パート・アルバイトの労働条件通知書を準備する個人事業主のデスク
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パート・有期雇用の労働条件通知書が2026年10月1日から変わる|個人事業主が今日からやるべき5ステップ

結論|2026年10月1日から労働条件通知書に1項目追加、対象は「雇入れ・契約更新」をする全事業主

パート・アルバイトの労働条件通知書を準備する個人事業主のデスク

2026年(令和8年)10月1日から、パートタイム労働者・有期雇用労働者を新たに雇い入れるとき、または有期労働契約を更新するときに、労働条件通知書等へ1項目を追加で明示することが義務になります。追加されるのは「正社員(通常の労働者)との待遇の相違の内容・理由等について、事業主に説明を求めることができる旨」です。

厚生労働省は「新たに『待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる』旨を明示することが必要となります」と説明しています(厚生労働省Webマガジン・2026-08-03公開)。

従業員数による適用除外はありません。根拠となるパートタイム・有期雇用労働法に事業規模の下限規定がないため、パート・アルバイトを1人だけ雇う個人事業主や小規模店舗も同じように対象です。

やることは複雑ではありません。労働条件通知書(兼雇用契約書)のテンプレートに1文を足し、10月1日以降の雇入れ・更新分から使い始める。これだけです。以下、対象判定・記載箇所・期限の順に確認していきます。

自分は対象か|3つの質問でチェック

次の3つのうち1つでも「はい」なら、あなたは対応が必要な事業主です。

  1. 2026年10月1日以降に、パート・アルバイトを新しく採用する予定がある
  2. 2026年10月1日以降に、有期契約(契約社員・期間雇用)の人を新しく採用する予定がある
  3. 既に雇っているパート・有期契約者と、10月1日以降に契約更新をする予定がある(更新のたびに書面を交付している)
判定 あてはまるケース 必要な対応
対象 10月1日以降にパート・アルバイト・有期契約者を採用する 新様式で通知書を交付
対象 10月1日以降に有期契約を更新する 更新時の書面に追記
対象外の可能性 正社員(無期・フルタイム)しか雇っていない 今回の追加項目の対象外
対象外の可能性 10月1日以降に採用も更新も一切予定がない 直ちに交付する場面はない(下記の注意を参照)

注意点が1つあります。

施行日より前から雇用していて、10月1日以降に契約更新の予定もない労働者がいる場合です。この人たちについて、施行日をもって書面を再交付する義務があるかどうかは、厚生労働省の公表資料に明記を確認できませんでした。

複数の社会保険労務士事務所は「新規の雇入れ時と更新時に適用され、遡及的な再交付は求められない」という解釈を示していますが、これは実務解説であり、法令原文やQ&Aでの確認が取れているわけではありません。

個別の判断は厚生労働省 同一労働同一賃金特集ページのQ&A、または管轄の労働局雇用環境・均等部(室)で確認してください。

何が変わるのか|明示事項は4項目から5項目へ

パート・有期雇用労働者には、労働基準法で求められる明示事項に加えて、パートタイム・有期雇用労働法第6条第1項に基づく「特定事項」(下表にある5項目のこと)の明示が課されています。ここに1項目が加わる形です。

明示事項 2026年9月30日まで 2026年10月1日から
昇給の有無 必要 必要
退職手当の有無 必要 必要
賞与の有無 必要 必要
相談窓口 必要 必要
待遇の相違について説明を求めることができる旨 必要(今回追加)

明示すべき事項の具体的な内容は同法施行規則第2条第1項に規定されており、今回の改正でここに該当号が追加されます。厚生労働省の特集ページでも、雇入れ時の明示事項に「法第14条第2項の規定による説明を求めることができる旨」が追加されると説明されています。

「法第14条第2項」とは、パート・有期雇用労働者から求めがあったときに、正社員との待遇の違いとその理由を事業主が説明しなければならない、という既存のルールです。今回追加されるのは、その権利があることを採用時に書面で伝えておく義務、と理解すると分かりやすいでしょう。

労働条件通知書のどこに追記するか|記載例と交付方法

労働条件通知書などの契約書類に署名するイメージ

厚生労働省は今回の改正にあわせてモデル労働条件通知書(Word・PDF)を改訂し、リーフレット・簡易版リーフレット・ポスター・Q&A・新旧対照表とあわせて同一労働同一賃金特集ページで公開しています。自作の様式を使っている場合も、まずはこの最新版をダウンロードして文言を突き合わせるのが確実です(2026-09-19時点)。

追記する位置は、既存の「相談窓口」欄の近くが分かりやすいでしょう。文例としては次のような1文になります。

【説明の求め】あなたは、通常の労働者との間の待遇の相違の内容および理由等について、事業主に説明を求めることができます。説明を求めたことを理由に不利益な取扱いをすることはありません。

正確な様式内の表現・記載位置は改訂版モデル通知書が基準になるため、上記はあくまで社内様式を作る際の参考文例として扱い、公開されているモデル通知書の文言を優先してください。制度の全体像は厚生労働省のリーフレット「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります」(PDF)でも確認できます。

電子メールやSNSで渡してもよいか

明示方法は書面の交付が原則です。労働者本人が希望した場合に限り、FAX・電子メール・SNSのメッセージ機能などでも可能とされていますが、出力して書面にできるものに限られます。これは労働条件明示の一般原則であり、今回追加される項目についても同じ原則がそのまま適用されると考えられます。迷ったら紙に印刷して手渡し、控えに受領サインをもらうのが最も確実です。

説明を求められたらどうするか|よくある質問

通知書に1文を書き足しておしまい、ではありません。実際にパート・有期雇用労働者から「説明してほしい」と言われた場面を想定しておくことも、今回の改正対応の一部です。ここではよくある疑問をQ&A形式で整理します。

Q. 説明は口頭でよいですか、それとも書面を用意すべきですか。
説明そのものの方法(口頭か書面か)を厚生労働省の一次情報で明確に規定した記載は、本稿執筆時点では確認できていません。ただし実務上は、口頭だけで済ませるより、待遇差の項目・金額・理由を簡単なメモにまとめておき、説明した日付と内容を記録しておくほうが、後日の確認や労働局とのやり取りにも備えやすくなります。

Q. どんな内容を聞かれることが多いですか。
説明の対象になるのは、正社員との「待遇の相違の内容・理由」全般です。具体的には、前掲の表にある昇給の有無・退職手当の有無・賞与の有無に加え、時給や各種手当、休暇日数の違いなど、通知書や就業規則に定めのある待遇項目が中心になると考えられます。

Q. 資料はどう準備すればよいですか。
このあとの「期限とスケジュール」で挙げる2番目のタスク(パートと正社員の待遇差とその理由を書き出す作業)が、そのまま説明用の資料になります。先に整理しておけば、いざ聞かれたときに慌てて調べ直す必要がありません。

Q. 誰が対応すればよいですか。
これも「期限とスケジュール」で触れる「説明を求められたときの窓口・担当者」の話です。個人事業主で従業員がごく少数の場合は、事業主本人が窓口を兼ねるケースが多いでしょう。窓口をあらかじめ決めておくこと自体が、労働者に安心感を与える対応にもなります。

期限とスケジュール|10月1日まで残り12日

2026-09-19時点で施行日まで12日です。作業量は多くないので、9月中に様式の差し替えまで終えておけば間に合います。

時期 やること
9月中(〜9月30日) 厚労省サイトから改訂版モデル労働条件通知書をダウンロードし、自社様式を更新する
9月中(〜9月30日) パートと正社員の待遇差(時給・賞与・手当・休暇など)と、その理由を書き出して整理する
9月中(〜9月30日) 説明を求められたときの窓口・担当者(個人事業主なら本人)を決めておく
10月1日以降 新規採用・契約更新の分から、新様式の通知書を交付する
随時 説明を求められた場合に備え、対応日・内容を残す記録様式を用意する

このチェックリスト自体は厚生労働省が公式に示した手順ではなく、社会保険労務士事務所の実務解説を参考に整理したものです。最終的な様式・運用は公式資料で確認してください。

対応しなかった場合|行政指導と10万円以下の過料

明示義務(パートタイム・有期雇用労働法第6条)に違反した場合、まず労働局雇用環境・均等部(室)による行政指導の対象になり得ます。行政指導によっても是正されない場合には、同法第31条により10万円以下の過料の対象となります(マネーフォワード クラウド給与の解説)。

ここは正確に理解しておきたい点です。この過料は今回追加される1項目のためだけに新設された罰則ではなく、第6条の明示義務全体に対する既存の罰則規定です。つまり、既に4項目の明示を怠っている場合も同じ枠組みで扱われます。企業名公表の制度ではないため過度に不安がる必要はありませんが、書式を1回直せば済む話なので、先送りする理由もありません。

まとめ|今日やる1つのことは「テンプレートの更新」

2026年10月1日からの変更点を、改めて5つのステップに整理します。

  1. 労働条件通知書・雇用契約書のテンプレートを、厚労省の改訂版モデル通知書に合わせて更新する
  2. パートと正社員の待遇差とその理由を整理し、聞かれたら説明できる状態にしておく
  3. 説明を求められたときの窓口・担当者を決めておく
  4. 10月1日以降の新規採用・契約更新分から、更新した通知書を交付する
  5. 説明を求められた場合に備え、対応日・内容を記録する様式を用意しておく

今日だけで何か1つやるなら、1番のテンプレート更新です。改訂版モデル通知書をダウンロードし、既存の様式に記載例の1文をコピーして貼り付けるだけの作業なら、目安として15分ほどで終わります。10月1日以降の採用・更新分から新様式が必要になるため、ここさえ終わっていれば当日に慌てることはありません。

様式の最新版・Q&A・新旧対照表は厚生労働省 同一労働同一賃金特集ページにまとまっています(2026-09-19時点)。自分のケースが対象かどうか判断に迷う場合は、管轄の労働局雇用環境・均等部(室)に確認してください。

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