車中泊避難でエコノミークラス症候群を防ぐ座席配置と対策5ステップ【今日からできるチェックリスト】
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車中泊避難でエコノミークラス症候群を防ぐ座席配置と対策5ステップ【今日からできるチェックリスト】

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大きな地震のあと、「避難所は人が多くて不安。車の中で過ごそうか」——そう考えたとき、その選択にエコノミークラス症候群という見えにくい危険があることをご存知でしょうか。

先に結論をお伝えします。予防の柱は「脚を伸ばせる座席配置」「こまめに体を動かす」「水分をとる」の3つです。この記事では、車種別の寝床の作り方と、受診の目安になる症状まで順番に整理します。

エコノミークラス症候群(医学的には静脈血栓塞栓症)は、脚の静脈にできた血のかたまり(血栓)が肺の血管に詰まる病気です。正しく備えることでリスクを減らせるとされているので、落ち着いて読み進めてください。

車中泊避難でエコノミークラス症候群が起こりやすい理由

発症の仕組みは「動かない脚」と「水分不足」

狭い車内で座ったまま過ごすと、脚の血流が滞ります。脚を約4時間動かさないと静脈に血栓ができやすくなるとされています(ウェザーニュース)。

その状態で立ち上がると、血栓が血流に乗って肺の血管に詰まることがあります。これが肺血栓塞栓症です。避難中はトイレを気にして水分を控えがちで、血液が濃くなることもリスクを重ねます。

過去の震災が示すリスク

災害 確認されている事実
2004年 新潟県中越地震 圧死の死者16人に対し震災関連死は52人。その主因は静脈血栓塞栓症とされた(熊日電子版)
2016年 熊本地震 車中泊避難中の51歳女性がエコノミークラス症候群で死亡。発症の疑いは20人以上報告された(データ・マックス)
2016年 熊本地震 熊本県の調査では避難者2,297人のうち1,568人、約7割が車中泊を経験(グーネットマガジン)
2026年 令和8年熊本地震 7月28日にM7.1(暫定値)、最大震度7。自宅や車内で避難生活を送る人が多く、日本赤十字社が車中泊の注意点を発信した(日本赤十字社)

令和8年熊本地震では、2026年8月13日午前8時時点で熊本県内の死者は39人、うち災害関連死の疑いを含む関連死が20人と発表されています(福井県資料(熊本県災害対策本部発表の転載))。

なお、このうちエコノミークラス症候群によるものが何人かは、公表資料で死因別の内訳までは示されていないため、本記事の調査では確認できていません。最新の状況は熊本県災害対策本部の発表(福井県資料に転載)でご確認ください。

車の広さでリスクが変わる

2004年の新潟県中越地震のあとに新潟大学が行った調査では、普通車・軽自動車で寝た人は、避難所の人より慢性化した血栓が約1.5倍多く見つかりました(熊日電子版)。

一方、車内が広いワゴン車で寝た人は、避難所の人の約4割にとどまりました。つまり「脚を伸ばせるかどうか」がリスクを大きく左右します。

ただし避難所でも血栓は見つかっており、窮屈な姿勢が続けば場所を問わず注意が必要です。

車中泊でエコノミークラス症候群が起こる仕組みと危険な症状の図解

車種・人数別|安全な座席配置と寝床の作り方

仙台市は「脚を伸ばした状態で寝ることができるか確認しましょう」と呼びかけています(仙台市公式サイト)。車種ごとの目安を表にまとめました(くるまのニュースの解説をもとに整理)。

車種 寝床の作り方 就寝人数の目安
セダン・軽自動車 運転席・助手席の背もたれを倒し、足元に荷物や段ボールで高さを作る 大人2人まで
ミニバン・ワンボックス・SUV 後席を倒し、荷室を寝床にする フルフラットでも大人3人が限界

就寝できる人数は乗車定員より少ない点に注意してください。家族の人数が多い場合は、車を分ける、避難所と組み合わせるなどを考えておくと安心です。

車種・人数別|安全な座席配置と寝床の作り方の図解

セダン・軽自動車の場合

背もたれを倒しても、座席と足元の段差で膝が曲がりやすいのが弱点です。足元に荷物や段ボールを詰めて座面と高さをそろえ、脚をまっすぐ伸ばせる形に近づけます。

ミニバン・ワンボックス・SUVの場合

後席を倒すと横になれる面積を確保しやすくなります。座席の凹凸はマットや毛布で埋め、体が斜めにならないようにすると脚を伸ばしやすくなります。

避けたい座り方

リクライニングを倒さずに座ったまま眠る、膝を抱えて丸くなる、といった姿勢を長時間続けるのは避けましょう。膝や股関節が深く曲がった状態は、脚の血流を妨げる原因になります。

今日からできる予防策5ステップ【チェックリスト】

厚生労働省、仙台市、千葉市の予防策を5つのステップにまとめました。

  • ステップ1: 車外に出て歩く。 日中は車の外に出て歩くなど、適度に体を動かします。脚を約4時間動かさないとリスクが上がるとされるため、それより短い間隔を意識しましょう
  • ステップ2: こまめに水分をとる。 利尿作用のあるアルコールは控えます。千葉市はできれば禁煙することも勧めています
  • ステップ3: 座ったままでも運動する。 かかとの上げ下ろしやふくらはぎのマッサージ、ときどきの軽い体操やストレッチが有効です
  • ステップ4: 着圧ソックスを使う。 仙台市も予防策として着圧ソックスの使用を挙げています
  • ステップ5: 服装と寝姿勢を整える。 ゆったりした服を着てベルトをきつく締めず、眠るときは足を上げます

専門家がすすめる簡単な運動

日本赤十字北海道看護大学の根本昌宏教授は、「座ったままつま先を引き寄せて数秒保つ」運動や、「足を伸ばして体重をかける」運動を対策として挙げています(グーネットマガジン)。

着圧ソックスと医療用弾性ストッキングの違い

新潟大学の榛沢和彦医師は、2016年の熊本地震の際に着圧ソックスの着用を呼びかけました。

市販の着圧ソックスは医療機器ではなく、医療用の弾性ストッキングは「一般医療機器」に分類されます。一般医療機器は医療機器として扱われるため、市販品とは圧迫の効果や適応する症状の管理のされ方が異なります。

どちらを選ぶべきか迷う場合や、心不全の方・血栓症の治療中の方など持病がある場合は、自己判断で使わず医師に相談してください。

市販の着圧ソックスは、楽天市場で2,000円前後の出品例があります(2026-10-12時点。価格は変動します)。

危険な症状のチェックリストと受診の目安

予防していても、体調の変化には早めに気づくことが大切です。次の症状がないか、家族同士で声をかけ合いましょう(日本循環器学会関連資料、メディカルノートをもとに整理)。

部位 注意したい症状 考えられる状態
脚 片側だけの急な腫れ・むくみ、赤み、痛み 深部静脈血栓症(脚の奥の静脈に血栓ができた状態)
胸・全身 急な息苦しさ、胸の痛み、冷や汗、吐き気 肺血栓塞栓症の疑い
脈・意識 動悸、脈が速い(毎分100回以上)、気が遠くなる、一瞬気を失う 肺血栓塞栓症の疑い

脚の症状は早期受診のサインとされています。胸の痛みや急な息苦しさ、失神がある場合はためらわず119番へ救急要請をしてください。避難所の救護班や巡回の医療チームに相談するのもひとつの方法です。

なお、この記事は一般的な予防知識の整理を目的としたものであり、個々の症状の診断や治療方針の判断に代わるものではありません。体調に不安がある場合は自己判断を避け、医師や医療機関、救護班に相談してください。

公的機関・学会の相談窓口と情報源の活用法

いざという時に迷わないよう、信頼できる情報源を事前に確認しておきましょう。

情報源 確認できる内容
厚生労働省「エコノミークラス症候群の予防のために」 予防のための基本的な行動
日本静脈学会「災害時エコノミークラス症候群」 弾性ストッキングの着用指導、ハイリスク者への下肢静脈エコー検診、避難所環境整備の取り組み
仙台市「車中泊避難について」 車中泊避難の予防策と事前確認のポイント

車中泊でも「避難者」として届け出る

車中泊をしていると、支援物資や安否確認の情報が届きにくくなりがちです。柏市のように、車中泊避難者に登録を案内している自治体もあります。

登録方法は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村の案内を確認しておくと安心です。

エコノミークラス症候群以外のリスクにも注意

車中泊避難では、一酸化炭素中毒や熱中症、低体温症にも注意が必要です。この記事では詳しく扱いませんが、季節や車の状態に応じた対策もあわせて確認しておきましょう。

まとめ

ウェザーニュースは「車中泊は行わないのがベスト」としたうえで、やむを得ず車内にとどまる場合は滞在時間をできるだけ短くするよう助言しています(ウェザーニュース)。

可能であれば避難所など安全な場所を優先し、車中泊が数日以上続く場合は特に注意しましょう。車中泊を選んだときは、次の3点を意識してください。

  • 脚を伸ばせる座席配置にする
  • 車外を歩き、座ったままでも足を動かす
  • 水分をこまめにとり、アルコールは控える

今日できる準備として、まずは着圧ソックスを1足、防災リュックや車のトランクに入れておくことから始めてみませんか。

そして一度、家族と一緒にこの記事のチェックリストと危険な症状の表を確認しておきましょう。それだけで、いざという時の安心感が大きく変わります。

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