生命保険の契約者貸付とは|保険を解約せず解約返戻金の範囲内でお金を借りる申込手順・必要書類・金利・返済方法【返済しないと契約失効のおそれも】
結論
生命保険の契約者貸付とは、契約中の保険を解約しないまま、解約返戻金の一定範囲内で保険会社からお金を借りられる制度です。公益財団法人生命保険文化センターは「契約している生命保険の解約返戻金の一定範囲内で、貸付けを受けることができる制度」と説明しています(生命保険文化センター)。まとまった資金が必要になっても、保障を手放さずに済むのが最大の利点です。
急いでいる人向けに要点を3つにまとめると、契約者貸付の性格は次のようになります。
- 保障はそのまま続く: 貸付を受けている間も契約は有効で、死亡保険金や入院給付金などの保障は通常どおり受けられます
- 通常のローンのような信用審査は行われないのが一般的: 自分の積立である解約返戻金を担保にした貸付のため、信用情報機関に借入の記録が登録されないと説明されています
- 申込ルートはWeb・電話・窓口の3つ: 受付時間帯によっては当日中の振込に対応する会社もあり、早ければ申込当日から翌営業日に着金します

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「解約して解約返戻金を受け取る」場合との違い
同じ解約返戻金を元手にしていても、借りるのか受け取るのかで結果はまったく違います。
| 比較項目 | 契約者貸付 | 解約して解約返戻金を受け取る |
|---|---|---|
| 保障 | 継続する | 消滅する |
| 手にできる額 | 解約返戻金の一定範囲内(目安は7〜9割程度) | 解約返戻金の全額 |
| コスト | 貸付利息が発生する | 利息は発生しない |
| あとで元に戻せるか | 返済すれば元の状態に戻る | 同条件での再加入は難しい |
| 放置した場合 | 元利金が解約返戻金を超えると失効するおそれ | 契約自体が残らない |
保険をやめる前提で現金化したいなら解約返戻金の請求手順を確認してください。一方で「保障は続けたいが、今だけ現金が必要」という状況なら、契約者貸付のほうが目的に合っています。
契約者貸付を申し込む前に確認すること
契約者貸付は、どの生命保険でも使えるわけではありません。利用できるのは解約返戻金が設定されている保険、つまり終身保険や養老保険など貯蓄性のあるタイプに限られます。掛け捨て型の定期保険のように解約返戻金がほとんど無い商品では、そもそも利用できないか、借りられる額がごくわずかになります(かんぽ生命)。
申込ができるのは原則として契約者本人です。家族が代わりに手続きする場合は、委任状と代理人自身の本人確認書類が別途必要になります。「契約者は父、実際に動くのは子」というケースでは、ここでつまずきやすいので先に確認しておきましょう。
準備するものは会社によって細部が違いますが、大手各社の案内を横断すると共通して求められるのは次の3点です。
| 準備するもの | 用途・確認されるポイント |
|---|---|
| 保険証券 | 証券番号と契約内容の確認。手元に無い場合は事前に再発行を相談する |
| 契約者本人の本人確認書類 | 運転免許証やマイナンバーカードなど。代理人手続きでは代理人の分も必要 |
| 振込先の預貯金通帳・キャッシュカード | 貸付金の入金口座の指定。契約者本人名義が基本 |
このほか、初めて契約者貸付を利用するときだけ「契約者貸付申込書」の提出を求める会社が多くなっています。2回目以降はWebや電話だけで完結することもあるため、初回の手続きに一番時間がかかると考えておくと計画を立てやすくなります。
借りられる上限額の考え方
借りられる額の基準は「これまでに払い込んだ保険料の総額」ではなく「今解約したら戻ってくる解約返戻金」です。ここを取り違えると、想定の半分も借りられずに資金計画が崩れます。加入から間もない契約ほど解約返戻金が積み上がっておらず、上限額も小さくなります。
目安としては解約返戻金の7〜9割程度とされ、FP監修メディアのライフィは「生命保険会社や生命保険の種類によって異なりますが、80%〜90%程度になるのが一般的」と説明しています(ライフィ)。同様の7〜9割程度という水準は、JCBやまるほけんといった他の保険関連情報サイトでも同じ範囲で紹介されており、一社だけの見解ではありません。ただしこれは全社共通の固定値ではありません。保険会社・保険種類・商品・契約年数によって割合は変わります。
具体的な金額でイメージすると、たとえば解約返戻金が50万円の契約であれば、借りられる目安はおおむね35万〜45万円程度(7〜9割で計算した場合)になります。あくまで7〜9割という範囲での単純計算例であり、実際の割合は保険会社・保険種類によって異なります。

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正確な金額は、契約者専用サイトのマイページやコールセンターで自分の契約について照会するのが確実です。多くの会社では申込の過程で貸付可能額が提示されるため、その数字を見てから借りるかどうかを最終判断しても遅くありません。
契約者貸付の申込手順【ステップバイステップ】
大手各社の公式手続きページを見比べると、会社名が違っても流れはほぼ同じです。次の5ステップで進みます。
- 保険証券で契約内容と証券番号を確認する: 解約返戻金のある商品かどうかもここでチェックします
- 申込方法を選ぶ: Web(契約者専用マイページ)、電話(コールセンター)、窓口の3ルートが一般的です
- 必要書類をそろえて申し込む: 初回のみ契約者貸付申込書が必要な会社が多く、郵送のやり取りが発生することがあります
- 貸付可能額と適用利率の案内を確認する: 提示された金額・利率に納得したうえで申込を確定します
- 指定口座への振込を確認する: 受付時間帯によって当日中か翌営業日かが変わります

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申込ルートごとの受付条件(かんぽ生命・第一生命の例)
具体的な受付条件は会社ごとに公表されています。急いでいるときはWeb受付の締切時刻が分かれ目になります。
| 会社・ルート | 受付の条件 | 入金の目安 |
|---|---|---|
| かんぽ生命 マイページ | 平日9:00〜13:59に受付 | 当日中に振込 |
| かんぽ生命 マイページ | 14:00〜23:29に受付 | 翌営業日中に振込 |
| かんぽ生命 郵便局窓口 | 簡易郵便局を除く郵便局で受付 | 最短で翌営業日に指定口座へ振込 |
| 第一生命 クイックWebサービス | 月〜金曜8:00〜21:00、土日祝9:00〜20:00 | 会社の案内に従って処理される |
| 第一生命 コンタクトセンター・ほけんショップ | 電話または店舗で受付 | 会社の案内に従って処理される |
出典はかんぽ生命の貸付ページと第一生命のご契約者向けサービス案内です(2026-09-17時点)。所要日数は受付時間や事務処理の状況によって変わるため、「必ず即日」と考えず余裕を持って申し込むのが安全です。
金利・利息の仕組み
契約者貸付の利息は複利で計算され、適用される利率は契約時期(契約時の予定利率=保険会社が契約時に約束する運用利回りの目安)に連動して決まります。つまり同じ保険会社でも、契約した時期が違えば利率も違います。「契約者貸付の金利は年◯%」と一律に語ることはできない、という点をまず押さえてください。

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公表例として、日本生命は契約時期ごとの契約貸付利率を次のように案内しています(同社サイトに2025年1月2日時点の情報として掲載、利率は年2回見直される旨も案内)。
| 契約時期 | 契約貸付利率 |
|---|---|
| 2022年4月2日〜2025年1月1日の契約 | 年2.00% |
| 2025年1月2日以降の契約 | 年2.40% |
これはあくまで一例です(日本生命)。他社や他の契約時期に当てはまる数字ではありませんし、掲載時点以降に見直されている可能性もあります。自分の契約に適用される利率は、必ず契約者専用ページかコールセンターで確認してください。
一般に契約者貸付は「低金利」と紹介されます。これは自分の解約返戻金という担保があるためで、信用だけを頼りに借りるカードローン等と比べれば負担が軽い傾向にある、という意味です。とはいえ複利で積み上がる利息であることに変わりはなく、長期間放置すれば元利金は着実に膨らみます。試しに、先ほどの日本生命の一例(年2.00%)を使って単純計算すると、50万円を1年間借りたままにした場合の利息はおおむね1万円程度です。この金額自体は契約時期や保険会社によって変わりますが、「借りている期間が長引くほど、複利で利息がじわじわ増えていく」という感覚はイメージしやすくなるはずです。
返済方法(いつ・どうやって返すか)
契約者貸付は、毎月の返済額や返済期限が固定された分割払いローンとは性格が異なります。第一生命は「いつでも貸付元利金の全部または一部を返済することができる」と案内しており、まとまった収入があったタイミングで一気に返す、余裕のある月だけ一部返すといった使い方ができます(第一生命)。

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自由に返せるということは、裏を返せば誰も返済を催促してくれないということでもあります。返済の締切が自分の中にしか無いので、借りた時点で「いつまでにいくら返すか」を決めておくことをおすすめします。
元金の返済が難しい場合の逃げ道も用意されています。かんぽ生命では、利息だけを返済して同額の新規貸付を受け、貸付期間を更新する方法が案内されています(かんぽ生命)。元金は減りませんが、次に説明する不利益は先送りできます。
返済しないとどうなるか(失効までの流れ)
「返済期限が無いなら借りっぱなしでもいいのでは」と考えるのは危険です。返さないまま時間が経つと、不利益が段階的に積み上がっていきます。なお、ここで説明する「1年以内に返済がないと金利が上がる」という仕組みは、前章の「契約時期によって決まる利率」とは別枠のルールです。契約時に決まった利率をベースにしつつ、そこに「一定期間返済がなければ上乗せされる」という条件が重なる、とイメージすると流れがつながります。かんぽ生命の案内をもとに時系列で整理すると次のようになります。
| 経過 | 起きること |
|---|---|
| 貸付期間は1年単位で設定 | 1年以内に返済がないと、それ以降の適用金利が当初より高くなる |
| さらに返済がないまま1年が経過 | 保険金額または年金額が減額される場合があり、その減額幅は貸付金と利息の合計より大きくなる |
| 元利金の合計が解約返戻金を超える | 保険会社から通知が届き、指定期日までに入金がなければ契約が失効する |
最後の「失効」が最も重い結果です。保障が消えるうえに、同じ条件で入り直せるとは限りません。健康状態が変わっていれば再加入自体が難しくなります。
なお、返済しないまま満期や死亡保険金の支払事由が発生した場合は、保険金から貸付元利金が差し引かれて精算されます(生命保険文化センター)。借りっぱなしでも即座に保障がゼロになるわけではありませんが、遺族が受け取る金額が想定より目減りするということです。
よくある失敗と対処法
実際の相談で多いつまずきどころと、その考え方を整理します。

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- 貸付可能額が想定よりずっと少ない: 基準は払込保険料の総額ではなく解約返戻金です。加入から日が浅い契約では上限も小さくなります。不足分は別の手段と組み合わせて考えましょう
- 掛け捨ての保険で「利用できない」と言われた: 解約返戻金が無い、または極めて少ない商品のためです。制度の仕組み上どうにもならないので、別の契約で解約返戻金があるものが無いか確認します
- 返済を忘れて通知が届いた: 放置が最も不利です。速やかに保険会社へ連絡し、一部返済や利息のみの返済で貸付期間を更新できないかを確認してください
- 税務上の扱いが気になる: 前章で触れたとおり、返済しないまま満期・死亡保険金の支払事由が発生すると、保険金から貸付元利金が差し引かれて精算されます。相続税や所得税の計算がこの「差し引き後の金額」をどう扱うかは、契約内容や家族構成によって判断が分かれる部分です。断定的な自己判断は避け、税理士や保険会社に個別に確認するのが確実です
まとめ
契約者貸付は、「今すぐ資金が必要だが保険は解約したくない」という場面のための制度です。保障を続けたまま、解約返戻金の一定範囲内(目安7〜9割程度)でお金を借りられ、通常のローンのような信用審査は行われないのが一般的とされています。
一方で、利息は複利で積み上がり、返済しないまま時間が経てば適用金利の上昇や保険金額の減額、最終的には契約の失効につながります。自由返済型だからこそ、借りる時点で返済の目標時期を決めておくことが欠かせません。
次にやることは1つです。契約している保険会社の契約者専用ページかコールセンターで、自分の契約の貸付可能額と適用利率を照会してください。金額と利率が分かって初めて、借りるべきか、それとも解約して解約返戻金を受け取るべきかを比べられます。本記事の数値・受付条件は2026-09-17時点で確認した各社の公開情報にもとづくものなので、申込前に必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
