在宅避難と避難所、どちらを選ぶべきか|マンション・戸建て別の判断基準3つと、切り替えるべき5つの危険信号【保存版】
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在宅避難と避難所、結論から言うと判断基準はこの3つ
地震や大雨のニュースを見るたびに「うちは避難所へ行くべきなのか、それとも家にいていいのか」と迷う方は多いはずです。結論から言うと、この判断は次の3つを順番に確認するだけで整理できます。慌てて決めるものではなく、今日のうちに答えを出しておけるのがポイントです。
在宅避難とは「自宅に倒壊・焼損・浸水・流出の危険性がない場合に、そのまま自宅で生活を送る方法」であり、日常生活で他人のサポートが不要であることも条件とされています(東京都台東区「在宅避難と備蓄」)。逆に言えば、この条件を1つでも満たせないときは避難所などへの避難を選ぶ、という整理になります。
| # | 判断基準 | 在宅避難を選べる状態 | 避難所へ行くべき状態 |
|---|---|---|---|
| ① | 建物の安全性 | 倒壊・焼損・浸水・流出の危険がない | 傾き・大きな損傷がある、応急危険度判定が「危険(赤)」 |
| ② | ハザードマップ上の位置 | 浸水想定区域・土砂災害警戒区域の外にある | 危険区域の中にある(原則は立退き避難) |
| ③ | 生活を続けられるか | 水・食料・トイレの備えがあり自力で生活できる | 備蓄がない、要配慮者がいる、断水・停電が長期化 |
内閣府の避難行動判定フローでも、ハザードマップ上の危険区域内にいる人は原則として「立退き避難」が必要とされています。つまり在宅避難は「①〜③がそろった人だけが選べる、より安全な選択肢」です。以下ではこの3条件を、マンション・戸建て、地震・水害の別に具体的な数値で見ていきます。

在宅避難という選択、知っておきたい現実
在宅避難は「避難所が混んでいるから我慢して家にいる」ことではありません。安全が確認できた家にとどまり、住み慣れた環境で体力と体調を守るという、積極的な避難のかたちです。一方で、家に残るからこそ自分で用意しておかなければならないものもあります。
能登半島地震では在宅避難者が4,500人を超え、支援物資の配布拠点が指定避難所に集約されたため、近くに避難所がない在宅避難者は自分で物資を確保しに行く必要があったという体験談が報じられています(レタスクラブ/Yahoo!ニュース)。在宅避難を選ぶなら、「物資は自動的には届かないかもしれない」という前提が欠かせません。
避難所側にも事情があります。多くの人が一か所に集まるためプライバシーの確保が難しく、トイレや衛生環境が整うまでに時間がかかる傾向があります。どちらが優れているかではなく、自宅の状況に応じてどちらが安全かを選ぶ、というのが正しい考え方です。

判断基準①:ハザードマップで自宅のリスクを確認する
3つの基準のうち、いま真っ先にできるのがハザードマップの確認です。自宅がそもそも危険区域なら、備蓄がどれだけあっても在宅避難は選べません。
「重ねるハザードマップ」で自宅の浸水深を調べる手順
国土地理院・国土交通省が運営するハザードマップポータルサイト「重ねるハザードマップ」では、洪水・内水氾濫・高潮・津波の浸水想定区域と浸水深、土砂災害警戒区域、指定緊急避難場所を地図上に重ねて無料で確認できます。手順はシンプルです。
- サイトを開き、住所または現在地で自宅を表示する
- 「洪水」「土砂災害」「津波」「高潮」など、調べたい災害種別をオンにする
- 自宅の位置の色(浸水深の区分)を読み取り、色の凡例で想定浸水深を確認する
- 「指定緊急避難場所」を重ねて、自宅から最も近い避難先と経路を確認する
災害種別ごとに安全な避難先が異なる点にも注意してください。詳しい使い方は国土地理院の解説ページでも案内されています。
浸水深でここまで変わる「歩けるかどうか」
国土交通省「川の防災情報」によれば、浸水深が0〜0.5m(大人の膝程度)を超えるとほとんどの人が徒歩での避難が困難になります。さらに1.0〜5.0m以上に達すると1階から2階以上まで浸水するため、避難が完了していない場合は高く堅牢な建物への緊急的な移動(垂直避難)が推奨されています(川の防災情報)。
| 想定浸水深 | 自宅で起きること | 取るべき行動の目安 |
|---|---|---|
| 0〜0.5m未満 | 床下浸水程度 | 早めなら徒歩避難が可能。移動は明るいうちに |
| 0.5m前後を超える | ほとんどの人が徒歩避難困難 | 移動をためらわず、浸水前に水平避難を終える |
| 1.0〜5.0m以上 | 1階〜2階以上まで浸水 | 避難未完了なら高く堅牢な建物へ緊急移動(垂直避難) |
大切なのは「浸水してから動く」のでは遅いということです。膝までの水は、想像よりずっと歩けません。

判断基準②:建物の種類と災害種別で判断は変わる
同じ「在宅避難」でも、戸建てとマンション、地震と水害では見るべきポイントが違います。自分のケースに当てはめて読んでください。
戸建て×地震:倒壊・焼損リスクがなければ在宅避難が基本
建物に倒壊・焼損の危険がなく、家具の転倒などの片づけで生活できる状態なら在宅避難が基本になります。ただし、地震後に建物へ貼られる赤・黄・緑の紙にも注意してください。これは「被災建築物応急危険度判定」で、余震による二次被害を防ぐための応急的な外観調査です。
赤紙(危険)は、その建物に立ち入ることが危険であることを示します。罹災証明のための「被災度区分判定」とは別の制度で、全壊認定や取り壊しの決定を意味するものではありません(埼玉県の解説)。赤紙が貼られたら、在宅避難の判断は取り消して避難所へ移りましょう。
マンション×地震:建物は残っても設備は止まる
マンションは建物自体が無事であれば、地震でも在宅避難の対象になりやすい住まいです。ただし、建物が無事でも停電で給水ポンプが止まると高層階から断水することがあり、エレベーターは地震で自動停止して復旧に時間がかかるとされています。マンション防災は「建物は残っても給水・エレベーターは止まる」ことを前提に考えるのが基本という解説が一般的です。
つまりマンションの在宅避難で問われるのは、建物の安全性より生活インフラを何日しのげるかです。高層階の方ほど、水や食料を階段で運び上げる負担を計算に入れておく必要があります。

戸建て・マンション×水害:垂直避難か、早めの水平避難か
水害では「上に逃げる(垂直避難)」か「遠くへ逃げる(水平避難)」かを事前に決めておきます。専門家の解説では、想定浸水深が3m未満で建物が2階建て以上ある場合に垂直避難が有効な選択肢とされ、想定浸水深より2階層以上高い階へ移ることが望ましいとされています(KENTEM「垂直避難と水平避難の考え方」)。これは専門家解説による目安であり、国の一次資料として同じ数値を直接確認できたわけではないため、最終判断はお住まいの自治体が公開するハザードマップと避難情報に従ってください。
想定浸水深が建物の高さを上回る場合や、平屋・低層階にお住まいの場合は、垂直避難は成立しません。この場合は浸水が始まる前に水平避難を完了させることが前提になります。
判断基準③:在宅避難を選ぶなら必要な備え【チェックリスト】
建物が安全でも、水と食料とトイレがなければ家では暮らせません。ここが在宅避難できるかどうかの分かれ目です。
飲料水・食料は「最低3日・できれば1週間」
内閣府・農林水産省は家庭備蓄について「最低3日分、できれば1週間分」を目安に案内しています。大規模災害では物資の供給やライフラインの復旧に時間がかかるためです(内閣府 防災情報/農林水産省)。
具体的な必要量の目安として、東京都台東区は4人家族の場合の水・食料の必要量を次のとおり示しています(台東区「在宅避難と備蓄」)。
| 家族構成(台東区の目安) | 3日分 | 1週間分 |
|---|---|---|
| 4人家族の水(1人1日3L換算) | 36L | 84L |
| 4人家族の食料 | 36食分 | 84食分 |
自治体によってはさらに長い期間の備蓄を推奨する場合もあるため、お住まいの市区町村の防災ページも確認してください。
携帯トイレ・簡易トイレは水より先に効いてくる
断水すると真っ先に困るのがトイレです。マンションでは配管の損傷が確認できるまで排水そのものを止める場合もあります。避難所でもトイレ環境が整うまでには時間がかかる傾向があるため、家族の人数と想定する避難日数に余裕を持たせて、携帯トイレを多めに備えておくと安心です。
停電・情報収集への備え
モバイルバッテリーやポータブル電源、乾電池式のラジオは、停電時に情報を取り続けるための命綱です。気象庁は大雨や浸水の危険度の高まりをリアルタイムで示す危険度分布などの防災気象情報を提供しており、在宅避難中に避難所へ切り替えるかを判断するうえでも、スマホの電源確保は欠かせません。
マンション特有の備え
エレベーターが止まる前提で、階段で運べる量を分けて買い置きしておきましょう。高層階になるほど階段の往復自体が大きな負担になるため、水や食料は1回分ではなく1週間分を目安にまとめて高層階の自宅まで運び終えておくと、後から何度も往復する必要がなくなります。給水車が来ても水を部屋まで運ぶ手段は別途必要になるので、キャリーカートや折りたたみ式のウォーターバッグを備えておくと負担が軽くなります。また、給水ポンプ停止による断水やエレベーター停止時の対応は建物ごとに設備が異なるため、管理組合・管理会社が配布している防災マニュアルに非常用ポンプの有無などが記載されていないか、この機会に確認しておきましょう。

在宅避難から避難所へ切り替えるべき5つの危険信号
在宅避難は一度決めたら終わりではありません。次のどれかに当てはまったら、判断を切り替えてください。

- 想定浸水深が0.5mを超える地域にいる、または3m以上の想定がある — 徒歩避難が困難になる前に移動する
- 建物の応急危険度判定が「危険(赤)」、または傾き・大きな亀裂がある — 余震による二次被害を避けるため立ち入らない
- 断水・停電の復旧見込みが長期化しそう — 自治体の発表を確認し、備蓄の残量と照らして早めに判断する
- 警戒レベル4(避難指示)に達した — 政府広報オンラインも「『警戒レベル4』までに危険な場所から全員避難!」と呼びかけています。高齢者等の要配慮者は警戒レベル3で避難を開始します
- 体調不良者・要配慮者がいて自宅での生活継続が難しい — 在宅避難の条件である「他人のサポートが不要」を満たさない状態です
特に4つ目は迷いやすいところです。警戒レベル5は「すでに災害が発生・切迫」を意味するため、その段階で移動を始めるのは危険です。レベル4までに動き終えるのが原則です。
迷ったときに使いたい3つの公的ツール
判断に自信が持てないときは、公式ツールに委ねてしまうのが確実です。いずれも無料で、スマホから確認できます。

| ツール | 提供元 | わかること |
|---|---|---|
| 避難行動判定フロー | 内閣府 | 立退き避難が必要か、屋内での安全確保でよいか |
| 重ねるハザードマップ | 国土交通省・国土地理院 | 自宅の浸水想定区域・浸水深・指定緊急避難場所 |
| 危険度分布などの防災気象情報 | 気象庁 | いま自分の地域で危険度がどこまで高まっているか |
おすすめは、ハザードマップで自宅のリスクを確認したうえで、避難行動判定フローに沿って家族の答えを紙に書き出しておく方法です。災害の当日に考えるのではなく、答えを用意しておけば迷う時間がなくなります。
まとめ

在宅避難と避難所への避難、どちらを選ぶべきかは「①建物の安全性」「②ハザードマップ上の位置」「③生活を継続できるか」の3条件で判断できます。3つがそろえば在宅避難、1つでも欠ければ避難所へ。この基準さえ持っておけば、当日に迷うことはなくなります。
今日からできる第一歩は次の3つです。どれも15分ほどで始められます。
- 重ねるハザードマップで自宅の浸水深と最寄りの指定緊急避難場所を確認する
- 内閣府の避難行動判定フローに沿って、わが家の答え(在宅避難か立退き避難か)を紙に書いて共有する
- 水は1人1日3Lを基準に、最低3日分・できれば1週間分の備蓄と携帯トイレの残量を点検する
避難所収容人数や断水復旧までの日数は地域差が非常に大きいため、最終的な判断はお住まいの市区町村の防災ページとハザードマップで必ず確認してください。備えは不安を減らすためのものです。まずはハザードマップを開くところから、今日始めてみましょう。
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