないサーバーもあるとされています(Techzine)。どの程度のメールボックス数や同時接続数から症状が出やすいかという具体的な閾値は、公式情報・報道のいずれにも示されていません。
再起動すると一時的に回復したように見えても、負荷が高まるとまた起きることがあります。「再起動で直った」と判断せず、回避策を入れておくのが安全です。
対象バージョン一覧
原因となる更新はWindows Serverのバージョンごとに分かれており、いずれも2026-10-13に公開されています。KB番号を取り違えやすいので、表で確認してください。
| Windows Server | 対象の更新プログラム | 一次情報での確認状況(2026-10-23時点) |
|---|---|---|
| Windows Server 2025 | KB5126646 | Microsoft公式ページで確認 |
| Windows Server 2022 | KB5126655 | 報道で確認 |
| Windows Server 2019 | KB5126651 | 報道で確認 |
| Windows Server 2016 | KB5126868 | 報道で確認 |
影響を受けるExchangeは、Exchange Server 2016・2019・Subscription Edition(SE)と報じられています(Techzine)。
Windows Server 2022・2019・2016のKB番号は、Techzineなど複数の独立した報道で一致しており、取り違えるリスクは低いと考えられます。一方、各バージョンのrelease healthページ本文を筆者が一次情報で直接確認できたのはWindows Server 2025版のみです。お使いのバージョンのページもあわせて確認してください。
解決手順|レジストリ値EpmapSavedContextCapを変更する【公式回避策】

出典: Pixabay
回避策は、Microsoft Exchangeチームのブログ記事「Exchange servers may become unstable after installation of October 2026 Windows updates」で案内されています。
KB5126646のサポートページからもこの記事が参照されています。
| 項目 | 設定内容 |
|---|---|
| キー | HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Rpc |
| 値の名前 | EpmapSavedContextCap |
| 種類 | REG_DWORD |
| データ | 65536 |
| 反映 | サーバーの再起動が必要 |
手順1. 管理者権限のコマンドプロンプトを開く
対象のExchangeサーバーで、コマンドプロンプトを「管理者として実行」で起動します。通常の権限ではHKLM配下に書き込めません。
手順2. レジストリコマンドを実行する
次のコマンドを実行します。TechRepublicなど複数の技術メディアが、同じコマンドを引用しています。
reg add "HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Rpc" /v EpmapSavedContextCap /t REG_DWORD /d 65536 /f
このレジストリパス・値名・設定値は、Microsoft Learnの原因説明とTechRepublicなど独立した複数の技術メディアの報道が一致して引用している内容です。筆者はExchangeチームのブログ本文を直接取得できなかったため、可能であれば実行前に公式ブログの原文もあわせてご確認ください。DAG構成の場合は、各メンバーサーバーで同じ設定が必要かも確認しましょう。
手順3. サーバーを再起動する
設定後はサーバーを再起動します。再起動するまで新しい値は反映されません。業務への影響を抑えるため、メンテナンス時間帯に計画して実施してください。
注意点|更新プログラムはアンインストールしない
eSecurityPlanetによると、Microsoftは更新を削除せず、適用したままにすることを推奨しています。セキュリティ修正を外すより、レジストリで上限を引き上げるのが公式の方針です。
この設定はEndpoint Mapperが使えるメモリ量を増やすものです。公式にはメモリ増加量の具体的な目安は示されていません。メモリ使用量が増える点を踏まえたうえで適用してください。
また、再起動直後ではなく、実際にメール負荷がかかる時間帯にOWAや送信が安定しているか確認しましょう。
それでも解決しない場合の対処法
回避策を入れても症状が再発する場合は、次の順で対応します。
| 状況 | 取るべき対応 |
|---|---|
| 65536に設定後も再発する | サーバー負荷に応じて値をさらに引き上げる(TechRepublicの報道でMicrosoftが案内) |
| 値を上げても改善しない | Microsoft Support for business経由で追加の緩和策を相談する(KB5126646で案内) |
| 最新状況を知りたい | Windows release healthページのステータスを確認する |
値をどこまで上げるかの目安は、公式情報で具体的な数値が示されていません。変更前の値を記録してから少しずつ調整し、判断に迷う場合はサポートに相談するのが確実です。
2026-10-23時点でステータスは「Mitigated(緩和済み)」で、最終更新は2026-10-16です。
MicrosoftはWindows release healthページで「We are investigating this issue」としており、恒久的な修正はまだ出ていません。今後の更新で状況が変わる可能性があります。
まとめ
KB5126646などの2026年10月Windows Server更新後にExchangeが不安定になる原因は、RPCエンドポイントマッパーの上限512件です。
MapiExceptionMdbOffline(ec=1142)とEvent ID 1006が目印になります。
今日やることは3つです。
- サーバーのOSバージョンと適用済みKB番号を確認し、記録する
EpmapSavedContextCapを65536に設定し、再起動する- 実運用の負荷がかかる時間帯に、OWAとメール送信の動作を確認する
この設定は暫定の回避策です。恒久修正が出たときに見落とさないよう、Windows release healthページを定期的に確認してください。
なお本件とは別ですが、Exchange Server 2016/2019の拡張セキュリティ更新(ESU)Period 2は2026-10-31で終了し、これ以上の延長はないとExchangeチームが公式ブログで明言しています。
あわせて今後の運用計画を確認しておきましょう。
